着ぐるみにCGの顔をかぶせる目新しさで世代を超える番組に

着ぐるみにCGの顔をかぶせる目新しさで世代を超える番組に

「チコちゃんに叱られる!」/(C)NHK

【チコちゃん生んだ メガヒットの法則】

 法則9=とにかく新しいモノ

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 テレビ業界は、視聴率を稼ぐためにマーケティングを重ね、最初からターゲットを絞って番組を作ることも多いという。少子高齢化が加速し、この先、高齢者向けの番組が増えていくかもしれない。

 しかし、NHK「チコちゃんに叱られる!」のプロデューサー・小松純也(52)は、「テレビの王道は世代を超えること」だと、視聴者を年齢で区切るマーケティングには、やや懐疑的だ。

「マーケティングをする時、行動パターンが似ているので、年齢による属性って一番分類しやすいんです。朝この時間に起きて、学校に行く人がいて、仕事前にニュースをまとめて見たい人がいて、お母さんは家事をしながらとか、夕方は子どもが帰ってきて面倒くさいからアニメを見させている間に料理を作ろうとか。年代によってライフスタイルがくっきり分けられるので、マーケティングとしては年齢で切っていくのは正しいんです。だけど、世代で区切って番組を作る必要もないのではないか、とも思っています。高齢の方が好きなゆっくりした番組を、若い人は好きじゃないってこともあるわけで、見る理由があるってことは、見ない理由もあるわけですからね」

 ターゲットを絞って番組を作ると当然、パイは小さくなってしまう。メガヒットは生まれにくい。「チコちゃんに叱られる!」が大人気となっているのは、孫から祖父母まで世代を超えて楽しめる番組だからだ。

 小松が「世代を超えて楽しめる」と考えている番組のひとつが、日本テレビ系列の「カミングアウトバラエティ!! 秘密のケンミンSHOW」(木曜21時〜)だという。

「ケンミンSHOW」は出身地別に登場するタレントが、ご当地ネタやエピソードを披露するトークバラエティーだ。都道府県の独自性などが分かって楽しいと、世代を超えて人気のある番組である。

「いわゆる出身地という属性に触っていて、面白い。自分の知り合いは、どこどこの出身だからこんな人だとか、自分の地元が紹介されたら見るとか、そういうところを刺激する番組です。年齢に基づくマーケティングとはちょっと違いますよね。こうした考え方で、世代を超える番組を作っていければと思っています」

 マーケティング的に、どの世代にも一番強いのは「これまで見たことがない新しいもの」だと小松は言う。「チコちゃんに叱られる!」も、これまでになかった演出がされている。

「チコちゃんの目新しさのひとつは、着ぐるみにCGの顔をかぶせていることです。それでどれくらい数字が取れているのかはわかりません。でも、中学生ぐらいじゃないと分からない内容だと思うのですが、小さい子どもが反応してくれているのは、目新しさがあるからかもしれません」

 たしかに首から下は着ぐるみで、顔だけCGというのは、これまであるようでなかった演出である。CGでなければ、チコちゃんが頭から湯気を出して「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と決めゼリフを吐くシーンも生まれなかっただろう。

 魚がいないところに釣り糸を垂らすのは意味がないが、ターゲットを絞りすぎるマイナスもあるということだろう。=つづく

(構成=高月太樹/日刊ゲンダイ)

▽小松純也 1967年、兵庫県西宮市生まれ。京都大学文学部在学中、「劇団そとばこまち」に在籍。卒業後、フジテレビ入社。19年3月、フジテレビを退社。現在、株式会社スチールヘッド代表取締役。共同テレビジョンのプロデューサーとして活動中。

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