そこでしかできないことへの“こだわり”がヒット商品を生む

そこでしかできないことへの“こだわり”がヒット商品を生む

舞台上で「火花」を朗読する観月ありさ(提供写真)

【チコちゃん生んだ メガヒットの法則】

 法則10=自分の強み知る

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 ネットとの差別化が難しくなり、テレビはネットに取って代わられそうな状況だ。

 しかし、多くの人気番組を手がけてきたヒットメーカーの小松純也(52)は、テレビにしかできないモノにこだわって番組を作っているという。

「テレビの強さって何だろうということは、自分も含めて、いまテレビマンは真剣に考えたほうがいいなと思いますね。テレビの強みのひとつは、圧倒的にマスだということだと思います。多くの人が同じモノを見ているという状況をつくりだせる。と同時に、いま起きていることを速報で日本中に伝えられることでしょう。スポーツ中継がまさにそうですよね。皆が固唾をのんで見守る状況を提供できる。バラエティー番組を作ってきた自分は、なんとかバラエティーでそれをやれないかと考えています。なにが起きるか分からない状況を視聴者がドキドキしながら見られるバラエティーを作ったら、絶対にヒットすると思う。ただ、まだいい方法が見つかっていません」

 いま、小松が練っている企画の一つも、テレビにしかできないモノだという。

 視聴者に呼びかけ、世の中で自分しか知らないことを送ってもらい、それがネット上に存在しているかどうかを確認し、ネット上にあったら共通知識になっているけど、もしネットを調べても出ていなかったら、送ってくれた視聴者を褒め称えるといった番組だそうだ。

 といっても、小松は決してテレビに執着する頑迷固陋なテレビマンではない。もちろん、テレビに対する愛情は強いが、テレビならテレビ、舞台なら舞台と、そこでしかできないことをやろうとするのが、小松の真骨頂である。京大時代、「劇団そとばこまち」に在籍していた小松は、いまでも脚本、演出を手がけることがあり、その時は、舞台でしかできないことをやっている。

「そこでしかできないことをやるっていうことへのこだわりは強いかも知れません。舞台をやる時は、舞台でしかできないことをやろうと思って作っています。又吉直樹さんが芥川賞をとった『火花』を演出した時は、小説の中の地の文がすごく胸を打ったので、舞台なら本を朗読してもいいだろうと思い、舞台の上で本を読むようにしました。映画では、まずやらないですよね。BSスカパー!で『モノクラ〜ベ』という番組を企画した時は、どの大手メーカーの洗濯機がよく落ちるか比較するなんてことをやっていました。それは地上波ではできないですよね。有料放送だからできる。モノを作る時、そういう考え方はします」

 いまや、どの業界も生き残りのために新分野に乗り出している。その時も、自分たちの強みを自覚し、どうしたら強みを生かせるかを考える――。それがヒット商品をつくる基本なのだろう。 =おわり

(構成=高月太樹/日刊ゲンダイ)

▽小松純也 1967年、兵庫県西宮市生まれ。京都大学文学部在学中、「劇団そとばこまち」に在籍。卒業後、フジテレビ入社。19年3月、フジテレビを退社。現在、株式会社スチールヘッド代表取締役。共同テレビジョンのプロデューサーとして活動中。

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