労基署が大手に是正勧告…芸能プロはやはりブラック企業なのか

労基署が大手に是正勧告…芸能プロはやはりブラック企業なのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■裁量労働制の抜け穴

「現場」のスタッフほど、改善など期待できないようだ。

 原則月45時間とされる時間外労働(残業)の上限を超えさせたとして、サザンオールスターズなどが所属のアミューズ、お笑いの吉本興業、EXILEなどのLDH JAPANが労働基準監督署から是正勧告を受けていた件である。月に500時間働いたスタッフもいたというから、月平均80時間とされた「過労死ライン」など、どこ吹く風。いつスタッフが倒れてもおかしくないような酷使状態が見え隠れしている。

 この是正勧告に各社は労働環境の整備に乗りだす姿勢を公にした。だが某芸能プロデューサーはこう言うのだ。

「例えばタレントがある程度売れてきたとする。専任のマネジャーのほか、さらに付き人もいる場合、とても労基法の時間内で終わるような仕事じゃない。それでどうするか。この専任マネジャーをチーフマネジャーにして、さらに子会社の社長にして、この子会社がマネジメントをしていることにすると、マネジャーは労基法の対象とする被雇用者ではなくなる。法的には経営者ですから、残業代とか、最低時給とかの縛りはない。合法的に残業代を支払わないで済む裏技を熟知しているプロダクション経営者はいくらでもいますよ」

 今回是正勧告の出た3社のことではないだろうが、悪徳プロダクションになると「頑張っているから役員にしてやる、子会社の社長にしてやる」などと甘い言葉で誘い、年間一律の定額役員報酬だけでスタッフを酷使したりするケースもあるというから悪質だ。

「実態が雇用に近ければ、仮に裁判で争えば、こうしたマネジャーも会社にリベンジできます。しかし、現実には目の回るような激務で労基署や弁護士に相談する時間もなければ、過労や睡眠不足で心身共にいっぱいいっぱい。だいたい弁護士に仕事を委任する金銭もないでしょう。つまりは、悪徳プロが労基署から指導を受けたとしても、スタッフの処遇や書類などを触って、実態はそのままということは十分あり得る。裁量労働制は、ブラック企業が残業不払いを合法化するものでしたが、役員にするなどまだまだ逃げ道はある」(前出のプロデューサー)

 芸能界の仕事は人気で、有名プロダクションの求人倍率は今も高いが、一方で短期間で辞めてしまうケースも少なくない。

■売れた時の喜びは…

 不規則な労働時間、タレントの送迎にスケジュール管理、営業の他、打ち合わせという名の飲み会、マスコミや一部ファンからの護衛役、果ては私生活の雑事にまで及ぶこともあるというから、時間が不規則で長時間なのも致し方ない部分はある。それでも、担当するタレントがブレークした時の喜びは何物にも替えがたいという声も一方ではある。

「担当した新人が大ブレークして会社から数百万のボーナスをもらい、20代でベンツのEクラスを買ったなんて話はこの業界にはゴロゴロしています。でも、最近ではマネジャーとタレントの関係も、現地集合、現地解散だったり、現場に顔を出さないで何人ものタレントを担当するようなタイプも出てきている。本当にケース・バイ・ケース」と、某大手芸能プロダクション幹部は言う。働き方改革と芸能界が折り合いをつけるのは難しそうだ。

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