吉本興業「搾取」の構造…闇営業に手を染める格安ギャラ配分

吉本興業「搾取」の構造…闇営業に手を染める格安ギャラ配分

吉本興業(C)日刊ゲンダイ

吉本興業11人、ワタナベエンターテインメント2人の計13人の芸人が謹慎処分となった“闇営業”問題。

 闇営業自体は、事務所を通さない仕事のことを指し、昔から存在していた。芸人自身もそれをネタにするケースもあり、それは所属事務所と芸人との契約上の問題に過ぎなかった。しかし、相手が「詐欺グループ」という反社会的集団だったことで問題は深刻化。

 しかし芸人サイドにも闇営業に手を出さざるを得ない事情があるという。お笑いプロダクション関係者はこう話す。

「通常、芸人と所属事務所のギャラの配分は<5:5>か<6:4>が普通。良心的なところだと<7:3>というところもあります。しかしながら、吉本の若手の場合、<1:9>といわれています。その分、吉本は舞台や番組に出るチャンスが多いんです。どこの事務所でも若手はほとんど食っていけませんから、昔から“職内”とか“直”と言われる闇営業はたくさんありました。ベテラン芸人のDさんは昔、お笑いの事務所を経営してたのですが、みんなあまりにも直をやって事務所が全然儲からないのでやめてしまいました。また花見シーズンになると、酒に酔った花見客グループに突撃して笑わせ、おひねりを荒稼ぎしているコンビ芸人もいますよ」

体を張って大ケガ続出

 さらに近年は芸人が増え過ぎたことで競争が激化。

「『ひょうきん族』や『ボキャブラ天国』の頃、つまり90年代前半までは、芸人も少なかったんですよ。しかし今は、各事務所が運営する養成所から、毎年、数百人単位の卒業生が出てきます。その中からテレビで売れっ子になって食えるのは、1%もいないと思います」(前出のプロダクション関係者)

 やっとテレビに出演できるようになっても、若手や中堅は体を張った“リアクション芸”を求められる機会も多い。しかし、それもなかなか大変なのだ。

「フォーリンラブ」のバービー(35)は24日、「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)の収録中に左足アキレス腱を断裂したことが判明。同番組では、先月24日にも、インドでロケ中だった「ANZEN漫才」のみやぞん(34)が左足首を骨折する事故があったばかりである。お笑い評論家のラリー遠田氏はこう解説する。

「スタッフは安全性を確認するなど、十分に準備をしているはずですが、“撮れ高”が低いと、芸人に無言の圧力をかけてしまう。一方の芸人は、自分の見せ場なので必要以上に張り切ってしまう。ケガをしてもウケればOKと心のどこかで考えてしまうのが芸人です。その結果、どうしても事故が起きてしまう」

 さらに、こうした体を張った芸を見せる場が減っていることも、芸人たちにムチャをさせる一因になっているという。

「若手芸人を精神的、肉体的に追い込み、笑いにつなげる企画は昔からありました。しかし今は“イジメ”と非難されてしまったりして、コンプライアンスに敏感な時代なので、そうした企画自体が減ってきている。やる機会が減っているので、芸人たちは余計やりすぎるという側面がある」(前出のラリー遠田氏)

 売れっ子になって稼げるのはほんの一握り、そのための芸を見せる機会は減っている。生活のために闇営業をせざるを得ず、さらに巡ってきたチャンスで頑張りすぎてケガに見舞われる……まさに芸人残酷物語である。

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