「番組で良し悪しは決めない」 恵俊彰が語る司会者の極意

「番組で良し悪しは決めない」 恵俊彰が語る司会者の極意

恵俊彰(C)日刊ゲンダイ

【令和のトップランナーに訊く】

 恵 俊彰さん(前編)

 今日から若者研究の第一人者でマーケティングアナリストの原田曜平さんがホスト役を務める月イチ対談企画がスタート。初回ゲストは「ひるおび!」(TBS系)のMCでお馴染みの恵俊彰さん(54)。今年で放送開始から丸10年。週5日の生放送で毎日異なるテーマを扱い、個性あふれるコメンテーターを縦横無尽に仕切る司会業のトップランナーにその極意を“訊く”!

  ◇  ◇  ◇

原田 もう10年以上にわたって毎日、生放送の司会をされてますけど起床は何時ですか?

恵 平日はいつも朝4時半に起きて30分ほど走ってます。それから新聞を読んだりテレビを見たり。自宅にテレビは5台あって、家を出るまでずっと気になる番組をチェックしていますね。

原田 5台も! テレビ局みたいですね(笑い)。

恵 僕が毎朝、情報番組をチェックする時に感じたいのは世の中の“温度”なんです。今はどのテーマが熱いのか、賛成反対でもめているのか。どんな意見が出ているのか。それぞれの番組の司会者や出演者が興味のあることは何か。そういうことを気にしています。

原田 恵さんは「ひるおび!」では司会者に徹していますよね。でも、ご自身の意見もあると思うんです。「それは違う」と思ったときに反論したくなりませんか?

恵 実は僕、主義・主張はあまりない人間なんですよ。番組内で事件やニュースを扱うとき、自分の意見を持つ前に、きちんとその情報を頭に入れられているか、あらゆる角度や方向から熟考できているか、それを踏まえた上で最初に抱いた自分の感情は果たして正しいのかとか、いろいろ考え込んでしまうんです。

原田 慎重ですね。

恵 一番嫌なのは、知識もないのに自分の感情に任せて強い意見を押し通すこと。声が大きいだけの人の意見がまかり通るのは嫌です。だから、世間から叩かれている人に対して、僕は何も知らないまま一方的に悪いとは断定したくないんです。

原田 なるほど。だから出演者の意見を遮らないんですね。

恵 いろいろな意見が飛び出すのが番組の理想です。原田さんはわかりやすいですよ。オレを指してくれっていうときは目でわかります(笑い)。そもそも番組として出来事の善し悪しを決めようとは思わない。例えば、憲法9条について。何十年も議論を重ねてもいまだに答えが出ていない。そんな超難問の答えを番組内で出そうなんて思ったことはありません。

■善し悪しを決めるのは視聴者

原田 正解がわからないことって、世の中にたくさんありますもんね。

恵 番組であらゆる意見を提示したうえで、善し悪しを決めるのは視聴者でいいと思っています。

原田 今日は恵さんに司会の極意も伺いたいのですが、慣れるまでは生放送も大変でした?

恵 翌日扱うテーマを毎日必死で勉強するという状況が10年間ずっと続いています。だから、良く言えば毎日新鮮な気持ちで取り組めますよ(笑い)。

原田 そもそも恵さんは司会をやりたかった?

恵 うーん。司会をやりたいというよりは自分がわからないことを聞ける場をつくりたかったんですよね。40歳になった時、あまりに多くのことを知らない自分に焦ったんです。さまざまな分野の専門家の方が僕に知らないことを教えてくれたら勉強になるなと思って。

原田 たくさん家庭教師がいるような感じですね。最近、恵さんが一番興味を持ったことは?

恵 基本的に僕が興味を持つことは、新聞の1面や社会面に載っていることです。最近では、高齢者ドライバーによる死傷事故、川崎登戸殺傷事件、元農水次官の息子殺害事件など、背景を知るごとにやるせない気持ちになることが多かった。つらい事件も含めて、なぜこんな結末になってしまったのか、知りたいんです。

原田 確かに心をえぐられる悲しい事件が多かった。

恵 同じ事件やニュースについて、どのような切り口で扱うかで番組のカラーが出ますよね。だからこそ、強烈に興味を持っていたり伝えたい熱意がなければ視聴者を説得できないとも思うんです。

原田 ネットで情報があふれる時代だからこそ、情報を伝えるテレビの真価がますます問われます。ところで恵さんはエゴサーチします?

恵 ネットで自分のことは一切検索しません。見てしまうと僕はすごく気にするので見ない。視聴率が悪化すると、絶対に番組は終わります。それが世間からの自分の評価だと考えると、非常にわかりやすい。だから、それ以外の評価は僕には不必要な情報なんです。変な話ですよね。人に評価される仕事なのに、人を気にしないって(笑い)。

原田 でも、いちいち人が言うことを気にしだしたらキリがないですよね。

恵 評価はあくまで視聴率だと思いますが、「ひるおび!」は、続けられる限りはやりたいですね。=後編に続く

(原田曜平/マーケティングアナリスト 構成/高田晶子)

▽めぐみ・としあき 石塚英彦とお笑いコンビ・ホンジャマカを1989年に結成。現在は、放送11年目を迎えるTBS「ひるおび!」のMCとして活躍する一方で、俳優としてもTBS「下町ロケット」(15、18年)など話題作に多数出演。その他、フジテレビ「芸能人が本気で考えた!ドッキリGP」、TOKYO FM系ラジオ「Challenge Stories」にレギュラー出演。司会者・タレント・俳優など多方面で活躍している。

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