「西城秀樹のサインはダメ」と叱ったジャニー喜多川さん

「西城秀樹のサインはダメ」と叱ったジャニー喜多川さん

ジャニーズ事務所(C)日刊ゲンダイ

城下尊之【芸能界仕事術】

 ジャニーズ事務所を一代で強大なアイドル芸能プロダクションに育て上げたジャニー喜多川さん(享年87)が亡くなって、多くの所属タレントがその思い出を語り、追悼している。改めてジャニーさんの功績や偉大さが分かった。いろんなメディアで報じられていることで、顔も知らなかった一般の人たちにもその人柄が知れ渡った感がある。

 そんな折、川崎麻世(56)と話をする機会があった。最近は、カイヤとの離婚問題ばかりが扱われる川崎だが、実はデビューから13年間、ジャニーズ事務所に所属していた。13歳だった時からだから、一からジャニーさんに指導されて育成されたわけだ。

「ジャニーさんは優しい人で、僕が仕事に行くのにご自身が運転して送ってくれたりした。メリーさん(ジャニーさんの姉)がお弁当など食事の用意をしてくれて、本当の家族でした」

 今のような巨大な事務所ではなく、タレントの数も少なかった。ちょうどフォーリーブスが解散する頃で、たのきんトリオはこの後に出てくる。ひょっとしたらジャニーさんが最も楽しいと思っていた頃だ。

 川崎によると、ジャニーさんに叱られたという記憶はほとんどないそうで、「カップ麺をフタを取らないで食べていたら、『ちゃんとフタを取りなさい』って叱られたくらいかな」と話す。芸能人だから、常に人に見られている意識を持ち、行儀よくしなさいということのようだ。

 また、憧れの西城秀樹と番組で一緒になった時にサインをもらったそうで、「ユー、ユーも芸能人なんだから、他の芸能人からサインをもらっちゃダメでしょ」と苦言を呈されたこともあったそうだ。

 ジャニーさんは、こと仕事の面ではダンスでも歌でも厳しく指導したが、頭ごなしに叱ることはなかったらしい。それは現在になっても同様だったと承知している。ジャニーさんは芸能活動に必要な技術面での指導もだが、一人一人の個性と本人の希望も受け入れ、きめこまやかに育成してきた。そして、まだ10代の少年たちを育てながら、将来的に容姿や能力が大きく成長していくのを“見抜く”力は凄かった。ほとんどジャニーさんの“カン”でユニットがつくられ、それを成功させてきたのだからこそ、「カリスマ」と呼ばれるわけだ。

 そのジャニーさんが亡くなる直前、SMAP元メンバーのテレビ出演を事務所がテレビ局に圧力をかけてやめさせたとして、公取委から注意されていたという。泣きついたのが誰かは想像がつくが、僕の知る限りではまったく逆。事務所の幹部はむしろ、そういった疑いを持たれることを心配し、「番組の継続」をお願いしていたと聞いた。それが一斉に終了したのは、もともと低視聴率で打ち切りが検討されていたタイミングであり、それでもジャニーズとの関係で継続してきたが、そのタガが外れたことが大きかった。もし圧力があったら、人の口に戸は……の例え通り、必ずマスコミに漏れていた。

(城下尊之/芸能ジャーナリスト)

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