ビリー・バンバン菅原進さんを変えた一曲 胸に刺さったエルトン・ジョン「Your Song」

ビリー・バンバン菅原進さんを変えた一曲 胸に刺さったエルトン・ジョン「Your Song」

ビリー・バンバンの菅原進さん(C)日刊ゲンダイ

【私の人生を変えた一曲】

ビリー・バンバン 菅原進さん


 デビュー曲の「白いブランコ」から、「また君に恋してる」、2016年の「さよなら涙」まで、澄んだ歌声と心に染みる優しいメロディーで歌うビリー・バンバン。兄・菅原孝さんが脳出血で倒れ、弟・進さんが大腸がんを患ったが、今も元気にコンサート活動を続け、今年、50周年を迎えた。進さんにとって忘れられない曲はエルトン・ジョンの「Your Song(僕の歌は君の歌)」だ。

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 音楽に親しんだのは中学時代から。当時聴いたのはアメリカンポップスで、湯川れい子さんがやっていたラジオ関東(現ラジオ日本)の音楽ランキング番組は毎週、欠かさなかったですね。ラジオで聴いた曲のレコードが欲しくて、吉祥寺にあった「名店会館」(現在は東急百貨店)のレコード屋に出かけ、何時間も過ごしたりしました。1枚350円くらいだったかな。新譜のシングルを買うのが何よりの楽しみで、よくおふくろにねだったりしていました。

 学生時代はアマチュアバンドが全盛。キングストン・トリオとかPPM(ピーター・ポール&マリー)、ブラザース・フォアといった向こうのフォークグループをコピーするバンドが多くて、中野光雄(現せんだみつお)と他の2人のメンバーとビリー・バンバンを組んでコンサートを開いたり、学園祭で歌っていました。人気だったのは僕らビリー・バンバン、町田義人のキャッスル&ゲイツ、早川義夫のジャックスの3組。コンサートをやると、いつも超満員になりました。

 その後、中野と兄の3人のバンドになり、1969年に、兄とデュオを組んだデビュー曲「白いブランコ」がヒットするわけだけど、衝撃だったのはその翌年、70年にラジオから流れてきた何ともいえない繊細なメロディーの曲。エルトン・ジョンの「Your Song」でした。

 その頃のアメリカンポップス、フォークはPPMの「500マイルもはなれて」や「花はどこへ行った」にしても、スコット・マッケンジーの「花のサンフランシスコ」にしても反戦歌だけど、アメリカも変わりつつあった。テレビでは「うちのママは世界一」とか「パパは何でも知っている」といったホームドラマが人気になって、戦後と異なる古き良きアメリカ、憧れの世界が広がっていた。

 そんな時代だったからだと思います。「Your Song」で歌っているロマンチックな歌詞とメロディーに胸を突き刺されるような衝撃を覚えました。「君のようなすてきな瞳をした人を見たことがない」というフレーズなんか、しびれましたね。すてきな瞳は「グリーンかブルーか忘れちゃったけど」って。いいですね。彼の長年のパートナーのバーニー・トーピンが書いた詞ですが、本当に繊細だなあと思いました。

 その頃の日本のブームはグループサウンズからフォークソングに移り変わってきた時期です。「Your Song」が受け入れられる時代になっていたのかなと思います。

■歌い方も影響を受けた

 当時、僕は最初の奥さんと付き合い始めた頃です。「Your Song」がそのまま心情を歌ってくれている気がしたというのもあるかもしれない。朝起きたらこの歌を聴き、口ずさみ、何回聴いても飽きず、寝る前まで繰り返し繰り返し聴きました。

 歌い方も影響を受けました。強く歌わず、ささやくようなウイスパーボイス。ビリー・バンバンもずっとそうです。ソフトな声をずっとキープしたまま、バイブレーションしない。実はこれが大変で難しい。エルトン・ジョンの場合、そういう歌い方もするのに、ロックンロールの激しい歌も歌うからすごいですね。よほど声帯が強いのでしょう。あの器用さはとてもマネできませんけど。

■兄弟で50年やってこられてよかった

 あまりカラオケはやらない方だけど、この曲だけは別。行くとよく歌います。歌ってみると難しいことがわかると思います。歌う人が多くないのはそのせいでしょう。でも、僕はうまいですよ、エルトン・ジョンより(笑い)。

 エルトン・ジョンの半生を描いた映画「ロケットマン」が公開されました。まだ見ていないけど「ボヘミアン・ラプソディ」のデクスター・フレッチャー監督がメガホンを取った映画だから、期待できますね。「Your Song」もどんなふうに描いているのか、楽しみにしています。

 デビューから50年。兄と僕とは聴いてきた音楽も違うし、方向性も違う(笑い)。性格も全然違う。はっきりいって仲の良い兄弟じゃないです(笑い)。でも、こうやって兄弟で50年、お互い病気も乗り越えてずっとやってこられて、本当によかった。これからもお兄さんとビリー・バンバンを続けていきたい。そこはお兄さんも同じ思いじゃないかな。

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)

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