ハライチは詮索されない澤部と正論岩井の不思議なバランス

ハライチは詮索されない澤部と正論岩井の不思議なバランス

ハライチの岩井勇気(左)と澤部佑(C)日刊ゲンダイ

【今週グサッときた名言珍言】

「澤部がテレビに出てたときとか見てましたけど、この仕事、別にやりたくねぇなって」(ハライチ岩井/テレビ東京「あちこちオードリー〜春日の店あいてますよ?〜」11月23日放送)

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 ハライチといえば、ツッコミの澤部佑(33)がテレビに引っ張りだこ。ボケの岩井勇気(33)は「じゃない方」などと言われることも少なくない。そんな現状に「嫉妬心はないか」と問われ、岩井が答えた言葉を今週は取り上げたい。「澤部がやってることを目指してるわけじゃないから、別にいいわって」と続けた。

 岩井は自身の著書「僕の人生には事件が起きない」(新潮社=19年9月26日発売)の中で「澤部は“無”」だと分析している。例えばバラエティー番組で「こうすれば印象が良い」「これは絶対に盛り上がる鉄板フレーズ」だと分かっていても、芸人は素直にその通りにできなかったりするという。

 なぜなら「どこかにオリジナリティーを求めてしまい、“自分らしさ”を入れてしまいたくなる」から。岩井はまさにこのタイプ。一方、澤部にはそれがない。他の番組や芸人を見て、いいと思ったことを100%実行に移せてしまうのだ。だから、澤部は常に平均点以上を叩き出せる「最強のバラエティー芸人」になったのだ、と。

 岩井と澤部が仲良くなったのは小5のときだった。岩井から見たその頃の澤部の印象は、今とは真逆で「どこか笑いのセンスのあるやつ」だった。他のクラスメートとは一味違う笑いのとり方をしていたのだ。

 澤部は変わったのだろうか。そうではない。実はその頃も岩井や他のクラスメートが聞かないような深夜ラジオを聞いて、その笑いの取り方を100%実行していただけだったのだ。

 テレビの中で常に明るく元気に振る舞う澤部。こういうタイプは「実は闇を抱えているんでしょ」などと言われることが多いが、澤部はあまりそうした詮索はされない。「澤部は詮索されてないってところが実はヤバいんじゃないかなって」(フジテレビ「久保みねヒャダこじらせナイト」19年8月16日)と、岩井はそのスゴさを語る。

 今のテレビタレントは人間性や生きざまが最重要視されている。だが、澤部の「パーソナルな部分は誰も求めてない」(同前)と。かなり特異な芸人だ。

 一方、岩井は「別に腐ってる感覚はないんですよ。ほぼ正論しか言ってないんで。本当のことを言うなよ、っていう世の中じゃないですか。それがもうおかしい」(ヤフー「Yahoo!ニュース特集」19年10月26日)などと本音を隠さず、「腐り芸人」などと形容される正反対なキャラクターだ。

 このコンビバランスはなんだか不思議で面白い。「だいたい何かの真似してるやつが他人と比べちゃうんですよ」(同前)と、相方への嫉妬とは無縁に独自のポジションを築いている。

(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)

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