脚本家・中園ミホ氏が語る コロナで変わる価値観と生き方

脚本家・中園ミホ氏が語る コロナで変わる価値観と生き方

脚本家で元占い師の中園ミホ氏(事務所提供)

「ハケンの品格」(日本テレビ系)、「Doctor―] 外科医・大門未知子」(テレビ朝日系)など人気ドラマの脚本家でありながら、元占い師という異色の経歴を持つ中園ミホ氏が先月、占いとの付き合い方を書いた「占いで強運をつかむ」(マガジンハウス)を出版。数多くヒット作を執筆していく中園氏を直撃した。

  ◇  ◇  ◇

 ――占い師から脚本家に転身したきっかけもまた占いだった。

「四柱推命では12年で運気が一周し、その中の2年間は空亡期といって人生の修行の時期だと私は考えています。初めて脚本を書かないかと言われたのが空亡期の直前で、それまでもパッとしなかったのに翌年からの2年間はさらに運気が停滞するところでした。このチャンスを逃すとずっとくすぶってしまう、今こそが頑張り時だと必死で書き上げ、脚本家としてデビューしました。私自身、人生は全部占いで決めてきたと言ってもいいほど、運気の流れを味方に活動してきたので、今回、占いの使い方を本にしました」

 ――運気の停滞する時期を天中殺などといって恐れる傾向にもあるが。

「空亡期は不幸なのではなく、最も苦手なことがめぐってきますが、頑張れば次の12年は飛躍的に成長できます。『花子とアン』のお話を頂いた時も空亡期で、コツコツ書くことが苦手な私には朝ドラなんてできるのかと尻込みしていましたが、これは“お酒も飲まずにすごく働け”って人生の宿題だなと思って引き受けました」

 ――「花子とアン」には強運な俳優がいたとか。

「ヒロインの相手役オーディションで、事前に全員のプロフィルを調べ“一番最後にすごく強運な人が来る”って楽しみにしていたんです。それが鈴木亮平さんでした。もちろん実力で決まったのですが、後で『実はあの方、運気がとてもいいんです』と言ったら、スタッフがドッとウケました(笑い)」

 ――大河ドラマの「西郷どん」など、作家・林真理子氏とのタッグも多い。

「『西郷どん』も林さんと沖縄に行ったときに霊感の強い女社長に背中を押されました。林さんも占いお好きですが、成功されている方は運の波に乗るのも上手です」

 ――「Doctor―X」は占いも駆使していたとか。

「担当プロデューサーも占いに関心のある方なので、タイトルや登場人物の名前の画数や、台本の色にもこだわりました。ヒロインの大門未知子は、米倉涼子さんの運勢に近い画数にしています」

 ――米倉涼子は3月末で事務所を独立、大門未知子像に近づいているようにも見える。

「大門未知子は天衣無縫で一匹狼。確かに重なるところは多いですね。米倉さんは天才ですし、一匹狼でも生きていける方。私の占いでは来年は大活躍しそうです」

 ――シーズン6まで続く人気作だ。

「出演者の運気や魅力、スタッフとの相性など総合力で勝ち取ったものです。私自身も面白い作品にしようと必死です。いっぱいコケたドラマも書いてますし(笑い)」

「この国を動かす人たちに言いたいことが山ほどある」

 今期、「ハケンの品格」(日本テレビ系)続編が放映予定だったが、緊急事態宣言で撮影休止。未曽有の大変換期をどうとらえるのか。

 ――今シーズン続編がスタートする「ハケンの品格」は篠原涼子の運勢の影響も大きいとか。

「篠原さんは一言でいえば“慈愛の人”。菩薩みたいな方なんです。主人公の大前春子は仕事はできるけどヒューマンスキルがゼロなOLですが、篠原さんご自身の優しさがにじみ出て“大前春子は本当はいい人なんだ”と感じられるから人気が出たんだと思います」

 ――「ハケンの品格」続編は撮影が長く中断している。

「オフィスに人がギュウギュウ詰めのシーンはどうなるのか。ラブシーンは濃厚接触になるから無理だし、今ではオフィス自体がユートピアですからね。出演者も忙しい方ばかりなのでスケジュール調整など考えると、なかなか筆が進みません」

 ――とはいえ日々執筆する量は相当なもの。

「実は早くお嫁に行って、ぐうたらな専業主婦になりたかったんですけどね。ところが未婚の母になって、うまくいかない人生をその都度全力でやっていたらこうなりました。取材でお会いした派遣社員の女性たちは本当に頑張って生きているので、ドラマを通じて励ましたい友達もでき、もっともっと書かなきゃいけないなって」

 ――このコロナ禍の状況をどう見ているのか?

「人間関係の断捨離は進むでしょうね。合コンで人に会いまくるなんて『やまとなでしこ』のような時代はもうないのかな……。価値観は大きく変わると思いますが、占いを使う者としてはこの期間に厄を落とせばいい、このつらい時期を過ぎたら世界が新たなステージに上がるという考え方をするので、お先真っ暗とは全く思いません。前向きにどう生きるか、そのために占いを利用してほしいし、服を着替えるようにいろんな占いを試していいと思います」

 ――この先の中園作品はどうなるのだろうか?

「まさかこんな状況になるとは思いませんでしたが『ハケンの品格』はユートピアのまま進みます。マスク着用、テレワークなんて……ドラマの中で見たいかな? とも思うし、耐える日々を過ごす人たちにドラマを見て少しでも元気になってもらいたい。明るく、スカッと描きたいなと考えています。ただ、派遣社員などフリーランスの人は本当に参っています。今までは権力のある人たちをチャカしはしたけれど、今回に限ってはこの国を動かす人たちに言いたいことが山ほどあるので、次書く作品では触れずにはいられないでしょうね」

(聞き手=岩渕景子/日刊ゲンダイ)

▽中園ミホ(なかぞの・みほ) 1959年、東京都生まれ。2014年NHK連続テレビ小説「花子とアン」、18年大河ドラマ「西郷どん」などの脚本を執筆。07年「ハケンの品格」で放送文化基金賞と橋田賞、13年に「はつ恋」と「Doctor―X 外科医・大門未知子」で向田邦子賞と橋田賞をダブル受賞。19年から公式占いサイト「中園ミホ解禁!女の絶対運命」をスタート。先月23日に自身の占い観を記した新著「占いで強運をつかむ」(マガジンハウス)を発売。今期「ハケンの品格」(日本テレビ系)の続編も放映。

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