【今週の「エール」豆知識】作曲家デビューした裕一「福島行進曲」B面の作詞家は?

【今週の「エール」豆知識】作曲家デビューした裕一「福島行進曲」B面の作詞家は?

中村蒼(C)日刊ゲンダイ

【今週の「エール」豆知識】#1

 朝の連ドラ「エール」の第9週(5月25〜29日)で窪田正孝(31)演じる主人公・古山裕一がようやくレコードデビューを果たした。モデルは阪神の球団歌「六甲おろし」や夏の高校野球大会歌でおなじみの作曲家・古関裕而である。

 21歳でコロムビア専属となった古関だが、すぐにはレコードを出してもらえなかった。クラシック出身の古関がなかなか歌謡曲になじめなかったからだ。そして、やっとレコードにしてもらえたのが出身地・福島の幼なじみの作詞家・野村俊夫と作った「福島行進曲」だった。ドラマでは野村を中村蒼(29)が村野鉄男役で演じている。

 当時、歌謡界では「新民謡」と呼ばれるジャンルが大流行していた。いわゆる今でいうご当地ソングである。古関も時勢に乗って、作曲家デビューを果たすことができたのだった。

 ちなみに、福島行進曲のB面は「福島夜曲(セレナーデ)」。これも古関が作曲したのだが、作詞したのはなんと、当代きっての人気画家・竹久夢二だった。福島市で開かれた竹久夢二展を観て感動。竹久の泊まるホテルに押しかけ、交流が始まったという。

 流行歌を次々に世に送り出した古関だが、もっとも有名なのは前出の六甲おろしをはじめとするスポーツ応援歌だろう。阪神だけでなく、巨人や中日の球団歌も彼の手によるものだ。

■「紺碧の空」は第六応援歌から第一応援歌に“出世”

 出世作となった早稲田大の「紺碧の空」は当初、第六応援歌だった。早慶野球戦で4年連続敗北をきっしていた早稲田はこの応援歌を得た途端、勝利。その後、第一応援歌に格上げされた。なお、ライバル慶応大の応援歌「我ぞ覇者」も古関が作曲している。

 だれもが知るスポーツ応援歌を数えきれないほど手がけた古関。だが、50代から60代にとって、その名前を聞いて真っ先に思い浮かぶのは別の場面ではないだろうか。バラエティー番組への出演である。

 70年代前半から80年代半ばまで放送されていた萩本欽一司会の「オールスター家族対抗歌合戦」(フジテレビ)で審査員を務めていたのだ。古関は審査員席の一番左、その隣に往年のスター歌手・近江俊郎が座っていた。

 9歳後輩の近江は出場者の売り出し中の女優に「顔のかわいさと歌が全然合わないのよね」と言い放つ毒舌ぶり。一方、古関は終始ニコニコとしながら、聞き取れないほど小さな声で、ひとこと、ふたこと喋るだけだった。

 それでも、フジのプロデューサーは古関を使い続けた。その好々爺ぶりがお茶の間にウケたのだ。古関の出演は萩本欽一が降板するまで12年間も続いた。

(田中幾太郎/ジャーナリスト)

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