テレ朝「特捜9」vs「捜査一課長」コロナ時代の刑事ドラマ演出を徹底比較

テレ朝「特捜9」vs「捜査一課長」コロナ時代の刑事ドラマ演出を徹底比較

内藤剛志(C)日刊ゲンダイ

新型コロナウイルスの影響で放送がストップしていたドラマの放送が次々と再開されている。見比べると面白いのがV6井ノ原快彦主演の「特捜9 season3」(テレビ朝日系、水曜21時)と、内藤剛志主演の「警視庁・捜査一課長」(同、木曜20時)だ。ともに視聴率13〜14%をマークする人気の刑事ドラマだが、“ソーシャルディスタンス”を意識した演出が話題になっている。

 本番前まで出演者とスタッフはマスク・フェースシールド必着、1日3回の検温、スタジオを1時間に1回換気、小道具類のマメな消毒、共演者はなるべくは同じ方向を向いてしゃべる(フェース・トゥー・フェースは極力避ける)といった、コロナ感染防止のための基本的なスタンスは変わらない。

 しかし、細部を見比べると制作側の強いこだわりが垣間見える。

「井ノ原さんがアイドルということもあるのでしょうが、『特捜9』はほとんどの出演者が本番ではマスクをしていません。階段の上と下で会話をしたり、顔を見合わせながらのセリフはアクリル板を入れて編集段階で消しています。なるべくコロナを意識させないつくり方になっています」(関係者)

■机を2つ並べたソーシャルディスタンス

 一方、「捜査一課長」は完全に逆張りだ。“ウィズコロナ”の生活習慣を丁寧に描こうとする姿勢がうかがえる。捜査一課長・大岩純一(内藤)は帰宅すると必ず丁寧に手洗いし、一課長室で会議する際はドアを開けたまま換気。捜査員はマスク着用のまま尾行・張り込みをするといった具合だ。

「目を引いたのは取調室で机を2つ並べて取調官と被疑者の距離を取ろうとする演出です。現在、本当の警察の取調室の現場では被疑者もマスク着用となっていますが、『捜査一課長』ではマスクもアクリル板も使わなかったそうです。編集作業などで被疑者の表情を殺さないため、あえて実際にはあり得ない設定をつくり出したのでしょう。なるべく道具や技術に頼らない演出方法だといえます」(テレビ関係者)

 笹川刑事部長(本田博太郎)が“アベノマスク”を着用するシーンも描かれていたが、今後もアベノマスクが登場する可能性があるという。

「このコロナ時代にマスクが完全に除外されたドラマはかえって不自然です。いずれ刑事ドラマではマスクが犯人特定につながる重要なアイテムとして使われるかもしれません」(芸能ジャーナリストの芋澤貞雄氏)

 現在のスマホみたいなものか。7月1日の「特捜9」は万引Gメンの死亡事件、2クール目に入る2日の「捜査一課長」は密室劇が描かれる。犯人だけでなく、演出も意識するとドラマを2倍楽しめる。

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