「ランボー ラスト・ブラッド」は不運?…ジブリ旧作トップ3独占の“からくり”

「ランボー ラスト・ブラッド」は不運?…ジブリ旧作トップ3独占の“からくり”

(C)2019 RAMBO V PRODUCTIONS, INC.

スタジオジブリの過去作品が、週末の興行ランキング(興行通信社発表)で上位3本を占めたことが評判になった。それも2週連続である。このコロナ禍のなか、新作を押さえたジブリの強さを改めて知らしめたのだが、順位に少し誤解がある気もしたので、はっきりさせておきたい。

 同ランキングは毎週月曜日、週末(土・日曜)の各作品の入場人員(動員)を出して、順位を定めるものだ。動員に入場料金を掛けた、いわゆる興行収入(興収)を計算、比較したものではない。順位に間違いはないのだが、動員計算により新作の興行がそのぶん、脇に追いやられた印象があった。

 実のところ興収でいえば、6月27、28日の土日では、ジブリ作品と同時公開となった新作の「ランボー ラスト・ブラッド」がトップであった。土日で興収9800万円を記録し、これはジブリ3作品を上回る。目標からすると少し足りないとも言えるが、それでも週末“興収”トップであった事実は間違いない。

 26〜28日までの3日間でいえば、1億4550万円を上げ、土日動員1位の「千と千尋の神隠し」の1億1850万円(3日間)を3000万円近くも上回っている。しかも、この3日間なら動員でもトップ。つまり、公開初日26日(金曜)に、「ランボー〜」はとくに稼働したということになる。ただ2週目の7月4、5日では、「ランボー〜」は動員、興収ともにトップに立つことはできなかった。

「ランボー〜」は、コロナ禍ただ中の映画興行では、洋画新作として広範囲な宣伝展開が行われた勝負作の1本だ。宣伝費も相当な額にのぼる。シリーズには多くのファンがいる。その層へ作品の存在をしっかり届けるためにも、初動のランキングを詳細に分析して、もっと「ランボー」新作の踏ん張りをメディアが取り上げてもよかったのではないか。筆者などは、そう思ったのである。

 今回のジブリ作品は、入場料金が1100円均一(高校生以下は1000円)であることにも触れておく。過去作だから当然の設定ではあるが、この料金が動員を伸ばしたのは疑いの余地がない。一方「ランボー〜」は、新作だから一般料金1900円だ(各種割引あり)。価格差が歴然とあった。この価格差で、両者を動員比較するのは少し酷ではなかったか。ジブリ作品の登場が、「ランボー〜」の興行に、直接的な影響を与えたかどうかの判断は難しい。ただ、ランキングにおけるメディアの反応によって、「ランボー〜」の存在が小さくなったのは事実だろう。公開後の情報発信は確実に鈍った。

 映画界では慣習として、年間の作品別興行ランキングは興収計算を原則としている。だから、毎週のランキングも、興収計算だと思っている人が多いのではないか。改めて言うが、そうではないのだ。今回のように入場料金が作品間でまるで違うと、ランキングの意味も少し曖昧になってしまう気がしてならない。

 動員か興収か。その都度、ランキングに基準のバラつきがあると一般の方々はもちろん、メディアでも混乱してしまう。ランキングには重要な意味があると、筆者は思っている。今回のケースをきっかけに、ランキングの在り方を問い直してみてもいいかもしれない。

「ランボー ラスト・ブラッド」は、力作以上の“超力作”と呼んでみたい作品だった。戦争を引きずる人間の修羅が、どのように過酷なものなのか。筆者は、涙なしでは画面と相対することができなかった。「さらば、ランボー」。スクリーンのなかの老いたランボーに向かって、内なる静かな声でいいから、そう叫ぼうではないか。今からでも遅くはない。

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