岡田有希子も絶頂期に…「理想の男性」に挙がった俳優が明かした複雑胸中【芸能記者稼業 血風録】

岡田有希子も絶頂期に…「理想の男性」に挙がった俳優が明かした複雑胸中【芸能記者稼業 血風録】

(左から)沖雅也、岡田有希子、「X JAPAN」のhide(C)共同通信社

【芸能記者稼業 血風録】#38

 深く記憶に残る芸能人の自殺がある。1983年6月、俳優・沖雅也さんの京王プラザホテル47階からの飛び降り自殺(享年31)。「太陽にほえろ!」の刑事役で人気を博していた最中の自殺だった。さらに養父になっていた事務所社長・日景忠男に宛てた「おやじ、涅槃で待つ」の遺書の一部が明らかになり、沖の秘めた私生活がさらなる衝撃を与えた。世間も男と男の世界を知ることになり、新宿2丁目のゲイバー地区が注目されるきっかけになった。

 沖が自殺した年にアイドル歌手としてデビューしたのが岡田有希子だった。順調にアイドルとしての階段を上っていたはずが、1986年4月、所属していた芸能プロ「サンミュージック」のビルの屋上からやはり飛び降り自殺した。デビューからわずか3年、18歳の若さだった。

 人気絶頂期の自殺は意外な形を見せる。ドラマで父と娘の役で共演していた俳優の峰岸徹(享年65)との関係が自殺の一因との話が流れだした。40過ぎた家庭ある峰岸と2回り近く年の離れた岡田の不倫は常識的には考えられなかったが、岡田が「理想の男性」に峰岸の名前を挙げていたこともあり信憑性を増した。映像関係者からも「仲は良かった」という話ばかり。撮影所内の2人の写真も掲載されるなど峰岸の話は独り歩きした。ついには、自宅前で異例の会見に応じた峰岸は「自分は兄貴のつもりでしたが、彼女には別な感情があったかもしれない」と複雑な気持ちを明かすまでになった。いまだに自殺の真相は分かっていない。

 1998年5月、人気ロックバンド「X JAPAN」のメンバーだったhideが自宅マンション寝室のドアノブに掛けたタオルで首を吊った状態で亡くなっていた(享年33)。謎めいた死も、「牽引(誰かにタオルを引っ張られた)にしては傷が小さい。『最近、音楽活動で悩み酒量が増えていた』と聞いており、突発的に死に踏み切ったのだと思う」と、警察は自殺と断定したが、音楽仲間は「遺書もない」「悩んでいる様子もなかった」と自殺を否定。一転、「故意による自殺」か「不慮の事故」で意見は割れた。

 四十九日も終わった梅雨明けの蒸し暑い日だった。改めてhideの両親の取材に出かけた。基地の街、横須賀駅から車で5分ほどの実家に昼近くに着いたが、あいにく留守。近所の人から「夕方はいるはずよ」と聞き待つことにしたが、4時間近くをどう潰すかが問題。取材では多々起きることだが、不思議なことに住宅街なのに近くにラブホテルがポツンと一軒あった。すでに汗だくだ。男1人で泊まれないのが原則だが、事情を話し休憩できたのは助かった。これも記者稼業ならではの貴重な思い出のひとつになっている。

 夕方になり改めて母親を取材したが、「事故死」を強調するだけだった。改めて思う。自殺の取材や報道の仕方ほど難しいものはないと。=つづく

(二田一比古/ジャーナリスト)

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