菅氏を半沢直樹に重ねて礼賛ムードを煽るTV局に強烈な違和感【ラサール石井 東憤西笑】

菅氏を半沢直樹に重ねて礼賛ムードを煽るTV局に強烈な違和感【ラサール石井 東憤西笑】

まっとうな感覚の持ち主(C)日刊ゲンダイ

【ラサール石井 東憤西笑】

 今週のサンデー・ジャポン(略してサンジャポ)は、コロナで欠席の爆笑問題田中に代わって、せいやが登場。見た目だけで代役MCというサンジャポらしい始まり。

 今回のメインテーマは自民党総裁選。同じTBSであることを最大限に利用し、VTRを「半沢直樹」風に仕上げてきた。ナレーションを金子恵美氏に読ませるなど、いかにもサンジャポらしい作り具合。

 しかし、その主役である「半沢直樹」を菅義偉氏に据えているのには強烈な違和感を覚えた。

「半沢直樹」はそもそも銀行の中でもはぐれ者の一社員。その彼が数少ない仲間たちと協力しながら、銀行内で不正を働く重役たちに一泡吹かせるお話だ。

 さらに、現在の敵は現行政府の重鎮政治家。大きな権力を私利私欲のために行使する「権威」との戦いを描いている。その権力の真っただ中にいる菅氏を「半沢直樹」に重ね合わせるのは、さすがに無理筋ではないだろうか。

 むしろ菅さんは、悪役側にキャスティングして、麻生氏や二階氏らをアップで編集するのがパロディーの醍醐味だろう。

 そもそもパロディーなんて下から見て上の人間を批判的に扱うことで、その面白みを発揮するものだ。

 上の人間をヨイショするために作られても、「権威を笑う」というパロディーの構造が十二分に発揮されない。

 もしどうしても3人の候補のうち誰かを「半沢直樹」にするのなら、石破茂氏が最もふさわしいのではないか。仲間も少なく19人。中央から追われ窓際状態。「石破潰し」のために総裁選のルールも変えられる。果たして逆境の石破半沢直樹はこの内部抗争に勝てるのか。となれば「半沢直樹」の世界になる。

■番組に苦言を呈した紗理奈の気骨に快哉を叫んだ

 さて、このVTRを見た鈴木紗理奈は「誰が権力持ってるかとかってすごい分かりにくいなと思っててんけど、こうやってドラマにしたら、今すごい分かりやすくて、なんなら菅さんのファンに、一瞬でなったんですよ」と、その効果を絶賛した。

 その上で「だから、メディアがどう取り上げるかっていうのが、すごい大事やなと思って。まんまとこの(自民党の)動きにメディアが乗せられて、こんなVまで作っちゃったら、自民党の思うツボやなっていうのは思ったんですけど」と述べ、「乗せられたらヤバイと思った」と番組に苦言を呈した。

 素晴らしい。私は心の中で快哉を送った。番組の制作意図に流されず、言うべきことを言った。鈴木紗理奈という人のこれまでのスジを通してきた生き方が垣間見えた瞬間であった。

 それにしても政治家に直撃するなど牙のあった番組作りはどこに行ったのか。あの牙はどこに置いてきたのだろう。

(ラサール石井/タレント)

関連記事(外部サイト)