近ごろは落語家が「講談を教えてほしい」と稽古に来ます【「講談」ブーム再来の舞台裏】

近ごろは落語家が「講談を教えてほしい」と稽古に来ます【「講談」ブーム再来の舞台裏】

新宿・末廣亭(C)日刊ゲンダイ

【「講談」ブーム再来の舞台裏】#3

 寄席に行けば落語も講談も楽しめるが、落語と講談はどう異なるのだろう。改めて松鯉師匠に聞いてみた。

「落語は噺家というように“話す芸”、講談は物語を“読む芸”です。講談は耳で聴く物語なんです。どうやって美しく奇麗に物語を読んで、お客さんに届けるかが大事です。七五調で調子をつけて、お客さんを引きつけ退屈させないようにして。反対に落語はほとんどセリフで成り立っている。笑いを誘うオチのある『落とし噺』が発祥で、幕末から明治時代にかけて、初代三遊亭円朝が親子や夫婦の情愛を描いた人情ものを自作自演でやり始めたら人気になって『人情噺』の礎となった。それが落語の骨格です。

 講談には落語の『落とし噺』のジャンルはなくて、落語の『人情噺』に対して、『世話講談』というジャンルがあります。それから講談には『太平記』や『源平盛衰記』などの『軍談』があります」

 落語と講談、同じネタをやることはあるのだろうか。

「実は講談ネタを落語にしたものはたくさんあります。例えば、同じネタを講釈師がやると『世話講談』になり、落語でやると『人情噺』になるわけです。最近はいろんな落語家が私のところに講談を教えてほしいと稽古に来ますよ。近ごろはお客さんがしっかりした筋のある物語を聴きたいという流れになっている。世の中が変わってきてるんですね。そんな雰囲気に気がついた落語家が講釈師に講談を教わろうって思うんでしょうね」

 もっとも、今でこそ6代目神田伯山人気で講談が注目されているが、かつてその逆の時代があった。

「私が若い頃、講談があまりに売れないんで悩んだ揚げ句、当時、若くしてマスコミの寵児であった立川談志師匠に、講談に対するご意見をうかがったことがあるんですよ」

 落語界をもり立てた大立者、談志師匠が松鯉師匠にどんなアドバイスをしたのか。

(神田松鯉/講談師 構成=浦上優)

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