角川博さんが振り返る 西城秀樹さんとの“お好み焼き屋”レア写真の思い出【私の秘蔵写真】

角川博さんが振り返る 西城秀樹さんとの“お好み焼き屋”レア写真の思い出【私の秘蔵写真】

西城秀樹さんと(C)明星/集英社

【私の秘蔵写真】角川博さん(歌手・66歳)

 今年デビュー45周年を迎えた角川博さん(66)にとって、2年前に亡くなった西城秀樹さんは同郷で同じ事務所所属の兄弟のような存在。この写真はお互いに多忙な中、原宿でお好み焼きの店をやっていた西城さんと撮ったレアな一枚!

■「この写真を見ると青春時代を思い出す」

 僕と秀樹さんは同じ広島生まれ、所属した事務所もレコード会社も一緒でした。それだけでも珍しいのに、さらにスカウトしてくれた人も一緒だった。プロダクションには秀樹さんの妹といわれた河合奈保子や石川秀美、岩崎宏美もいてとても活気のあった時代です。

 秀樹さんは新ご三家の一人として、超売れっ子のガンガンのアイドルでした。当時、原宿のパレフランスを入ったところにあるビルの地下に「MOMIJI HOUSE」というお好み焼きの店をやっていて結構、はやっていました。3、4年くらいやったのかな。そのうち忙しくなって僕らをスカウトしてくれた藤本好一さんが引き継ぎました。藤本さんは寺内タケシとブルージーンズで活躍した人です。

 僕は秀樹さんの2つ上だけど、デビューは4年遅い1976年。デビューして「嘘でもいいの」で新人賞を受賞、お互い寝る間もないほど忙しい時期でした。週刊誌が「われら広島仲間」みたいな企画で取り上げてくれるというので、秀樹さんの店で宣伝も兼ねて取材してもらった。これはその時の写真です。僕はお好み焼きが好きで作るのも得意。取材というので秀樹さんも作って、2人で一緒に食べました。

 彼はアイドルでも、男っぽい性格でね。バラエティー番組でおどけてみせたりするでしょう。その頃合いがよかった。同じ事務所だから、いわば兄弟みたいなもの。あれこれしゃべらなくてもわかりあえた間柄です。

 残念だったのは病気をしたことです。脳梗塞で3回も倒れたから。最初は軽かった。ひどかったのは公演先の韓国で倒れた2回目かな。元気な秀樹さんだから周りに弱みを見せたくないし、再びステージに立つため、ご家族に支えられながらリハビリをやって頑張っていたようです。11年に倒れた時には右半身の麻痺と言語障害が残ったから、つらかったと思います。

脳梗塞で倒れた翌年、新宿のバス乗り場でバッタリ!

 なかなか会うこともできないだろうなと思っていました。それが、翌12年の春先、3月のことです。思いもかけないところでバッタリ会うことができた。

 新宿の55ひろばのバスの発着所に、スキー教室で出かけたうちの下の子を夫婦で迎えに行った時です。まだ寒くて、ビルの中で待っていたら見覚えのある人が杖をついて立っていた。あれ、だれだろうと思って見たら秀樹さんだった。思わず「西城さん!」と呼びました。

 秀樹さんは結婚して10年くらい。上の子がうちの子と同じくらいで、やはりスキー教室からの帰りを夫婦で迎えに来ていたんです。

 バスの到着が遅れていたので、近くのカフェでお茶しながら一緒に子供の帰りを待っていました。秀樹さんの奥さんはすぐ近くの席でお友達と、僕は秀樹さんとたくさん話をしました。「体は大丈夫なの?」と聞いたら、リハビリをして、また仕事がしたい、頑張りたいというような感じのことを言っていたかな。お互いに連絡先を交換して「また会おうね」と言ってその時は別れました。

 後日、自宅に秀樹さんから留守番電話に「また連絡させていただきます」とメッセージが残っていたのですが、こちらも忙しくさせていただいていた時期で、お会いすることはありませんでした。

■公演先で姿を見たのが最後

 最後に会ったのは亡くなるちょっと前です。18年4月19日、練馬文化センターで日本歌手協会の「第23回紅白歌合戦」が行われました。秀樹さんは出演者じゃなく、客席の後ろの方で座って見ていました。公演の途中で司会者の方が「西城さんも見えてます!」と紹介したので、確か、手を振ってファンに応えていたと思います。

 その時は僕が楽屋に入ろうとしたら、客席の方から楽屋の方の通路に車椅子でやってきた。周囲に人が多くて、挨拶もできないし、秀樹さんも僕のことはわからなかったと思います。なんとか元気になってくれればと願いましたね。

 それから6日後の25日です。自宅で倒れて緊急入院し、そのまま5月16日に息を引き取りました(享年63)。亡くなって胸にポッカリと穴があいた気がしました。休みなく働いていたから、改めて会うようなことはなくて時々、番組で一緒になって「元気?」なんて言葉を交わすことがほとんどだったけど、いなくなってみると、本当に寂しかった、つらかったですね。

 この写真を見て、同世代の秀樹さんと一緒に過ごした青春時代を思い出しています。

(取材・文=峯田淳/日刊ゲンダイ)

関連記事(外部サイト)