中森明菜がステージから消えて3年 取材相手は誰もが「もったいない」と口を揃えた【芸能記者稼業 血風録】

中森明菜がステージから消えて3年 取材相手は誰もが「もったいない」と口を揃えた【芸能記者稼業 血風録】

中森明菜(C)日刊ゲンダイ

【芸能記者稼業 血風録】#56

 一時、中森明菜の個人マネジャーをしていた元六本木の黒服・E氏の話を改めて紹介する。

「恋人ではありませんよ」と否定しながらも、明菜との公私にわたる話は壮絶な一面もあった。

「仕事に夢中になっているときは神が降りてきたように力を出す素晴らしい歌手でした。半面、何か気に入らないことがあるとキレ方が半端じゃなかった。モノは投げるし、海外のホテルの部屋の調度品を壊したこともあります。その日の機嫌次第の面があったとはいえ、うまく操縦するのがマネジャーの仕事。私みたいな素人ができることではありませんでした。今はいい思い出です」

 中ぶらりん状態になった明菜に再び手を差し伸べた人物がいた。大阪から来たK氏。芸能界に精通した謎めいた人だった。

 芸能界には昔から「フィクサー」的な人がいた。長野の山に住んでいたA氏は上京すると大手芸能プロ幹部らと会い、相談ごとに乗ったりアドバイスを送ったりするだけで、誰もが一目を置く存在だった。何度となく会食したが、常におしゃれなスーツ。腕にはダイヤをちりばめたウン千万するような時計。「これじゃ、針も見えないし時間がわかりませんね」と聞くと、「こんなものはアクセサリーや。時間は人に聞けば教えてくれる」と返すユーモアのある人だった。

 K氏はいつもにこやかで腰の低い人だったが、いつも精力的だった。芸能界からテレビ界、興行界まで日本全国津々浦々まで幅広い人脈を持ち、行動力もあった。明菜のマネジメントをするに当たり、旧事務所にきちんと挨拶に出向くなど、スジを通していた。K氏には明菜の自殺未遂の真相を知りたいと、単刀直入に聞いた。「それは俺も興味ある」と理解を示し協力をしてくれた。さらに新たな取材先も加わり、新たな話と事件当時の間違った情報も確認できた。詳細は省くが、「結婚したい気持ちが強い明菜と、結婚に踏み切れない近藤。交際年月の経過とともに温度差は広がり、突発的に自殺を図った」という結論と、「2人の新居の費用を明菜が近藤に預けていた」というのが定説になっていることだった。

 しかし、すべては周辺からの話で確証はない。2人以外で一番、真相を知っている可能性のあるのはひとりだけ。当時の近藤のマネジャーだったM氏。すでにジャニーズ事務所を辞めていたM氏に連絡を取った。面接での取材を求めたが、「どこまで調べているのか先に教えて欲しい。それによっては」と返してきた。記者との手の内の探り合いである。ある程度の話に抑えて話した。「7割くらいは当たっているかな」と笑ってかわされた。真相は再び暗礁に乗り上げたままである。

 明菜の取材を通して痛感したことがある。誰の口からも出てきたのが「素晴らしい歌手」「もったいない」という言葉だった。やはり特別な存在の歌手。ステージから消えてすでに3年近く経つ。歌手・中森明菜の復活を願うだけである。

(二田一比古/ジャーナリスト)

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