京アニ新作「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が泣ける…話題作は「鬼滅の刃」だけじゃない

京アニ新作「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が泣ける…話題作は「鬼滅の刃」だけじゃない

(C) 暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

今もっとも泣けるアニメとして「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が評判になっている。2018年からテレビアニメが放送され、映画「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は9月18日から公開され、11月8日付で観客動員数は123万人を突破。興行収入17億円を記録した。

 原作は暁佳奈氏による小説で、製作は「京都アニメーション」。原作の小説は、過去10回にわたって催された「京都アニメーション大賞」の唯一の大賞受賞作品でもある。

 京アニは19年7月18日の放火事件で、69人が死傷する悲劇に見舞われた。アニメファンの間で知らないものはいないほど有名な製作会社である京アニの作品によって、筆者も良い意味で人生を変えてもらったひとり。事件前、外観をこっそり見に行ったこともある。

 今作はもともと、20年1月10日に公開予定だったが、あの痛ましい事件によって20年4月以降の公開に延期され、さらに新型コロナウイルスの感染拡大によって2度目の延期を余儀なくされた。度重なる受難を経て、ようやく公開された本作の製作には事件で亡くなった社員の方々も多く携わっており、エンドロールで名前を見つけるたびにこみ上げてくるものがあった。

■「愛してる」の言葉を知るために

 もちろん、ストーリーの秀逸さにも胸を打たれる。主人公の少女・ヴァイオレットは戦場で武器として使われるために育てられた。そんな彼女を拾い、初めて「人間扱い」をしてくれた少佐が最後に言った「愛してる」という言葉の意味を知るために、彼女は「自動手記人形」と呼ばれる代筆屋の仕事を始める。その過程で人々の愛や思いに触れ、人として大切なものを知っていく姿を描いた作品であるが、全体を通して描かれているのはやはり「愛」だ。「愛する」というのは、どういうことか。大人になっても、明確な答えを持っている人は少ないだろう。

 この世には人の数だけ、愛の形が存在している。愛しているからこそ、遠ざけ、素直になれない時も多い。そして、そんな愛を伝える手段として本作で用いられているのが「手紙」だ。作中で紡がれる手紙は、「私たちは愛を知り、その思いを伝えるために生まれてきた」という普遍的なテーマを私たちに提示してくれた。

 そして魂が震えるほどの京アニの美しい描写は、決して絵やコマとしての美しさではなく、アニメーターの方々の思いが込められていると思えてならなかった。上映後、周りを見渡すと、赤い目をして鼻をすすっている人がたくさんいた。「鬼滅の刃」だけでなく、ぜひこちらも観賞してみて欲しい。

(取材・文=SALLiA)

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