「最近の若者はギターソロを聴かない」論争から考える、サブスク普及と音楽の関係

ツイートまとめサービスTogetter(トゥギャッター)を運営しているスタッフがTwitterで注目された話題を厳選し、考察するコラムの第50回をお送りします。今回のテーマは、ロックミュージックにつきものの「ギターソロ」と定額制音楽配信サービス(サブスクリプション=サブスク)の関係です。

Togetter社が解説する「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」<出張版>

■若者はギターソロをスキップする?

先日、「サブスク音楽配信サービスが当たり前の若い世代は、リスニング中にギターソロをスキップしている」という話がTwitterで盛り上がりました。発端は音楽評論家の能地祐子さんのツイートです。

投稿は、米紙ニューヨーク・タイムズが、今年のグラミー賞では「ロック」カテゴリーのノミネート曲の多くにギターソロがないと紹介しており、それに衝撃を受けた、という内容でした。

これにミュージシャンの高野寛さんが「サブスクで、ギターソロが始まるとスキップする若者多いみたい」などと反応すると、「ギターソロ」というワードがTwitterのトレンドに入るほど話題が拡散。

高野さんは京都精華大学で教鞭をとっており、その経験からも、若者の音楽の聞き方が変化していると感じていたそうです。

<ギターソロが始まるとスキップする若者多いらしい - Togetter>

■「サブスクでは音楽に愛着が持てない」のか

Apple Musicなどが日本に上陸した2015年を振り返ると、NHK「クローズアップ現代」が「あなたは音楽をどう愛す?〜新・配信ビジネスの衝撃〜」という特集を放送し、この番組を見た人たちが「日本の音楽業界が衰退した原因」についてTwitterに投稿。大きな盛り上がりを見せていました。

<日本の音楽業界が衰退した原因について - Togetter>

2020年の「インターネット白書」には、定額配信サービスを利用するユーザーが増加したことで音楽の聞き方に変化が起きたという記載があります。

この頃には「サブスクが流行り始めてから曲の前奏(イントロ)が短くなった」といった声が多く見られるようになり、音楽との接し方が変わったことで楽曲そのものにも影響が出た可能性が考えられます。

<「サブスクリプションの音楽サービスが流行りはじめてから前奏が平均5秒までに短縮された」という話に色々感じることがある方々 - Togetter>

また、サブスク音楽配信サービスのメリットとデメリットについての議論も活発になっています。2021年には「サブスクでは音楽に愛着が持てない」というTwitterユーザーの投稿が発端となり、「モノとして所有することによって愛着が生まれる」「サブスクによって音楽との出会いが広がった」といったさまざまな声が集まりました。

<サブスクで音楽は死ぬのか - Togetter>

■ギターは「終わった」のか?音楽の作り手からの声

「ギターの神様」と呼ばれるエリック・クラプトン氏は2017年の会見で、ギターの売上が落ち込んでいることを記者から指摘されると、「ギターはもう終わっちゃったのかもね」と笑って答えたのだそう。複数のメディアが発言を報じています。

<ギターの売り上げ減少にエリック・クラプトン「多分、ギターは終わったんだろう」応答でギターファンそれぞれの感想 - Togetter>

2021年には音楽評論家の岡田敏一さんが産経新聞(ウェブ版)に掲載したコラム「イントロとギターソロを飛ばして聴くのは邪道」がTwitter上で大きく拡散。「強いイントロ=サビを用意して聴き続けてもらわないといけなくなっている」「セールスと楽曲の良さは切り離して考えざるを得ない」といった声が集まりました。

<「イントロとギターソロのある楽曲は売れない」若い世代の流行に愕然とする音楽関係者の声 - Togetter>

今回注目されたギターと音楽と話題については、作り手側の声も注目されました。

「ギターソロ」のTwitterトレンド入りに反応したギタリストのマーティ・フリードマンさんは「音楽の作成の過程はコストが多く、一番節約できる部分はギターソロ」と音楽制作サイドの事情に言及。コスト節約のためクオリティの高くないギターソロが作られてしまっている点もスキップされる要因では、と説明しています。

<ギターソロがスキップされる風潮について、マーティ・フリードマン氏が作り手側の事情を語る「一番節約できる部分はギターソロ」 - Togetter>

■「またギターの時代が始まる」ミュージシャンたちの期待

マーティさんだけでなく、多くの人気ミュージシャンがギターソロのある楽曲に期待を寄せているようです。

くるりの岸田繁さんは「曲を飛ばしてギターソロだけ聴く」とツイートしており、King Gnuの常田大希さんも「またそのうちギターの時代が始まる」と投稿。これらのツイートに、ファンからはギターやギターソロに期待する反応が多数届いています。

「若者がギターソロをスキップする」話が注目された理由は、主に以下の3つにありそうです。

・2015年からの各種サブスクの普及をきっかけに、音楽をめぐる変化について話が盛り上がっていた
・音楽とギターについての話も以前から関心が高まっていた
・多数の著名なミュージシャンが話題に反応し、拡散された

レコードからCD、ダウンロード販売、そしてストリーミングと、時代によって音楽コンテンツの届き方は変わってきました。だからといって「サブスク世代」の若者が全員ギターソロをスキップするわけではありません。アーティストが作った素晴らしい楽曲にファンが呼応していくという関係は変わらないはずなので、ギターソロが消えてしまうことはないのではないでしょうか。

以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド出張版」でした。次回もお楽しみに。

(Togetter編集部)

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