パッキャオに1Rで54発TKO負けした寺尾新が告白 「千手観音に見えた」「一撃一撃が鉄パイプ」

パッキャオに1Rで54発TKO負けした寺尾新が告白 「千手観音に見えた」「一撃一撃が鉄パイプ」

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「史上最強のボクサーは誰か?」という話題になれば、マニー・パッキャオ(39)の名前が必ず候補にあがるだろう。世界6階級制覇を果たしたフィリピンの英雄だ。

そんなパッキャオと戦った日本人ボクサー、寺尾新(46)がテレビ番組に出演。「勝てると思った」と息巻いて臨んだものの、「歯が立たない」と圧倒されるまでの試合経過を克明に語った。

パンチ1発が「軽い交通事故みたいな感じ」

パッキャオは19歳でWBC世界フライ級王座を獲得すると、階級を次々と上げ、スーパーウェルター級までの計6階級で世界王座を獲得。2015年5月にはフロイド・メイウェザー・ジュニアとの世界ウェルター級王座統一戦を行い、「世紀の一戦」として全世界が注目。パッキャオは1億5000万ドルのファイトマネーを稼いだ。通算戦績は68戦58勝(38KO)7敗2分。

選手としてだけでなく、2016年11月には東京・原宿で「パッキャオジム トーキョージャパン」を設立し国内で話題に。また、フィリピンでは国会議員をつとめている。

そのパッキャオが最初の世界タイトルを取る直前の1998年5月に対戦した寺尾新が、2017年12月18日放送の「激レアさんを連れてきた。」(テレビ朝日系)に出演。当時27歳の寺尾は10勝2敗1分けで日本フライ級2位と波に乗っていた。この時WBA世界5位だったパッキャオには、前日計量で顔を合わせても「オーラがなかった」といい、「勝てば世界ランカー」と息巻いた。

パッキャオのスタミナ不足を突こうと考えた寺尾は、前半はアウトボクシングで体力を削り、後半に畳みかける作戦だった。だが、その構想は最初のラウンドで消し飛んだ。

1R1分30秒すぎ、パッキャオの左ストレートが寺尾の顔面を直撃し、ふらついた。

「3〜4メートル離れているイメージで安全地帯にいたはずなのに、飛び込んできた。頭からなめるようなイメージで、それ一発でガクンときちゃって。軽い交通事故みたいな感じですね。今まで味わったことのない衝撃でした」「もう顔も見たくない」

パッキャオは猛ラッシュ。寺尾は「千手観音に見えた」とし、「あっちこっちから、あらゆるところからパンチが来て避けようがない。一撃一撃が鉄パイプ(で殴られた)みたい」だったと語る。「途中からやりたくなくなった」と戦意喪失しかけながら、「弱気な自分と強気な自分」の間で耐えていたが、1R2分59秒でTKO負けした。計54発のパンチを浴びていた。

「いつもなら負けたらリベンジしてやろうと思っていたんですが、パッキャオに負けた時はもう顔も見たくないと思いました」

生活のすべてをボクシングに費やしてトレーニングに励んできた寺尾は、

「負けた次の日、本当はお酒はいけないんですけど、ウイスキー飲んで吐いてましたね。あれだけやったのにこんなに歯が立たないのかと」

と打ちのめされた。パッキャオはこの7か月後に世界王座を取るが、「自分からは見たくもなかったですね。(パッキャオが載った)雑誌のページも飛ばしていたし」とトラウマのような状態。寺尾はパッキャオ戦後、2試合を戦って引退した。

しかし、パッキャオがスターダムに上っていくと「パッキャオに54発もらった男」という「肩書き」に目を付けたプロモーターから格闘技のオファーが殺到。キックボクシングやプロレスでタイトルを取るまでに上り詰めた。

現在は格闘技フィットネスジム「PREBO」(神奈川県相模原市)で会長を務めている。今でもパッキャオのファンがジムを訪れてくれるといい、寺尾は「過去の栄光で飯は食える」という「格言」を残していた。

敗れはしたものの寺尾のどこか清々しい語り口に、インターネット掲示板では「正直で好感持てるな」「寺尾さん正直で面白い こりゃ天然でモテるな」「まあやる気なくなるわな 本物と明らかな差見せ付けられたら」といった声が続々と出ていた。