『昭和のおんな』100回記念拡大版 第7話 父子家庭に貢ぐ主婦 範子 (当時47歳・佐賀県) 昭和52年

パチンコ屋で出逢った男性と親密になりました。妻を病死で失い病弱な6歳の女の子と暮らす見習い挿絵画家・道也(32)が、その人です。収入が不安定なので生活が苦しいようでした。

 幼稚園生の娘・佳織ちゃんはとても可愛い子でした。会うたびに、子供用の衣服を1枚プレゼントすると大変喜ぶのです。その顔を見ると、「もっと、何かしてあげたい」と思うのでした。

 佳織ちゃんが2泊で検査入院した日、道也の安アパートで私は彼の求めに応じて体を許しました。息抜きが何もない彼が不憫に思えたのです。代わり映えしない夫とのセックスとは、心の震え方も悦びも大違いでした。

 その後、自分の預金を切り崩してセックスの度に「子供の治療費にして」と、お金を渡しました。

「よいことをしているんだ」と自分に言い訳をして、彼とのセックスで激しくオーガズムを貪る私は、非難されるべき偽善者だったでしょう。

 この関係は彼が挿絵画家として一人立ちするまで、5年間続きました。誰にも言えない2人の秘密の思い出です。

【解説】
 昭和52年は、刺激的な性情報やオープンなエロ記事が雑誌メディアを賑わすようになった頃。そのため、世間の男女がソワソワして冒険的な恋を求めて行動し始めていた。そんな状況を家庭に閉じ込もっていた専業主婦たちが羨ましく眺めていた時代でもあった。
 また、情が深くて男好きな女性が、夫に内緒の通帳を切り崩して、金が不足している男の生活を支えるケースが、至る所で見られるようになっていた。
 この主婦は息抜きの場がない画家に同情したようだが、婚前に経験した新鮮なセックスのトキメキを忘れられなかったに違いない。
 この時代の専業主婦には、自分の行動を自己弁護したり、美化しなければ思い切ったことは何もできない人たちが多くいたのだ。

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