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ボランティアが足らないと公務員らに給与二重払い

――東京五輪では11万人のボランティアがほぼ“タダ働き”させられそうです。なぜ、報酬が支払われないのでしょうか?
本間 私は昨年2回、組織委に対して「なぜボランティアはタダ働きなのか?」と文書で質問しましたが、彼らからは、明確な回答はありませんでした。恐らく過去の大会が無償ボランティア中心だったことや、ボランティア11万人分の人件費を払わずに節約したいと考えたのでしょう。
 しかし、今年2月の平昌五輪では3食、交通費、宿泊費のすべてが支給されました。国内でも、'98年の長野五輪では、県外から集まった約3000人分の宿泊費が支給されたんです。ボランティアが“すべて無償”などという虫のいい話は、かつて一度もなかったのです。

――SNS上ではボランティア参加を促す“偽装工作ツイート”が話題になっています。実際に動員される学生たちは、どう考えているのでしょうか?
本間 学生たちは、語学が得意で通訳に自信があるので積極的に応募したいという層、これといった特技がないのでどうしようかと迷っている層、そして、もともと興味ない、タダ働きしたくない層、という3種類に分かれていると思われます。
 ちなみに、私がある大学で講義した際、講義前は8割の学生がボランティアに参加したいといっていたのに、講義後は“ゼロ”になりました。“搾取の実態”を知れば、きちんと判断する能力を学生たちは持っているのです。

――先日、ジャカルタで開催されたアジア大会では、ボランティアに“破格”の報酬が支払われました。今後、日本でも待遇が変わる可能性はありますか?
本間 ほとんどないでしょうね。今後、追加募集する場合、次は有償で集めるとなると、大会運営にダメージが大きすぎます。また、最初に応募した人たちと途中からの人では大きく条件が変わり、結果的に全員に給料を払うことになりますから、それは何としても避けたいでしょう。
 また、ボランティアが定員に満たない場合、スポンサー企業の社員や、都庁、都内市区町村の公務員をかき集めて埋めようとするはずです。しかし、彼らは“仕事”として参加しますから、業務扱いか有休扱いになる。そこに組織委が日当を払うとなると給与の二重払いとなり、別の批判が発生するでしょう。
 有償ボランティアと無償ボランティアが混在すると“士気の低下”を招きかねないので、組織委員会が途中からカネを払うことは絶対にないと思います。
_(聞き手/程原ケン)

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本間龍(ほんま・りゅう)
1962年生まれ。著述家。'89年に博報堂に入社。'06年に退社するまで、一貫して営業を担当。その経験をもとに、広告が政治や社会に与える影響、メディアとの癒着などについて追及。

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