特選映画情報『マチネの終わりに』〜“奇跡のアラフィフ”石田ゆり子の中年プラトニック・ラブ!

特選映画情報『マチネの終わりに』〜“奇跡のアラフィフ”石田ゆり子の中年プラトニック・ラブ!

(提供:週刊実話)

配給/東宝 TOHOシネマズ日比谷ほかにて公開
監督/西谷弘
出演/福山雅治、石田ゆり子、伊勢谷友介、板谷由夏、桜井ユキほか

 “奇跡のアラフィフ”と謳われる人気女優・石田ゆり子は、この10月3日で正真正銘50歳になった。五十路突入だが、その美貌と魅力はそのまま。男女問わず、人気が出るわけだ。そんなゆり子サマが、同じく今年50歳となった、これまた人気アーティスト・俳優の福山雅治との豪華な“最強五十路コンビ”で送るラブ・ストーリーというわけ。平野啓一郎氏の同名原作を『昼顔』(17年)などの西谷弘監督が手掛ける。

 世界的なクラシックギタリスト・蒔野(福山雅治)は公演の後、所属するレコード会社の社員・慶子(板谷由夏)に、彼女の友人である有能なジャーナリスト・洋子(石田ゆり子)を紹介される。洋子への想いを募らせる蒔野は、彼女に婚約者の新藤(伊勢谷友介)がいるのを知りつつ、洋子への愛を告げるが…。

 主要4人の俳優の中で唯一、見る前に不安だったのが、ごひいき石田ゆり子だった。果たして、パリの通信社に勤務する国際記者という硬派の役を演じ切れるのか、と。何せ素顔は天海祐希との変形トーク番組『スナックあけぼの橋』で好評の天然なチーママ役に近いとか。イメージと掛け離れた役柄もこなしてこそ女優であろう。

 そこは、さすがゆり子サマ、こちらの懸念をよそに、テロの渦巻くフランスで、画一的な答弁を繰り返す長官に激しく迫ったり、ビルのフロアで爆弾テロが起こる中、閉じ込められたエレベーター内で、すかさず現状を自撮りで緊急現場リポートし、臨機応変な“ブンヤ魂”を発揮する“男前”な役に違和感はなく、このあたりのセリフはほぼ仏語、英語だが、こちらもうまくこなしている。これは“石田ゆり子史上最もアクティヴな役”かもしれない。

 “運命の出会い”にしても、男ほどのめり込まない。決して恋に溺れず、ジャーナリスト精神を優先させる。思いを断ち切るために婚約者との結婚を決断するのも、結婚が破綻すれば決然と離婚し、さっさとジャーナリストに復帰するのも彼女の強い意志ゆえ。こんなにテキパキと動くゆり子サマはまぶしい限り。これまでどこか危うく、守ってあげたい薄幸の風情が似合ったが、今回は違って小気味よい。

 福山とラブ・シーンが窓際での濃厚なキスのみで、さあこれから、というときに物音が邪魔してそこまで…そんな殺生な。あくまで描写は“プラトニック”を貫くのだが、まあ、しゃーない、たまには“純情中年”気分もよかろう、と納得させてしまうのも“ゆり子効果”なのだろうか。これは、生身の石田ゆり子の新境地に拍手する“奇跡の50歳”祝賀ムービーかもしれない。
 《映画評論家・秋本鉄次》

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