蝶野正洋の黒の履歴書 ★“少年スポーツ”のルールと問題点

蝶野正洋の黒の履歴書 ★“少年スポーツ”のルールと問題点

(提供:週刊実話)

少年野球で「盗塁」を禁止しようという動きがあるみたいだね。小学生だとまだ守備レベルが低いから、バントで転がして出塁し、盗塁を繰り返して点を稼ぐという戦略が横行しているらしい。それに、キャッチャーもまだ肩ができてないから、盗塁を刺すために何度も送球してると肩を壊してしまうという問題もあるようだ。

 俺は、この少年野球での盗塁撤廃は“賛成”だな。高校野球のピッチャーでも球数制限しようとか、議論になってるじゃない。あんなのは、どんどんやるべきだと思うよ。

 柔道はすでに小・中学生のジュニアクラスと、一般ルールを分けている。小学生は絞め技と関節技が禁止とか、奥襟を取っちゃいけないとか、さらに細かい規定がある。

 ウチの子どもは柔道をやってるんだけど、小学校を卒業してすぐの春の大会に出て、鎖骨を折ってしまったことがあった。やっぱり、子供の成長期は体が大きくなるぶん、いろいろな箇所に変調も出てくるから、無理をさせるとケガしやすい。いま思い返すと、俺も中学生くらいのときにスポーツで腰の尾骨をケガして、レントゲンを撮りに行ったことを覚えている。しっかりと体が出来上がってくるのは18歳前後だから、本当に鍛えるならそこからやらないといけないんだよ。

 18歳未満でもオリンピックレベルになる選手っていうのは、成長が早かったり、骨格や筋肉が頑丈でトレーニングに適応したっていう、稀なケースだと思うんだよ。

 ほとんどの子どもたちは、中学生では体ができていない。そこに、野球だったら無理して盗塁を刺せる肩を作っちゃうってことのほうが危ないよ。中学生でも小学生でも、やっぱり勝ちたいし、記録として残していきたいっていうのは分かるけど、子どもたちを無理させるのはいけない。だから、悪いのは指導しているオトナだろうね。

 小学生から本格的にやらせると心がもたない
 だったら、そこはルールで制限すればいい。盗塁禁止もそうだけど、9回までやる必要はなくて6回までにする、サッカーだったら20分ハーフとかね。そこは、ルールで変えていくべきだと思うよ。

 それと、これは体だけじゃなくて、“心の問題”でもあるんだよ。人間は、1つのことに集中して取り組める期間が決まっていて、俺はどんなに長くても10年だと思う。それが頂点を取るぐらいまで集中させたら、数年しかモチベーションをキープできないんじゃないかな。

 小学生から本格的に練習やトレーニングをやらせちゃうと、体はまだ成長するし、記録としてもまだ伸びるのに、18歳になる頃には気持ちが終わっちゃう。高校野球でも、練習はつらいけど3年間だけ我慢して、頑張ろうって気持ちでやってると、プロ野球に進んだ場合、心がもたない。箱根駅伝の選手とかも4年間で燃え尽きて、マラソンに転向しても記録が伸びなかったりするよね。

 だから、子どもたちのためにも、オトナがうまく道筋を作ってあげるというのが大事になってくる。新たなルールを作って規制していくというのはいいことだと思うよ。

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蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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