「温もり」を感謝の歌に 秦基博デビュー10年

「温もり」を感謝の歌に 秦基博デビュー10年

11月にデビュー10年を迎える秦基博

 シンガー・ソングライターの秦(はた)基博(もとひろ)(36)が11月8日にデビュー10年を迎える。同1日からは音楽を生み出す心を育んできた地元・横浜から初のアリーナツアーをスタートする。「ファンやスタッフらに支えられた10年。僕が生まれて、出会った人たちとのつながりの中で自分が生きている」と、感謝の気持ちを新曲「70億のピース」に込めた。歌詞に入れた〈温(ぬく)もり〉はデビュー曲「シンクロ」にも刻まれた言葉。時を経て、思いはより深化している。

 「10年前、どうしようもない僕を拾ってくださった森川(欣信)社長、ありがとうございました」

 9月中旬。所属する「オフィスオーガスタ」主催のライブで、デビュー前に立った富士急ハイランドコニファーフォレスト(山梨県富士吉田市)の舞台に10年ぶりに戻った秦は、最後方で見つめていた森川に感謝した。

 2006年と同じく、デビュー曲「シンクロ」で幕を開けた。集まった1万5千人に語りかけるようにリラックスした表情で歌う。「10年前のことは、緊張しすぎで覚えていない」と苦笑い。今回は初めてプロデュースも務め、山崎まさよし(44)をはじめスキマスイッチの常田真太郎(38)、大橋卓弥(38)ら先輩や後輩と互いの曲で競演した。約6時間のライブを常田は「(会場が)秦の色になったね」とねぎらった。

 デビュー時に、森川が付けたキャッチフレーズは「The voice made of steel and glass〜鋼とガラスでできた声〜」。その才能を最初に見いだしたのは、横浜中華街にあるライブハウス「F.A.D YOKOHAMA」のオーナー橋本勝男だ。1999年3月、高校を卒業したばかりの秦の歌声を聴いた橋本は「天から授かった声」と絶賛した。情景が浮かぶ文学的な歌詞は、苦しみの中で生まれることを知っている。「顔を見れば心が分かる」。重ねた交流。店が開業20年を迎えた今年は、秦が恩返しにとライブを行うなど親交は続いている。

 大橋も歌の力を認める。「『僕らをつなぐもの』(07年)を聴いたら、歌詞に『月明かりかと思ってみれば変わる間際の黄色い信号』とあって、『見間違えんだろ!』と思ったけれど、秦が歌うと、あり得ないような情景も説得力があると気が付いた」と言う。

 親交の幅は広く、10年を祝う舞台には、楽曲提供をしたV6の井ノ原快彦(40)や主題歌「終わりのない空」を書き下ろした映画「聖の青春」に主演する松山ケンイチ(31)から祝福のメッセージが寄せられた。横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智(24)からは「秦さんの歌と僕らの野球で横浜を盛り上げていきましょう。いつかハマスタにライブをしに来て」とラブコールも。飲み仲間というスターダスト★レビューの根本要(59)には「お酒が強くて、飲むと先輩を呼び捨てにしたり、横柄なやつになる」と暴露され、ばつが悪そうに頭をかいていた。

 出会いの中で、いま隣にある「温もり」に励まされてきた。

 「10年はアッという間だった。感謝の気持ちは歌に変えて、皆さんに届けたい」と未来を見据えた。