「ヤレるかも…」大学生9人“カラオケオール”の暴走を描く『あの日々の話』

「ヤレるかも…」大学生9人“カラオケオール”の暴走を描く『あの日々の話』

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映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『あの日々の話』

配給/スポテッドプロダクションズ 渋谷ユーロスペースほかにて全国公開

監督/玉田真也

出演/山科圭太、近藤強、木下崇祥、野田慈伸、太賀、村上虹郎ほか


原作は監督の玉田真也が主宰する劇団『玉田企画』の2016年初演の舞台。その初演時の俳優たちを再集結させての映画版だ。大学サークルの二次会のカラオケルームで起こる不協和音を描き、新たなゲストに人気男優の太賀、村上虹郎を配している。ちなみに太賀はこんなやっかいなサークル員たちの世話をするハメになるカラオケ店員役で、村上はラスト、この騒動の遠因となる罪作りな男≠ニして登場する。果たして舞台版と映画版の違いは? この手の低予算映画では珍しく、メインとなるカラオケボックスのセットを作り、壁や天井、床下にカメラを配したこと。観客の目を俯瞰(ふかん)ではなく、接写感覚で見せることにこだわった作りに注目したい。



とある大学サークルの代表選挙が行われた夜、元代表の4年生・細川(山科圭太)、新たに副代表にとなった3年生の斎藤(野田慈伸)、2年生の浅井(木下崇祥)ら男女9人は二次会のカラオケで盛り上がっていた。女子たちが隣室に移ると、男子たちだけで「今日ヤレるかも」とバカ騒ぎするが、ひょんなことからある女子学生のバッグにコンドームを発見。暴走が始まる…。


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思い当たるフシのある邪心

後々考えれば気恥ずかしさしか覚えないような、しょうもない学生時代のサークルあるある§bが、狭い2つのカラオケルームにほぼ空間限定してつづられていく。身もフタもないようなホンネの暴露合戦は、引きつるような笑いを生み出す。狭量なコミュニティーで生まれる同調圧力、セクハラ・パワハラ発言、主従関係およびその逆転、調子こいての承認欲求、マウンティングなどなど。短い時間の中では覆い隠せることもカラオケオール(ナイト)≠ニいう長時間の中では、次々とあらわになる滑稽さ。


演劇になじみが薄い人には、ゲスト男優を除き、出演者の多くは見覚えがないはず(そういう私も同じ)。それゆえにリアルな覗き見気分になれる。すこぶるつきの美人女優が出てこないのもリアルっちゃあリアル。女子学生のバッグから出てきたコンドーム≠ニいう小道具一つで、右往左往し、妄想一瀉千里の男どもがオカシイ。


女性陣に(バッグの中を見たことを)追及され、『こんなのノリだよ』と居直るサイテーな細川クンをボクは笑えない。学生時代、こういった集まりで、今夜はあのコとヤレそう、と虫の良いことを考えた過去など俗人なら誰でもあるだろう。そんな邪心があったころの思い当たるフシを胸に手を当てながら観ると面白い。オジサン世代の気分を若返らせるのは、案外こういう映画なのかもしれない。


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