山田邦子・武井壮からトレエン斎藤・カズレーザーまで…相次ぐタレントの"月収暴露"その背景とは?

山田邦子・武井壮からトレエン斎藤・カズレーザーまで…相次ぐタレントの"月収暴露"その背景とは?

画像提供:マイナビニュース

●一度でも売れたタレントの特権か
このところ、タレントがバラエティ番組で、芸能界の裏事情や過去の恋愛など、通常なら墓場まで持っていくような話を披露するシーンが増えている。とりわけ多いのが、収入にまつわる話だ。

山田邦子は「1億円」、武井壮は「3500万円」、内山信二は「3000万円」と最高月収を明かし、トレンディエンジェル・斎藤司は「1015万円」、メイプル超合金・カズレーザーは「221万円」と、現在の月収を披露した。新旧のタレントが、そろって月収を明かしているのはなぜなのか――。

○スタッフが好む数字を伴う話題

最大の理由は、番組制作の方法によるものだろう。大半のバラエティ番組は「タレントに事前アンケートを依頼し、それをもとに打ち合わせをしながら話を広げ、スタッフが話し合いながら台本を作る」という過程をへて収録が行われる。

しかし、よほどのトーク巧者でなければそうそう爆笑を誘えないため、必然的にスタッフもタレント本人も、お金、恋愛、ウワサや悪口など、下世話なテーマに話題を移す。特にお金、体重、交際人数のような具体的な数字を伴う話題は、ながら見の多い現在の視聴者も、トピックス性に注目するメディアも反応しやすいため、スタッフが好んで採用する。

中でも"お金"は「1つあたりいくら」「このボリュームでいくら」「こうすればいくら安くなる」などと、さまざまな取り上げ方をされるのだが、タレントにとっては月収が"お金トーク"の入口となる。

また、月収のトークは、放送前のCMに「月収○○トーク力がなければインパクト勝負

タレントたちは、自ら月収を公表したいわけではない。「求められているのなら応えたい」「話の構成で引きつけられないから、インパクトの強いフレーズで勝負しよう」という気持ちがあるだけだ。

2000年代に入ってから10〜20人ものタレントを大量出演させるバラエティ番組が増えた結果、トーク力にバラつきがある上に、1人当たりのコメント時間が短くなった。必然的にスタッフは「トーク力の低いタレントは、短いコメントでインパクトを残してもらおう」と考える。

それが一発屋タレントなら、なおのこと。相次ぐ月収の公開は、「毎年、一発屋タレントを量産してきた二次的な影響が出ている」と言ってもいいだろう。一発屋タレントは数百人いるとも言われ、スタッフも番組の中で都合よく扱えることもあって、この流れはしばらく続くのではないか。

余談だが、知り合いのある芸人が「事務所から『月収の話はするな』と言われている。金額の問題ではなく、そういうトークに走ると芸が磨かれないから」と話してくれた。確かに、売れていない若手芸人が「先月の給料は1,000円でした」などと明かすシーンをよく見かけるが、たいてい「面白くないから仕方ないでしょ」と思ってしまう。その意味で月収のトークは、一度でも売れたタレントの特権なのかもしれない。

●聞き慣れてしまったネットの反応は…

○見透かされたスタッフの残酷さ

しかし、視聴者の反応は必ずしも良いとは言えない。すでに月収のトークは聞き慣れているだけに、ネット上の反応を見ても「またお金の話か」「何で今さら」という声が散見される。視聴者にとっては、タレントの月収公表は当たり前であり、「タレントなら、それくらいは言うでしょ」と思っているのだ。だから高額でもさほど驚かないし、あっさり許容してしまう。

それどころか、「お金の話が多すぎる」と制作サイドの安直さに辟易する人も少なくない。現在の視聴者は、「一発屋タレントの明暗を見せよう」というスタッフの残酷さに気づいている。だから、「過去の栄光と現在の苦境を比べて楽しんでもらおう」という狙いがスルーされはじめているのではないか。

月収の話で視聴者が冷める原因はもう1つある。それは、本当に月収を知りたい旬のタレントが「まだ入ってきていない」などと発言すると、視聴者側からは、好感度ダウンを避けてごまかしているように見えてしまうこと。これにより、まるで「売れなくなったときの切り札にしよう」と考えているかのように捉えられてしまうのだ。

スタッフはいまだに、タレントを「大金を得られる夢のある仕事」であり、「少なくとも視聴者はそう感じているだろう」と思っている。ところが、ブログ、SNS、ネットニュースなどでタレントのプライベートを知る機会が増えた昨今、視聴者たちはそれほど「夢のある仕事」とは思っていない。この両者の意識差は、スタッフが思っている以上に大きい気がするのだ。

○月収でなく生き様のフィーチャーに期待

とはいえ、浮き沈みの激しいタレントという仕事はギャンブルのようでもあり、その生き様は、いかにもテレビ向きのエンタテインメント。今後は、「月収だけを切り取るのではなく、人間性や人生そのものをどうフィーチャーするか」に期待したいところだ。

アキラ100%の裸芸が物議を醸しているように、テレビにおける表現の幅が狭くなっている以上、「つい月収のトークに頼りたくなる」スタッフの気持ちは理解できる。「仕事を断れない」、あるいは「目の前のお金がほしい」タレントの気持ちも理解できる。ただ、「現在の視聴者は、それで喜ぶほど甘くない」ということだけは覚えておいたほうがいいだろう。

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20〜25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などに出演。取材歴2,000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。
(木村隆志)

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