『銀魂』連載開始時は"ビリッケツ"、不安もあった映画化 - 原作者・空知英秋の述懐

『銀魂』連載開始時は"ビリッケツ"、不安もあった映画化 - 原作者・空知英秋の述懐

画像提供:マイナビニュース

●原作者自ら、組織票を疑う
週刊少年ジャンプにて2003年から連載開始以降、絶大な人気を誇り、累計発行部数5,100万部を超えアニメ化も好調な漫画『銀魂』。パラレルワールドの江戸を舞台に、”天人”と呼ばれる宇宙人が登場し、攘夷戦争で白夜叉と恐れられた銀時が主人公として活躍する。とにかく「なんでもあり」で、関係者も「こんな漫画はなかなかない」という同作が、最終章に入った今、満を持して実写映画化される。

マイナビニュースでは『銀魂』に関わる男性たちへの連続インタビュー企画「男達の銀魂道」を実施。連載当初は全く人気がなかったというが、なぜここまでの人気を得るに至ったのか。また、連載時のピンチについてのエピソードや、今回の実写版キャストの感想について、原作者の空知英秋と、8代目担当の真鍋廉(集英社)に話を聞いた。

○「よく生き残れた」という実感

――ぜひ連載の最初からお伺いできれば。もともとは新選組の話としての構想があって、そこから今のような物語になっていったんですか?

空知:最初は大河ドラマ『新選組!』に便乗しようとしていたんですよね。僕も新選組が好きで、ネームを書いたんですけど「ただのパロディじゃねえか」と思って。全体的にパロディになるのがいやだから変えたんですけど、結果、パロディまみれの漫画を描いているという(笑)。わからないものですね。

――連載が開始されてから、人気が出るまで、10週ほどかかったとか。

空知:何も知らなかったからできたんでしょうね。みんなこんなものだろうと思ってたんですよ。今は、最初の段階でアンケートがこれくらいだったら、だいたいは終わってしまうだろうと知っているから、諦めてしまうかもしれない。それくらいビリッケツでした。でもその時は何も知らないから、がむしゃらにできました。よく生き残れたなと思います。

――途中で人気が出てきたのは、実感としてあったんですか?

空知:アンケートの順位は上がりましたが、「組織票じゃないのか?」と疑ってました。実際組織票だったんじゃないかと思うんですけど(笑)。

8代目担当・真鍋:勝負をかけようという回はあったんですよね。 花見の回(第17訓「酔ってなくても酔ったふりして上司のヅラ取れ」)。

空知:そうですね。「派手なのをやろう」と。

真鍋:実際に、そこで人気が上がった。

空知:いや、花見の前にじいさんの話(第11訓「べちゃべちゃした団子なんてなぁ、団子じゃねぇバカヤロー」)で上がってて、明らかにおかしいじゃん。じいさんの話で上がるわけないから、組織票だったんでしょうね(笑)。

真鍋:そういうことにしておきましょう。

――それでは、ここまで人気が出るとは予想されていなかったんですか?

空知:冗談で言っていたくらいです。「アニメ化したりね!」とか、ゲラゲラ笑ってたら本当になって。

真鍋:でも、第1巻が発売した時に単行本がすぐ売り切れて、重版がかかったんですよ。

空知:いや、最低部数だったんですよ!? どんだけなめられてるんだ! 当時は編集長から「君は若い。次があるから頑張って」と言われました。コミックスが売れたから「ざまあみろ、このやろう」(笑)。本屋で「『銀魂』売り切れです」という紙を見た時はうれしかったです。「やった、売れた〜!」と。

●みんな小栗旬を好きになるかもしれない
○最終章のシリアスさに驚き

――これまでの連載を振り返って、ピンチだったことなどはありましたか?

空知:毎週ピンチですけど、連載と並行して読み切りをやってた時が一番ピンチでしたね。ストレスが限界で、ずっと椅子に座ってられないくらい。「誰かを蹴りたくて仕方ない」みたいな(笑)。

真鍋:締め切りがやばすぎて、各所に謝るため、当時の担当の本田は丸坊主になりました。本田は「手が震えて眠れなかった」と言ってましたけど、空知さんも眠れなかったんですよね。

空知:もう『銀魂』を描いている時間がなかったので、画面を真っ暗にして「停電にしよう」と。( 第328訓 「カニのハサミは絆を断つハサミ」)

真鍋:発明ですよね……。

空知:真っ黒にしてなんとか乗り切った。諦めなければ、なんとでもなりますよ。

――真鍋さんは一番新しい担当ということですが、これだけのヒットタイトルの最終章を担当することになって、プレッシャーなどは。

真鍋:めっちゃめちゃ、プレッシャーです。担当を変更したタイミングが「将軍暗殺篇」という、いわゆるシリアス長編で、それも終わりに差し掛かったところでした。僕が元々『銀魂』に持っていたイメージはギャグだったので、バトンタッチしたところでいきなりのシリアスモード。想像していた展開と違ったので、大変でした。

空知:「将軍、殺すから」とか言ってるし(笑)。

真鍋:「殺すとかそういう漫画だったっけ!?」と。そこは緊張したところです。

――空知先生は、最終章に入って自分の中での盛り上がりはあるんでしょうか?

空知:そんなになくて、割と冷静です。銀魂だからこれだけ長くできたというのは、あるかもしれないですね。これだけなんでもありな漫画ってあんまりないでしょう。だからイマイチ爆発もしないんですけど多分。

真鍋:そんなことないですよ! 売れてますよちゃんと!

空知:もっと縛りがあった方が本当はいいんですけど、何でもありだと、何が起きてもびっくりしなくなってくから。そこが弱点でもあるけど、救われたところもめっちゃあります。とにかくいろんな話を書きたかったから、今となっては良かったかな。

――でも本当に、少年から女性ファンまで幅広い層に人気ですよね。

空知:少年も女性も、読んでくれる方はありがたいです。でも女性のファンが多いのは、ちょっと意味がわからないですよね(笑)。どの辺なのかな? あんな下品なのに、何なの? 真選組!? 全員、変態ですからね。

――ご自身で好きなキャラクターはいるんですか?

空知:長谷川が結構好きですけど、みんな好きですかね。いや、言ってることがさっきのインタビューと違うな!? さっきは「全員嫌い」って言ったぞ!(笑) でも、おっさんキャラが結構好きですね。

○漫画のノリに加えられたアレンジ

――実写映画版も、イケメンがそろってる感じですが。

空知:まあ、イケメンですね。菅田将暉さんが新八やってるから、そりゃすごい人気ですよ。かけ離れてるから「本当にやってくれんの!?」と不安になりましたけど、いや、うまかったですね。関西の方だからか、寒くさせない技術みたいなものがあるんでしょうね。漫画の笑いのノリで実写をやるとキツイですから。福田監督の手腕もあるでしょうし、みなさんアレンジを加えて下さって、安心して見ていられました。

――主演の小栗旬さんとは会われたんですか?

空知:1回撮影所で会いましたけど、緊張してあんまりしゃべっていないです。シャイなので、お互い目を見ないみたいな。

真鍋:福田監督にも会って、福田監督はめっちゃ見てくるんですけど、空知さんは全然福田監督のことを見てなかったですね。

空知:「グイグイくるな、この人」と思いましたからね(笑)。あれも監督の才能なんですかね。入り込んで行かないと、現場が回らないですもんね。

――小栗さんも映画の中では、ギャグパート含めかなりいろんなことをされていて。

空知:「こんなにやってくれるんだ」と思いました。みんな、黒歴史にならなきゃいいけど(笑)。これだけやって、滑ったら申し訳ないですね。でも、あれだけやってくれたら、観た人も「小栗くん、こんなことやるんだ!」って、好きになると思いますよ。

※「男達の銀魂道」、次回は引き続き原作者・空知英秋先生に、『銀魂』最終章で起こった自身の変化についてお話を伺います。

(C)空知英秋/集英社 (C)2017映画「銀魂」製作委員会
(佐々木なつみ)

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