柴咲コウ“孤独と屈託”に向き合った20日間 豪華俳優陣が集結

柴咲コウ“孤独と屈託”に向き合った20日間 豪華俳優陣が集結

柴咲コウ“孤独と屈託”に向き合った20日間 豪華俳優陣が集結(画像提供:朝日放送)

【柴咲コウ/モデルプレス=9月26日】女優の柴咲コウが、「ABC創立65周年記念スペシャルドラマ『氷の轍』」(11月5日21:00〜/ABC・テレビ朝日系)で主演を務めることが分かった。

◆柴咲コウの魅力を深く堪能出来るドラマ

直木賞作家・桜木紫乃氏がこのために原作を書き下ろした同作の鍵となるのは、「孤独」と「屈託」。柴咲演じる主人公の新人刑事・大門真由も、自分を産んだ母の顔も名前も知らない「屈託」と、唯一の肉親である父の命が間もなく尽きようとしてる「孤独」を抱えている。

熱くもなく冷たくもなく、ただまっすぐな視線、不用意に他者と交わらない無意識の距離感、そんな気質の真由を、雪原に立つ一本の木のように凛とした姿で表現した柴咲。華やかな衣装に身を包むでもなく、派手なアクションを繰り広げるでもなく、ただひたすらに役と深く向き合った女優・柴咲コウの魅力を、静かに堪能できるドラマとなっている。

物語の舞台は、北海道・釧路。殺人事件を扱う捜査一課の刑事としてまだ駆け出しの真由は、年老いた男性の遺体を2体、立て続けに目の当たりに。一見、無関係に思えた二つの事件を結びつける接点を、真由は捜査を地道に積み重ねる中で発見し、それが突破口となって事件の原点は遠く1960年代の青森へと遡っていく。

◆柴咲コウ「自分も孤独でならなければならい」

真由の刑事としての成長と、誰1人望まなかった結末を釧路で迎える事件の謎解きをじっくり描く同作には、豪華な俳優陣が集結。半人前の真由を導く頼れる先輩刑事には沢村一樹が、事件の舞台となる水産加工会社を経営する女社長には余貴美子が、真由と冬のスケートリンクで顔を合わせる独り身の女性には宮本信子がそれぞれ扮し、ドラマの屋台骨を築く。

さらに、余命宣告を受けた身で刑事としての魂を娘に託そうとする真由の父には塩見三省。嶋田久作、品川徹、岸部一徳らも脇を固める。

撮影は冬の釧路で、およそ20日間キャストとスタッフが文字通り寒さに閉ざされた釧路に缶詰めとなり実施。柴咲自身も、真由と向き合ううちに「自分も孤独でならなければならい」と感じ、「自分をがんじがらめにさせようとした」と語るほど、ひたすらに自分を役へと追い込んだそうだ。

◆柴咲コウが感じる「孤独と屈託」

また、柴咲は「孤独と屈託というドラマのテーマを普段感じることは?」と尋ねられると、ドラマにも登場する北原白秋の詩「二人デ居タレドマダ淋シ 一人ニナッタラナホ淋シ、シンジツ二人ハ遣瀬ナシ シンジツ一人ハ堪ヘガタシ」を用いて、「(この詩は)共感するなという方が難しいくらいに的を射ている。たった4行で人生の厳しさ、はかなさ、ものがなしさ、人間関係の大変さ、家族で血がつながっていても難しいということを、まざまざと考えさせられる言葉です」と告白。

「真由に限らず、今作の登場人物全員に当てはまる言葉」ともいい、「私はまだ経験していないのですが、監督が『本当に結婚してもそうだからな』とおっしゃっていて(笑)、パートナーの有無に限らず、自分という人間を生き抜く大変さが込められた詩だと思いました」と語った。

◆柴咲コウの起用理由は?

そんな柴咲と初めて会ったときのことを振り返った飯田新プロデューサーは、「柴咲さんから『(出演オファーを)なぜわたしに?』と訊かれ、 一緒にいた瀧本智行監督と思わず答えた言葉は 『孤独と屈託があるように見えたから』。 『屈託のない笑顔』という言い方はよくありますが、『屈託があるように見える』とは、今思えば随分と失礼な言い方だったなと」と反省。

しかし、その時の言葉こそが「偽らざる本音」だったと、柴咲の魅力に惹かれたことを明かした。

◆共演者から見た柴咲コウ

そして、柴咲の印象を共演者に聞いてみると、沢村は「好きと嫌いがはっきりしている人。経験や常にアンテナを張り感覚を磨いている上での判断なので、なんの根拠もなく選り好みをしているのとは違うんだけど、意外と楽じゃないと思うんですよね。でも、それを貫いている女優さんだと思いました」と紹介。撮影中も忌憚なく演技に関して話し合えたようで「ストレートでとてもやりやすかったです」と振り返った。

ほか、出演者も「聡明で周囲にとっても気を遣う方。親子役を演じたこともありますし、これまでの付き合いがある分、今回違う役どころで出会うことができ、楽しくできました」(余)、「柴咲さん演じる真由と千恵子は孤独な女同士。スケートで心を少し通わせるという展開は、監督の演出も含めて非常におもしろかったです」(宮本)と、共演シーンを交えながら柴咲から感じたことを明かした。

◆書籍化も決定

なお、ドラマの放送と連動したメディアミックスを展開し、同ドラマのために書き下ろした桜木氏の原作も書籍化。注目の女流作家の最新作を映像と文字で世に送り届ける。(modelpress編集部)

■柴咲コウ コメント

― 撮影を終えて

柴咲:今まであまり1カ所に滞在してロケを行った経験がないのですが、20日間近く釧路で撮影ができたことは、真由の思いと対峙する上ですごく良かったです。私、合宿形式が好きみたいです。撮影をしてご飯を食べて、寝て起きて、ストレッチをして、撮影をして…という毎日毎日その繰り返し。ルーティンとはこういうことなのだと思いました。私が普段の生活でルーティンが中々作れない人間なのですごく心地よかったです。

― 長い期間1カ所に滞在して撮影するということが今までにあまりなかったということですが、約20日間「大門真由」と向き合い続けることで、いつもと違う発見や、新たに女優として感じることはありましたか?

柴咲:少し「孤独でなければならない」という感情はあったかもしれません。自分を(大門真由という役で)がんじがらめにさせようとしているような…。現場にも、マネージャーさんに来てもらうことなく、マネージャーさんもいない状況でなるべく1人の時間を作るようにしていました。

― 台本を読んだときの印象は?

柴咲:「人間ドラマだ!」というのが第一印象。「屈託」というキーワードが出てきますが、私は自分自身や自分の周りにおいても、他の人には分かり得ない思いや悩みを抱えているのが人間社会だと思っています。このドラマでは、そこが濃く描かれていると感じました。小説などのフィクションでは、つい優劣とか善悪をつけたくなりますが、今回の登場人物はそれぞれに事情があって、「屈託」を抱えたくて抱えているわけではない。そんなことを、脚本を読んでいた時よりもさらに切なく感じながら演じました。

― 大門真由の屈託とは?

柴咲:家庭環境で屈託を抱えざるを得ない人と、内向的な性格でいろんなものを抱え込み自発的に屈託を抱える人とがいると思うんですけど、真由の場合は前者。私は作詩をするんですが、孤独はテーマの一つです。ネガティブなことではなく、生まれて死んでいくのは1人きりで行うということ。もちろん、誰かの影響とお陰で生命を得るんだけど、死んでいくときは1人だと。真由は、そういうことを小さいときから考えざるを得ない環境にあったんだと思いながら演じました。

― 沢村一樹さんの印象は?

柴咲:2度目の共演ですが、以前と変わらず気さくで、いろんなおしゃべりをしながらリラックさせてくださいました。真由は他人に対して自分の本心をさらけ出さない人物ですが、信頼できる先輩刑事を得られたのは沢村さんが演じてくださったお陰だと思います。

― 宮本信子さんの印象は?

柴咲:初共演でしたが、いろんな作品で拝見しており、すばらしい俳優さんだと思っていましたので、共演が叶ってとてもうれしかったです。朗らかで、明解で、ハッキリしていて、またいい緊張感の中で撮影ができ、とても多くのこと学ばせてもらいました。

― スケートの撮影は大変でしたか?

柴咲:小さいころに経験があって、まったく滑れないということではなかったので、なんとか切り抜けたかなという感じ(笑)。練習も楽しめましたし、リンクは屋内だったのであまり寒さを感じることもなく、港などでのシーンに比べれば撮影しやすかったです。

― 父親役の塩見三省さんの印象は?

柴咲:今の塩見さんにしか出せない演技があったと思いますし、塩見さんに触発されて瞬発的に私から出てくるものもあったと思うので、とても感謝しています。真由の父親としての屈託と、塩見さんご自身の屈託とが相まって、個性的な役になっていて、娘として受ける影響は大きかったですね。親子の関係を表現するときに、どう会話をするかは大きなポイント。しっかり目を見て話すのか、それとも顔をほとんど見ないのかで関係性を表現できます。今回はあまり視線を絡めず、言葉の端々に出てくる思いを汲み取って返答するのがふさわしいのかなと思って演じました。

― 瀧本監督の現場はいかがでしたか?

柴咲:人の心を動かす映像を撮ることを使命にされているんだと思いますが、それ以前に、監督ご自身が撮っているものに感動して涙しちゃってるんですよね。優しい人なんだな〜と思いました(笑)。そういう情に厚い人に指揮してもらえると人間ドラマって生きてくるので、本当にこの仕事を引き受けて良かったと思いました。一緒に仕事ができてうれしかったです。

― 孤独と屈託というドラマのテーマを普段感じることは?

柴咲:北原白秋の詩(「二人デ居タレドマダ淋シ 一人ニナッタラナホ淋シ、シンジツ二人ハ遣瀬ナシ シンジツ一人ハ堪ヘガタシ」)は、共感するなという方が難しいくらいに的を射ている。たった4行で人生の厳しさ、はかなさ、ものがなしさ、人間関係の大変さ、家族で血がつながっていても難しいということを、まざまざと考えさせられる言葉です。あれ以上に、削ぎ落とした真実を突きつけられる詩はないと思います。真由に限らず、今作の登場人物全員に当てはまる言葉。私はまだ経験していないのですが、監督が「本当に結婚してもそうだからな」とおっしゃっていて(笑)、パートナーの有無に限らず、自分という人間を生き抜く大変さが込められた詩だと思いました。

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