久本・喰が語るWAHAHA本舗の35年とこれから「お客さんも演者も若い世代が遠慮なくどんどん来てほしい」

久本・喰が語るWAHAHA本舗の35年とこれから「お客さんも演者も若い世代が遠慮なくどんどん来てほしい」

(写真左から)久本雅美、喰始

さまざまな劇団が立ち上がり、世に言う小劇場ブームを巻き起こしていた1980年代初頭。東京・渋谷、青山通りから少し入ったビルの地下に稽古場を持った劇団が立ち上がった。WAHAHA本舗。放送作家として、「欽ちゃんの仮装大賞」(現「欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞」)などを手がけてきた喰始(たべ・はじめ)が、5人の若手俳優と旗揚げした小劇団は35年経った今でも、唯一無二の笑いを提供し続けている。そんな彼らが今年、2年ぶりに全体公演を開催。2017年に「ラスト」を飾った全体公演を今行う理由とは。看板女優の久本雅美と、主宰者の喰始に話を聞いた。

逃げ場なく突き詰める経験が、血となり肉となる

――WAHAHA本舗がスタートして35年。これまでの道のりはいかがでした?
【久本】 あっという間でした。
【喰】 こんなに続くとは…。
【両人】 思わなかった(笑)。
【喰】 僕らの同時期や後に生まれたいろんな劇団がいるんですけど、大体終わっちゃうんですよ。まぁよく続いたと思いますね。
【久本】 1つはWAHAHA本舗のお笑いが大好きという気持ち。自分のやりたいこと、やらなくちゃいけないことも探りながら、表現できているということだと思います。もう一つは、ほかに行き場がなかったという(笑)。
【喰】 立ち上げたとき、『喰始がまた遊びで何かやってる。続けられるはずがない。あいつに人の面倒みるようなことをやれるわけがない』って思われていました。僕自身の性格が飽き性なので。でもそういう声も『冗談じゃない』って思ってやってました。
【久本】 ちょっとした意地ですよね。

――今でこそ、WAHAHA本舗の芸風は多くの人が認知しています。どうやってこのスタイルを作り上げたのですか?
【久本】 WAHAHAが始まってからずっと一緒なんですが、基本的に演者が台本を書きます。WAHAHAを立ち上げたときに喰さんが、『これからの役者は作家性がないとだめなので、僕は台本を書きません』って言ったんです。みんな『えっ、どういうこと?それ、喰さんの仕事でしょ』って思ったんですけど(笑)。もちろん、構成とか、アイデアは喰さんに頼る部分は大きいですけど、基本的な部分は自分たちで考えています。
【喰】 もちろんヒントとなる部分は話しますけど、それもものすごい荒っぽいもの。そういう材料を渡して、料理は(出演者の)皆さんに任せるというか。
【久本】 自分たちで考えたものを喰さんに見せて、いいとか悪いとか、言っていただいて固めていきます。
【喰】 やってみて『ないね』ってこともたくさんあります(笑)。
【久本】 やるほうとしては、ドキドキです。毎回がオーディションな感じです。でも、WAHAHAの舞台は、自分が面白がっていること、やりたいこと、掘り下げなきゃいけないことを、真正面から受け止めないといけない。(テレビなどでは)“役”をどう広げるかとか、どう面白くできるかに集中するし、力を注ぐわけですよ。でもWAHAHA本舗は、『今、君、何を面白がってる?』って問われるわけです。『何したい?』『どうやってお客さんを笑わせたいの?』って突き詰めるっていう、逃げ場ないですよ。だからお客さんに喜んでもらえたら、元気になるし、もっと頑張ろうって原動力になる。そういうパフォーマンスってすごいエネルギーがいるんだけど、今の自分自身の血となり肉となっているのは間違いないです。

全体公演復活はオリンピックのおかげ

毎回ファンを飽きさせないネタを作り続け、その数はステージにあげたもので優に数百を数えるという。そしてその中でもベストオブベストと呼べるネタを、今年6月、久しぶりの全体公演で観られるという。WAHAHA本舗の全体公演といえば、2017年の「ラスト3」で閉幕したと思うのだが…。

――全体公演が復活するわけですが、なぜこのタイミングだったのでしょうか?
【喰】 来年オリンピックの年ですから、それに向けて何かやりたいと思っていたんです。また新たなモチベーションで何かを残したい。その前に決起会じゃないけど、WAHAHAを初めて見る若い世代に『昔の作品も古びてないんですよ』『こんなのほかのどこもやってないよね』って、逆に昔からのファンの方々には『すげー懐かしい!』『また見れる』って思ってほしくてやることにしました。ただ僕は昔の作品のリメークはあまり好きじゃない。だから、地方公演はやらず、東京だけなんです。来年は完全新作なので、その集大成の意味合いもあります。
【久本】 (ラスト以降も全体公演が続いていくことについて)万々歳です。WAHAHA本舗のワールドが大好きなので何の問題もございません(笑)。みんなやりたがっていたと思いますよ。

――今回は、久本さんが見たいネタ、柴田さんが見たいネタと分けて公演を行います。なぜこのような形になったのですか?
【喰】 数百のネタを凝縮しても2時間なり2時間半におさまらないんですよ。だったら2パターン作ってしまおうと。両パターンとも、久本も柴田も出ますが、内容は全く異なります。
【久本】 もう一回見たいとか、やりたいというものですね。『THE WAHAHA本舗』ってネタなので、初めての人も存分に楽しめると思います。濃すぎて吐くかもしれませんね(笑)。
【喰】 もちろん、当時のそのままではなく、演者が少しずつ改良していきます。
【久本】 『オカルト二人羽織』というネタで少女役があるんですが、その声が出るか心配です。少女と悪魔ではなく、老婆と悪魔の声になるんじゃないかって(笑)。まぁ、(稽古を)やっていく中で、肌で感じていくものだと思いますし。あとはフレディ・マーキュリー。喰さんの閃きで2011年にやったんですけど、私の中ではすべったベスト3に入るネタなんです(笑)。それもネタのクオリティーというより、お客さんがフレディ・マーキュリーを知らないから。8年早かったんですよ(笑)。なので今回、リベンジです。
【喰】 今ならみんな知ってるからね(笑)。
【久本】 それに今回は、あまり大きくない会場。私も梅垣も柴田も(客席へ)降りていくでしょう。お客さんの緊張感、半端ないと思います(笑)。
【喰】 観る側も観せる側も楽しむというWAHAHA本舗のコンセプトは変わらない。参加型のお祭りだと思ってほしいですね。そして今回や来年の公演を観て、『私もやりたい』って人が増えるとうれしいですね。お客さんも演者も若い世代が遠慮なくどんどん来てほしい。

――若手の成長のためには久本さんたちの経験も伝えなければですね。久本さんは、久本二世として若手を育成していくつもりはないんですか?
【久本】 そんな余裕ないです(笑)。生涯現役で続けたいというのが、メンバーの思いです。そのためには、健康が大前提。今後どうなっていくのかわからないけど、でもみんなでワイワイやりながら、若手とコラボしながら、WAHAHAの世界をやり続けられたら最高です。

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