“はじこいロス”を招いた深田恭子&脚本・吉澤智子 少女漫画ドラマ化の黄金コンビ

“はじこいロス”を招いた深田恭子&脚本・吉澤智子 少女漫画ドラマ化の黄金コンビ

最終回の順子のブレこそが恋の本質?『初めて恋をした日に読む話』(C)TBS

1月期の連ドラのなかでも大きな注目を集めた『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)。アラサーの塾講師・順子(深田恭子)が、従兄弟の雅志(永山絢斗)、教え子の匡平(横浜流星)、元同級生の山下(中村倫也)から求愛される物語は、順子と匡平が結ばれる結末を迎えた。オリコンが発行するコンフィデンス誌4月8日号(4月3日発行)にて掲載するドラマ調査「ドラマバリュー」の最終回満足度は93Pt(100Pt満点)。恋に突き進む覚悟を決めた順子が、匡平が通う東大の教室を訪ねてキスするラストシーンは感動的で、放送直後から“はじこいロス”状態の女性視聴者の声が続出している。

■ラストで“変な大人”という自分らしさを取り戻した順子

 人気少女漫画家・持田あき氏による原作は現在も連載中のため、終盤の展開はほぼ脚本家・吉澤智子氏のオリジナル。ただ甘いだけのラブストーリーではなく、“大人の青春”にともなう自由と責任を描ききった、納得のラストだったのではないだろうか。

 全10話を通して描かれたのは、ヒロイン・順子の成長。ガリ勉の末に東大受験に失敗し、婚活にも失敗した順子は、教え子の匡平の東大合格を必死でサポートすることで、青春をやり直すような日々を送ってきた。「今のうちにちゃんとして反抗して、めいっぱい叱られて、好きなだけ暴れなさい」「将来大切な人ができた時にその人を守る知識がないのって悲しいよ」と、人生にしくじった大人ならではの言葉で教え子にぶつかっていく順子は、匡平いわく「変な大人」。少女漫画原作のヒロインとは思えない泥臭さ、たくましさが魅力でもあった。

 しかし、ドラマ終盤、順子が匡平への恋心を自覚してからは、順子の言動は一変。大人としての常識にとらわれ、匡平への想いを断ち切ろうとするあまり、匡平と正面から向き合うことができなくなる。匡平に向かって「雅志と結婚する」と嘘をついたのも、正直でストレートな順子らしくない行動だ。

 とはいえ、よく考えれば、その行動のブレこそが恋の本質。恋をすれば、人は自分らしい魅力を失い、周囲に迷惑をかけ、自己嫌悪に陥る。そんな過程をリアルに描いたからこそ、ラストで順子が“変な大人”という自分らしさを取り戻し、匡平との恋を選び取る姿に説得力が生まれたのではないだろうか。

■30代女性のリアルな体温を感じる姿を演じた深田恭子の進化

 そんなブレまでを含んだリアルな人間像を描けたのは、生身のキャストが心情を体現する実写ドラマならでは。“鈍感な女子が実はモテモテ”という少女漫画的な設定は、脚本やキャスティングによっては、反感を買うリスクもあっただろう。だが、吉澤氏の人間愛あふれる脚本と、女性の支持が厚い深田恭子の好演で、愛さずにいられないキャラクターとして受け入れられた。

 吉澤氏と深田のタッグは、同じく少女漫画原作の『ダメな私に恋してください』(2016年/TBS系)以来。『ダメ恋』で深田が演じていたのは、“職なし、金なし、彼氏なし”で、ドSな上司(ディーン・フジオカ)にいたぶられるダメ女子。少女漫画の王道を行く設定に、深田のスウィートな魅力とコメディセンスがハマり、それまで意外にも出演が少なかったラブコメディーとの親和性の高さを示す作品となった。

 その一方で、『ダメ恋』以降に出演した作品では、大人の女性像を演じることも増えている。『下剋上受験』(2017年/TBS系)では初の母親役、『隣の家族は青く見える』(2018年/フジテレビ系)では不妊治療に悩む主婦役に挑戦。映画『空飛ぶタイヤ』では、窮地の夫を支える芯の強い妻を演じ、日本アカデミー賞助演女優賞を受賞した。

 ファッションやメイクをマネしたくなる“大人カワイイ”女優として注目されることも多い深田だが、30代女性のリアルな体温を感じる姿を演じたことで、同世代の女性の共感を集める存在に進化している。

■コミカルなヒロイン力を活かした吉澤智子・脚本の爆発力

 そんななかで誕生した『はじこい』の順子は、エイジレスな愛らしさに加え、等身大の人間らしさと、媚びないカッコよさを持っていて、これ以上ないほど今の深田にフィットしたキャラクターといえる。『ダメ恋』で深田のコミカルなヒロイン力を活かした吉澤氏の脚本が、年齢とともに進化していく深田の表現力を引き出したことで、より本作の爆発力が増したのではないだろうか。

 女優と脚本家が何度もタッグを組み、抜群の相性でヒットを生み出すケースは、ほかにもいくつかある。たとえば綾瀬はるかは、『世界の中心で、愛をさけぶ』『白夜行』『義母と娘のブルース』など6作で、脚本家・森下佳子の作品に出演。さらに新垣結衣も、『空飛ぶ広報室』『逃げるは恥だが役に立つ』などの4作で脚本家・野木亜紀子と組み、作品ごとに違う魅力を輝かせている。

 少女漫画原作のドラマで連続ヒットを飛ばした深田恭子と吉澤智子も、今後そんな“黄金コンビ”となっていくのかもしれない。

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