【いだてん】瀬古利彦氏、谷口浩美氏、青学・原監督が語る“箱根駅伝”の意義

【いだてん】瀬古利彦氏、谷口浩美氏、青学・原監督が語る“箱根駅伝”の意義

大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』第19回「箱根駅伝」がスタート(C)NHK

NHKで放送中の大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)はきょう19日放送の第19回で箱根駅伝の誕生にまつわるエピソードが描かれる。箱根駅伝にゆかりのある瀬古利彦氏、谷口浩美氏、そして近年、圧倒的な強さをみせる青山学院大学を率いる原晋監督に箱根駅伝への思いや第19回への期待を聞いた。

■第1回箱根駅伝開催までの経緯

 実在の金栗四三は、ストックホルムでの大敗、戦争によるベルリンオリンピックの開催中止を経て、「世界に通用するランナーを育成したい」と尽力する。そうした中で、1917(大正6)年に日本で初めての駅伝となる「東京奠都五十年奉祝・東海道駅伝徒歩競走」が、京都三条大橋と東京・上野不忍池間で行われた。

 読売新聞社が上野で開く大博覧会の協賛イベントとして企画したもので、京都―東京516キロを23区間に分け、3日間、昼夜兼行で走り継ぐ壮大なたすきリレー。東西対抗で行われたレースは、大成功を収め、これが箱根駅伝の”原型”となる。

 金栗らは「一度にたくさんの選手を育てるには、駅伝競走が最適だ」と、駅伝の創設の意義を説いて参加を呼びかけ、応じたのが、早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、東京高師(現・筑波大学)の4校だった。1920(大正9)年に第1回大会が「四大専門学校対抗駅伝競走」の名称で行われたのは、こうした事情によるもの。これが、新春の風物詩「箱根駅伝」のはじまりとなる。この時、金栗は28歳だった。

■「タスキをつないだことは今でも忘れられない」

 早大OBで第53回〜第56回大会に出場した瀬古氏は「一番の思い出は4年生のときの最後の1キロ」と、当時に思いを馳せる。「中村清監督が『卒業のみやげに』と伴走車から仁王立ちで校歌を歌ってくれたこと。母校を背負って走る重みを身にしみて感じた瞬間でした。また、このときモスクワオリンピック(1980年)の出場がほぼ内定し、メダリスト候補と期待されていたこともあり、沿道からも大声援をいただきました。とめどなく溢れる涙を拭いながら、タスキをつないだことは今でも忘れられません」。モスクワオリンピックは、ソ連のアフガニスタン侵攻によって西側諸国がボイコット。日本も不参加を決め、瀬古氏の出場は幻となった。

 日本体育大学OBで第57回〜第59回に出場した谷口氏の思い出も色褪せない。「朝早くのスタートで、寒さへの準備が大変でした。また、道路が凍っていないかなど、気象条件を気にしていました。3年次と4年次で区間新を連続で更新し、更新の内容が非常にマラソンに取り組むための財産となりました」。

 自身の箱根駅伝出走経験はないが、青山学院大学を4年連続(4回目)総合優勝、今年、総合5連覇は成らなかったが、往路6位から復路優勝をかっさらう強豪チームにした原監督は「16年前、縁もゆかりもない、青山学院大学陸上部の監督に就任するため広島から上京。私と妻は人生をかけ、25年以上箱根駅伝出場から遠ざかっていたチームの強化というプロジェクトに挑んだ。今では部員50人を超え、学生三大駅伝10冠の強豪チームへと成長し、感慨深いものがある。まさしく青春ドラマである。そのドラマは箱根駅伝がある限り続くだろう」と、思い入れもひとしおだ。

■箱根駅伝の存在なくして日本長距離界の進化はない

 金栗らが創設した箱根駅伝の意義について、瀬古氏は「箱根駅伝があるからこそ若い人たちが陸上やマラソンに興味を持ってくれているのだと思います。駅伝の魅力は1校10人と出場できる人数が多いこと。それがマラソン人口の増加を支えているのではないでしょうか」と説く。

 原監督も「箱根駅伝がなければ、身体能力の高いジュニアアスリートが長距離を志すことはないでしょう。昭和の時代は『プロ野球』のみがプロスポーツであったが、平成から令和へと時代が移り社会情勢の変化に伴いスポーツ界も大きく変わろうとしている。『サッカー』『バスケットボール』『卓球』等、アマチュアスポーツ界がプロ化へと舵を切った。魅力あるスポーツ団体にしていかなければ、より少子化が進む日本社会において身体能力の高いジュニアアスリートを当該スポーツ団体に取り込むことは出来ないと考える。箱根駅伝の存在なくして日本長距離界の進化はない」ときっぱり断言した。

■第1回箱根駅伝を描く、『いだてん』第19回は?

 フランスのクーベルタンから嘉納治五郎(役所広司)に届いた手紙には、ストックホルムから8年ぶりにアントワープオリンピックが開催されるニュースが書かれていた。新しい「箱根駅伝」の構想に力を注ぐ金栗四三(中村勘九郎)だったが、やはりオリンピック開催こそ待ち望んだもの。遠い熊本で離れて子育てに励むスヤ(綾瀬はるか)を訪ね、次こそ金メダルをとって引退し、家族と暮らす約束をする。しかし、前回死人を出したマラソンは正式種目に含まれていなかった。「箱根駅伝」がオリンピック代表選手の選考を兼ねて開催され、大盛り上がりを見せる中、治五郎はクーベルタンにマラソンの復活を訴える。

 『いだてん』を観て、谷口氏は「トレーニングの方法も手探りの状態で、よく頑張れたと思う。その頑張りが、私たち、現在の陸上界のスタートとなっていることを知り、非常に勉強になっている」と話す。ドラマで、第1回箱根駅伝の成り立ちが描かれることについては、「知らないことを教えてもらう絶好の機会だと捉えています」。

 瀬古氏は「金栗四三さんの素朴で真面目なところは長距離選手そのもので、短距離選手・三島弥彦さんの華やかさとの対比もよく描かれています。そして、金栗さんが取り入れていた砂浜での耐暑訓練は、僕も実際に行なっていたので驚きました。『いだてん』は共感することが多くあり、見ていて本当に楽しいです」と明かす。

 続けて「駅伝がなければ日本のマラソンはこんなに発展していません。そんな日本マラソンの原点ともいえる箱根駅伝の第1回大会のドラマですから、テレビの前で正座して見たいと思います」と期待を寄せていた。

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