柴咲コウが語る女優・歌手・会社経営の円環 「今は歯車がひとつになって回っている感覚」

柴咲コウが語る女優・歌手・会社経営の円環 「今は歯車がひとつになって回っている感覚」

4月6日、広島・厳島神社で行われた奉納公演「『EARTH THE KO』 Opening Ceremony at 厳島神社 2019」に出演した柴咲コウ(C)KENTA AMINAKA

これまで数多くのドラマや映画で活躍し、美しく凛とした輝きを放ち続けている女優・柴咲コウ。彼女はシンガーとしての顔もあり、今年は5月に京都、横浜、名古屋の3都市で、歌と芝居で魅せるコンサートツアー『EARTH THE KO』を開催。それに先駆けて行われた広島・厳島神社でのスペシャルな奉納公演は、ファッションと環境をテーマにしたという。女優・歌手、彼女の現在の心境や新曲「silence」について、更に女性としての理想像などを聞いた。

■環境問題への取り組みは「“柴咲コウ”を活用して持続可能な活動に繋げたい」

――昨年は環境省より“環境特別広報大使”に任命され、伊勢神宮で歌を奉納されました。任命されたときはどのような心境だったのでしょうか?

【柴咲コウ】 このような機会を頂くことは私の願いでもあったので嬉しかったです。名誉職と捉える方もいらっしゃるかもしれませんが私にとってはそうではなく、お芝居や歌といった活動を続ける中で新たな役割を頂いたと受け止めています。

――そして今年はコンサートツアー『EARTH THE KO』の幕開けとして広島・厳島神社で奉納公演を行いましたが、そういったことも“環境特別広報大使”の活動の一環として行われたということですよね。

【柴咲コウ】 そうですね。私は環境や地球、そして人間や社会に対して何か貢献したいという気持ちを持っているのですが、それがボランティアだけではいけないと思うんです。もちろん善意でやられる方もいらっしゃいますし、私もその一人ではあるのですが同じ思いを持つ人達を巻き込んで、持続可能な活動に繋げていく必要があるという考えなんです。今回の奉納公演もそうですが、“柴咲コウ”という存在を活用して出来るだけ持続していけたらいいなと思っています。

――奉納公演では主演ドラマ『連続ドラマW 坂の途中の家』(WOWOW)の主題歌である全編英詞の「silence」を初披露されていました。この曲の作詞も手掛けてらっしゃいますが、どういったことをテーマに歌詞を書かれたのでしょうか?

【柴咲コウ】 私は内省するタイプで、物事や自分自身のことを深く考えるのが好きなんですが、例えば何か辛いことがあって気持ちが落ち込んでいる時は周りから“大丈夫だよ”とか“元気を出して”と言われても、失意の底にいるような状態だから元気でいられないですよね。そういう状態の時にふと、“底過ぎる場所にある静けさ”のような空間があるような気がしたんです。それをイメージして、例えば“見たいものが見えない”とか“問題が解けない”、“心が癒えない”といったことをキーワードに歌詞を書いていきました。失望から這い上がるには現実を見つめる作業も絶対に必要で、私の場合は歌詞として言葉に昇華することで気持ちが落ち着いてくることが多いです。

■ようやく“自分に求められているもの”と“自分が表現したいもの”が一致してきた

――2002年に『Trust my feelings』で歌手としてデビュー以来、柴咲さんの歌手活動にはどんな変化がありましたか?
【柴咲コウ】 音楽活動を17年ほどやらせて頂いてますが、当初は“自分に求められているもの”と“自分が表現したいもの”が少し離れているような状態でした。そんな中で模索しながら歌詞を書いたり歌を歌って音楽の制作をしてきたのですが、続けているうちに音楽や女優業もそうですが、レトロワグラースという会社やアパレルブランドMES VACANCES(ミヴァコンス)を立ち上げたことなど全てが収束して、今はそれらの歯車がひとつになってグルグルと回っているような感覚なんです。ようやく自分が表現したいことが一致してきたんじゃないかなと思います。そして今までの経験を環境活動に活かすことができるとも思っていて、そういった意味でも歯車が合ったというか。“環境特別広報大使”に任命して頂いたことで今後の活動に一貫性を持たせられるのではないかなと思っています。

――近年の柴咲さんの出演作にはしっかりとしたメッセージがあるものが多いように感じるのですが、女優というお仕事を通しても何かを伝えたいという思いが強くなってきているということでしょうか?
【柴咲コウ】 私は良くも悪くも真面目な性格なので、例えばカジュアルトークのようなものが凄く苦手なんです(笑)。なので作品に関しても、まずしっかりとした主題があって、それに対してみんなで議論をぶつけながらお芝居の世界を構築していくようなやり方ができる作品を選ぶようになってきているのかもしれません。自分がどう見られたいかというよりも、作品のテーマになっている問題に視聴者の方が触れることで起こるケミストリーや、私が演じる役が誰かに良い影響を与えられたらという思いのほうが強くなってきていて。そういう基準で出演作品を決めているようなところはあります。

――では、何かを表現するにあたり、アイデアのヒントやインスピレーションをどんなことから得ていますか?
【柴咲コウ】 とにかく頂いた脚本を読むようにしています。それはお受けしたものに限らず頂いたものは全て。というのも、私が参加しなかった作品であっても公開されたり放送されたのを見て色々と感じたりするからです。それが何かのエッセンスになって歌詞に現れたり物作りに影響することもあるので、結果的に全てが良い循環になるんです。

■信用してもらえるように行動して、厳しい声も糧にすれば良い循環になる

――多くの女性からも支持されていますが、反響を実感されることはありますか?
【柴咲コウ】 “応援しています”と言って頂くと凄く嬉しいですし、それは同性でも異性でも同じです。その反面、新しいことを始めると世間から何かしらの風当たりがあるのも事実で、例えば2016年に会社を立ち上げた際には“芸能人が会社を初めて大丈夫か?”と言われたこともありました。でも、そういうバイアスは何かを始めるときは少なからず生じるので、純粋に私のことを心配してくださっているんだなとアドバイスのひとつとして捉えるようにしています。それよりも信用してもらえるように行動して、そういった厳しい声を糧にすれば良い循環になるような気がして。でも、やっぱり応援の声が一番やる気が出ます(笑)。

――今後の女性としての理想像のようなものがあれば教えて頂けますか。
【柴咲コウ】 男女平等の思想に反するかもしれませんが、私は女性であるということは凄く特別なことだと思っていて、更に“男”や“女”というのは区別であって差別ではないという考えなんです。女性にしかできない考え方や発想、物の見方なんかを最大限に活かすことができたらいいなと。それから女性らしい“しなやかさ”や“柔らかさ”も大切にしていきたいと思っています。

――“しなやかさ”や“柔らかさ”を維持するために心がけていることは何かありますか?
【柴咲コウ】 のえるという名前の猫を飼っているのですが、この子は本当に優しくて凄くしなやかなんです。のえるがいなかったら、もう少しピリピリした性格になっていたかもしれません(笑)。言葉が通じなくても私を受け入れてもらっていると感じるので、日々ありがとうという思いでいますし、一緒にいると勉強になることが多いです。動物や植物から学ぶことが多いので、やはり自然や環境、生き物を大事に育てていけるような活動をしていきたいです。

(インタビュー・文/奥村百恵)

関連記事(外部サイト)