タレントとファンの距離は本当に近づいた? “距離感の錯覚”を生むSNSの功罪

タレントとファンの距離は本当に近づいた? “距離感の錯覚”を生むSNSの功罪

運営側の問題をSNSで暴露し、称賛・応援コメントがあふれた元NGT48・山口真帆 (C)ORICON NewS inc.

ファンによる暴行、およびそれを黙殺しようする運営側をSHOWROOMやTwitterで告発した元NGT48・山口真帆。かつての芸能人は、事務所やファンとのトラブルがマスコミに報道されることはあっても、自らは表沙汰にしないのが普通だった。しかし、今やタレントはひとりの“人間”として声を挙げるSNSのツールを手にした。
 一方、5月21日には、NGT48・加藤美南がSNS上で不適切な投稿があったとして研究生降格処分を受け、ついにはNGT48全メンバーがSNS停止に。過去にも剛力彩芽や松居一代がSNSを介してプライベートな内容を発信し、猛烈な批判が相次いだ。
 最近では、山下智久がジャニーズ事務所所属タレントとして初の公式インスタグラムを開設すると、わずか4日でフォロワーが200万人を突破して話題に。今後どのような投稿をするのか注目されているが、タレント人生の浮沈を左右する「芸能人×SNS」の正しい向き合い方とは?

■タレントが“ヒト”として発信できる“駆け込み寺”

 今回、運営側の問題を暴露した山口真帆の“勇気ある行動”にSNSでは称賛・応援のコメントがあふれた。もし、SNSというツールがなければ山口はさらに辛い思いを強いられたかもしれず、この一件に関して自由な発言を奪われていた山口にとっては、SNSは“駆け込み寺”となったわけである。

 また、先日は俳優の賀来賢人とタレントの藤田ニコルが、ほぼ同時期にファンによる盗撮行為を嘆く発言をSNSに投稿すると、賛同コメントが殺到。特に藤田ニコルは、たびたび“病みツイート”を投稿しては“かまってちゃん”と称されるなど、テレビでは見せない人間らしい一面をのぞかせている。今年の3月にも、「最近昔からのファンが 私好きなの卒業しようとする 病む」と投稿し、ファンからは「身近な人には絶対に言わないようなことも、芸能人に言う人はいるよね。報告する人達だって明日から友達やめるわとか言われたら嫌でしょ??それと一緒」、「自分も人間、相手も人間。そういう言葉に反応しない方がいいと思う。そういう人にはこのツイートも嫌になる理由になり得る」などと、励ましのコメントが寄せられた。

 SNSが普及したことで、これまで事務所やスタッフが行なっていたいわゆる「告知」も、芸能人が自ら発信することができ、ファンに対してもよりリアルに響くようになった。また、事務所が隠したがる芸能人の“闇”(病み)も、本人がさらけ出すことでその痛みや悲しみをファンと共有できるのだ。

■“芸能人たるもの、SNSやらざるべき”という風潮にシフトチェンジ?

 一方、はなからSNSに背を向ける芸能人もいる。綾瀬はるかや新垣結衣、北川景子などはSNSをやっておらず、女優としての品格を保っているように感じる。また、爆笑問題・太田光は、芸能人としては知名度や出演の場がなくても自由に発信できるSNSを否定的に捉え、「プロならやるな」と発言している。

 先の藤田ニコルの“盗撮を”嘆く病みツイートでも、同情コメントのほか「プロ意識ないなあ そういうのは笑って流すのがタレントでしょう」、「発信力のある人は特に、見る人、聞く人がモヤモヤすることを発信しない事。結局、自分に返ってくるでしょ。非難されても自業自得。典型的なSNSの無駄づかい」などの批判があることも事実。

 山下智久のジャニーズ初となる公式インタグラムのアカウント開設にしても、驚喜するファンだけではなく、「本当にやめてほしい…安っぽくなる」、「ファンからは届かない距離にいてほしい」との声もあるのだ。

■“距離感の錯覚”による芸能人のSNS疲れ

 SNSは芸能人とファンとの距離を近づけるツールにもなり得るが、一部には距離感を誤るユーザーもいる。さらには、面と向かって言えないこともSNSでは言いたい放題になる場合もあり、芸能人の“SNS疲れ”も取り沙汰された。

 これまでに宮沢りえや満島ひかり、真木よう子などがSNSを休止、剛力彩芽や戸田恵梨香が過去の投稿をすべて削除するということもあった。藤田ニコルも「LINEもやめたいし、ツイッターもやめたい」と発言し、益若つばさは「気づけば習慣になっていたSNSと距離を置き、ソーシャルデトックスができるようになりたいです」と発言。あの渡辺直美にしても、「もともと趣味で始めたが、今は(フォロワーから)『もっと投稿して』と追い込みがハンパない」と困惑ぶりを告白している。

 それまではSNSで好感度を上げていたはずの石田ゆり子でさえ、昨年5月に店員の接客に対する苦言を投稿すると、「芸能人なんだからあんまり自分語りしないで」、「影響力のある有名人がわざわざそんなふうに言わなくても」、「やっぱ女優にはSNSを発言の場として使ってほしくない」など批判コメントが殺到。石田は後日、「ここ最近、SNSというものの良さも悪さもひしひしと感じます。」「だけど最近やはり疲れてきたのは事実です」と吐露した。

 今や芸能人にとっては必須のコミュニケーションツールとなったSNSだが、本人が精神的に辛いときには“駆け込み寺”となり、ファンとも悩みを共有できる“癒しの場”になる反面、本人の傲慢で不遜な発言や非常識なユーザーによっては“炎上”し、“凶器(狂気?)”ともなり得る。

 タレントのフィフィは、「タレントの投稿を見ている側は、SNSで距離が近づいたことで、勝手に自分と比べて嫉妬したり批判したりする。でもね、やっぱりそこは対人間なの、叩いて傷つけているのがSNSの向こうの人間であることを忘れないでほしい」と持論を述べているが、たとえ芸能人といえども一個人であり、“私人”の部分がある。特にSNSでの発信ではプライベートの部分が出やすく、ファンも期待する。しかし、あまりに“私”を出しすぎると、“芸能人”として叩かれることにもなる。

 いくら芸能人とファンとの距離が近づいたとはいえ、そこにはやはり“壁”があり、取り払うことはできないし、また取り払うべきではないだろう。今の時代だからこそ、芸能人とファンとの間にはいい意味の“壁”が構築されるべきであり、芸能人もファンも節度あるコミュニケーションを心がけながら、両者でSNSの場を守っていかなければならない。

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