映画『町田くんの世界』で注目の新人・関水渚、「今は悩んでいる時間すら楽しい」と女優業への想いを明かす

映画『町田くんの世界』で注目の新人・関水渚、「今は悩んでいる時間すら楽しい」と女優業への想いを明かす

映画『町田くんの世界』でヒロイン・猪原さん役を演じる関水渚 撮影/草刈雅之(C)Deview

石井裕也監督の最新作、映画『町田くんの世界』が本日6月7日(金)より全国ロードショー公開となった。主役級の豪華俳優陣が脇を固める本作で、1000人を超えるオーディションを勝ち抜き、主演に抜擢された“真っ白な新人”細田佳央太と関水渚に注目が集まっている。

 岩田剛典、高畑充希、前田敦子、太賀、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子といった主役級の豪華俳優陣が脇を固める中、主人公・町田くんを演じる細田と、ヒロイン・猪原さんを演じる関水は、本作に取り組むまで演技経験がほぼゼロだったという。

 関水は、2017年に『アクエリアス』のCMでデビューし、その後、雑誌などで活躍。初めて参加した映画主演のオーディションが本作だった。興行収入48億円突破の大ヒット作『キングダム』をはじめ、本作でもプロデューサーを務めている北島直明氏は、そんな関水に対し「演技経験もテクニックも何もないはずなのに、不思議な魅力というか華やかさというか、とてつもない伸びしろを感じ、彼女に賭けてみようと思いました」と絶賛。

 本作のオーディションでは、会場に入るやいなや、号泣してしまったというエピソードを残している彼女。その理由を「もともと石井監督の映画が大好きで、さらに『町田くんの世界』の原作も前から読んでいて好きだったので、自分の中で勝手に気持ちが膨れ上がってしまって。オーディション当日までにたくさん練習をして臨みましたが、オーディションの部屋に入ったら石井監督がいらっしゃって、その瞬間、気持ちが溢れ出してしまって、涙がダーッと溢れてきました」と、監督や原作への思い入れとともに明かしてくれた。

 そんな想いを抱えて挑んだオーディションについて、関水は「演技審査は実際の台本を使って行いましたが、町田くんに対して思いっきりキレる場面や、振り切ってお芝居をしないといけないシーンがけっこう多かったんです。でも、普段いきなり人に対して怒ることってないので、全然うまく出来なくて。それでも自分なりに全力で振り切って演じたのですが、石井監督からは『もっと怒りの限界値を超えてほしい』と言われて。そのほか、オーディション中にもいろいろとご指導していただきました」と、必死で食らいついていったオーディションの日々を振り返った。

 クランクインの2、3ヵ月前からはリハーサルに参加。猪原さんの役作りについては、役が決まる前から原作を熟読してきただけに「猪原さんは町田くんと真逆で、人が大嫌いで、自分のことも嫌いな子なんです。私も高校生の頃は自己嫌悪に陥ったり、人に対して不安や怖さを感じたことはあったので、そこは共感できるなと思いました。猪原さんが町田くんへの恋心に気付いたあと、町田くんの誰にでも分け隔てなく優しく接するところに、もどかしさを感じることもすごく共感できました」と、自分と重ねながら役を掘り下げる作業が楽しかったという。

 しかしそれを演じるのはまた別の話で、「猪原さんは、感情の起伏がとても激しくて、怒るときも、悲しむときも、喜ぶときも思いっきりなんです。でも、私は演技の経験が全然なくて、そういう表現を人前でやることに対して恥ずかしさがありました」と、初めて演技に取り組む壁にぶつかったようだ。リハーサルにはその壁を乗り越える意味もあったようで、「まず練習したのが、監督やプロデューサーさん、細田くんの前で“ひたすら笑い転げる”ということだったんです。あとは即興で踊るということもやりました。ダンスというよりは、“舞う”という感じで、『とにかくなんでもいいから舞ってください』と言われて。そういうことを重ねるうちに、だんだん恥ずかしさがなくなってきました」。

 そんな、ユニークなリハーサルを経ていよいよ現場入り。「自分の思い通りに行かないことがたくさんありました。私ができないせいで時間がかかってしまったシーンもいっぱいあって。しかも『ハンカチを渡す』など何気ない動作で指導を受けることが多くて──」と、もどかしさでいっぱいになったと振り返りつつも、「でも、それはぜんぜん苦ではなくて、むしろ監督がそこまで細かく見てくださっていることがうれしかったです。なので、それに応えられるように頑張らなきゃ!と、毎日、毎シーン、とにかく必死でした」と、簡単にはへこたれないガッツの持ち主のようだ。

 豪華キャストが名を連ねる現場ということで、とにかく緊張していたという関水。そんな状況の中、「クラスメイトの友達役が前田敦子さんで、私はとても緊張していたんですが、本当にお友だちみたいな空気感でお話ししてくださって。それだけでもうれしかったのですが、私が『日焼けしやすいんです』という話を前田さんにしたら、『いい日焼け止め、知っているよ』と、次にお会いしたときにそれをプレゼントしてくださったんです。あと高畑充希さんと前田さんとの3人のシーンの撮影のとき、お2人はもともと仲が良いそうなんですが、私も話に混ぜてくださって。今作でお会いした方々はみなさん、お芝居も素晴らしい方々なんですが、人間的にもステキな人ばかりでした」と楽しかった撮影の日々を目を輝かせながら語ってくれた。

 彼女の芸能界入りのきっかけは、2015年に開催された「第40回ホリプロタレントスカウトキャラバン」への出場。その時の決選大会を取材した『デビュー』スタッフは、ファイナリストの中でも、彼女のヘルシーに日焼けした姿と元気いっぱいの笑顔がとても印象的だったと語る。「当時、野球部のマネージャーをやっていたのですが、顧問の先生がすごい熱血な方で、選手のみんなも必死に練習している中、自分だけ日焼け止めを塗っている場合じゃないなと思って……その結果、真っ黒に焼けちゃったんです(笑)」。ファイナルまで残ったものの、惜しくも受賞は逃した。それでも「審査中はずっと楽しかったです。特に合宿審査でサイパンに連れていっていただき、グラビア撮影をしたり、仲良くなった子たちと夜にしゃべったりしたことがとても印象に残っています。そのなかでも(グランプリの)木下彩音ちゃんと(ソフトバンク賞の)井上咲楽ちゃんとは年齢が近いこともあってすごく仲良くなって、今もよく遊んだりしています」と、同じ夢を持つ仲間との出会いが何よりうれしかったようだ。

 デビュー後はCMやグラビアで活躍してきたが、もともと女優志望。「中学生の頃にふとテレビをつけたら、石原さとみさんの笑顔が画面いっぱいに広がっていたんです。その表情がとてもステキで、なんだか気持ちが明るくなったんです。『リッチマン、プアウーマン』というドラマだったんですが、それから夢中になってそのドラマを見るようになって、私もさとみさんのようになりたいなと思ったのがきっかけでした」と、同じ事務所の先輩への憧れを語っている。

 いよいよ夢への第一歩を踏み出した彼女。「お芝居そのものはすごく悩みますし難しいなと感じることのほうがまだまだ多いですが、それがぜんぜん苦ではなくて、今は悩んでいる時間すら楽しいです」と、ますます女優への思いも強くなっている。「それもやっぱり、この現場だから味わえたことだと思いますし、最初の作品が『町田くんの世界』で本当に良かったと思ってます。将来の夢はたくさんあるのですが、まずは、いつかまた石井監督の作品に呼んでいただけるような女優さんになることです」と女優としての抱負を明かした。

 映画『町田くんの世界』は、6月7日(金)より全国ロードショー。なお、オーディションサイト『Deview/デビュー』では、本作で主演を務めた細田佳央太、関水渚のインタビューをそれぞれ掲載中。

取材・文/児玉澄子

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