【いだてん】仲野太賀、2人の主役と落語パート、すべてをつなげるキーパーソンを演じて

【いだてん】仲野太賀、2人の主役と落語パート、すべてをつなげるキーパーソンを演じて

大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』第39回より。満州にて。慰問興行中の孝蔵(森山未來)と圓生(中村七之助)を訪ねてきた小松勝(仲野太賀)(C)NHK

NHKで放送中の大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)は、第25回(6月30日放送)から描いてきた第2部、激動の昭和史が第38回(10月6日放送)の1940年東京オリンピックの返上と学徒出陣をもってピークを迎えた。そこでキーパーソンだったのは、仲野太賀演じるマラソン選手・小松勝だった。

 小松は、ドラマオリジナルの架空の人物で、第32回より登場。金栗四三(中村勘九郎)の著書『ランニング』に感銘を受け、九州一周の途中、四三を訪ねて池部家に立ち寄り、その後、四三とともに上京して、ハリマヤ製作所で下宿生活をはじめる。やがて、ハリマヤ製作所で働く、りく(杉咲花)と恋仲になり、結婚。長男・金治(のちの五りん)も生まれ、1940年東京オリンピックでのメダル獲得を夢見て昼夜トレーニングに励んできた。しかし、日本は開催権を返上。第二次世界大戦のぼっ発により、オリンピックの開催そのものが中止となってしまう。

 小松は、現役を退いた金栗四三に代わる、もうひとりの“いだてん”だ。オリンピックで金メダルを取るという揺るぎない目標を共有し、「スッスッハッハッ」と走り方まで似てくる。「金栗四三さんのフォームを出発点として、時代が進んだ変化を加えつつ、ちゃんと師弟感が出るようなフォームをマラソン指導の金哲彦さんが考えてくれました。僕としては、“第2のいだてん”として、昔の金栗四三さんを感じさせる何かが表せていたらいいな」と役作り。ついには「オリンピック中止」の悪夢が繰り返され、さらに小松は学徒出陣で召集される。

 「マラソン選手としてピークを迎えたタイミングでオリンピックが中止になってしまう。目標を失ってしまったが、一目惚れしたりくちゃんと結婚して立ち直り、息子が生まれて人生これからという時に、戦争に行くことになってしまう悲劇。第38回のハリマヤのシーンは、震えるものがありました。見送る人たちの『バンザーイ、バンザーイ』には皮肉が込められていて、小松として震えたし、セットの中を見渡しても、本当にすばらしい方たちが集まって作っているんだな、と思って感極まりました。勘九郎さん、綾瀬はるかさん、三宅弘城さん、杉咲花さん、柄本佑さん…。気合いが入り過ぎて撮影の次の日、熱が出ました(笑)」。

 仲野は、『いだてん』の制作が発表されたその日から、「絶対に出演したい」と熱望していたそう。「マネージャーさんに『スケジュール、あけておいてください』とお願いもしていました(笑)。こんなにも自分が出演を願って、かなった作品は初めてかもしれません」。

 金栗四三役の中村勘九郎と三遊亭圓生役の中村七之助は、実の兄弟。実は2017年に仲野が主演したNHKのドラマ『1942年のプレイボール』の撮影中、共演する勝地涼と平成中村座の公演を観に行ったことがあったという。「すでに勘九郎さんが『いだてん』の主役と発表されていましたから、これは観に行かなきゃ、というテンションで(笑)。その時は、僕も『いだてん』に出たいという話はせず(笑)。出演が決まって、脚本を読んだら、勘九郎さんと勝地さんと3人のシーンがあったり、七之助さんともご一緒できたり、すごく縁があるな、と思って勝手にびっくりしていました」。

 改めて第32回からの小松を振り返って見ると、その役割は大きかった。

 「中村勘九郎さん演じる金栗四三さんと、阿部サダヲさん演じる田畑政治さんを幻の東京オリンピックでつなぎ、オリンピックと落語をつなぐ役目も担っている。脚本を読んで、小松の出番は多くないけれど、とても重要な役だと感じました」と少なからずプレッシャーも。

 第1回から登場した神木隆之介が演じる青年の名前が「小松」。その後、古今亭志ん生(ビートたけし)に弟子入りして以降は「五りん」と呼ばれ、「東京オリムピック噺」の創作落語を始める。五りんが志ん生を訪ねてくるきっかけとなった、満州から届いた父の絵はがきに書かれていた「志ん生の富久は絶品!」の謎が、第39回で明らかになる。

 「古今亭志ん生(森山未來)、三遊亭圓生(中村七之助)、そして小松が満州で一緒になる歴史的瞬間。これで全部がつながる、楽しみです。第39回では、小松が酔っ払うシーンがあるんですが、そこでいままでにないくらいしゃべる。小松に意外な一面が見られます。その酔ってしゃべっている姿が金栗四三さんっぽく見えるといいな、と思って演じました」。

■中村勘九郎からコメント

 勝くんは四三が熊本に帰りいったん走ることから遠ざかった時に現れた有望株で、まさに希望そのもの。四三に走る楽しさを思い出させてくれ、再び走り出す原動力となる熱いものを彼が運んできてくれたと思っています。

 太賀さん自身も熱い方ですし、何よりも人柄が良く、懐にぱっと飛び込んできてくれるタイプ。僕は意外と人見知りなんですが、最初からすんなりと一緒にお芝居する事ができました。僕も彼も走りのトレーニングをずっとしてきて、その苦労というのがお互いわかるので、まるで同士のようです。

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