名作「神奈川沖浪裏」大波より富士山メイン? “自然と人々の関係性描いた作品”小学館が独自分析

名作「神奈川沖浪裏」大波より富士山メイン? “自然と人々の関係性描いた作品”小学館が独自分析

葛飾北斎の『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』

小学館が10日、都内でウイークリーブック『週刊 ニッポンの浮世絵100』歴史的浮世絵名作の“新発見”発表会を開催した。

 これは17日にウイークリーブック『週刊 ニッポンの浮世絵100』(毎週木曜発売 価格700円税込)を創刊することを記念して開催したもの。同本では、全30巻にわたって、浮世絵師の紹介や浮世絵のミステリーなど世界最高のポップ・アートといわれる浮世絵の魅力を伝える。全30巻で絵師50人+50作品=100をメインに合計1500作品以上の名作を堪能できる。

 具体的には、各作品徹底的に読み解き、美しい図版で紹介。これまでの浮世絵本とは異なった斬新な視点から浮世絵の世界を掘り下げ、浮世絵の魅力や価値をわかりやすく解説する。創刊号では「葛飾北斎」「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」などを特集し、「葛飾北斎」の名作「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の見どころは浪や富士山でもなかったこと、北斎はなぜ93回も引っ越しをしたのか、など初心者から上級者まで楽しめる内容になっている。

 そしてこの日、創刊にあたって、専門家の視点で浮世絵の名画を見直した結果、今までスポットが当たっていなかった新発見があったと発表。それは「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」で、大波や富士山に注目されがちだが、高橋建編集長は「絵の中心になっているのは、中央部にいる舟に乗っている人たちではないかと」説明。

 その理由は「顔が簡略化されて描かれているのですが、どうみても波に襲われて怯えているように見えなくて、のほほんとした感じ、楽しんでいるように見える。ヨーロッパ絵画で同じような状況の物を描いたとしたら、整然とした形で舟に乗っていないでしょうし、わめいたり叫んだりし阿鼻叫喚の状態だと思う」「逆に波に立ち向かっていく英雄的な描き方をするかと思う」と分析した。

 さらに、富士山については「小さく描かれているのですが、中心部分にあって霊峰と呼ばれる聖なる山。遠くから人々を見守っているように見ることができる。つまり、この絵は波の向こうにある遠くの富士山を見るのではなく、富士山が遠くから人々を見守ってくれているのだと思います。北斎は富士山が人々を見守っている関係性を描きたかったのではないかと。さらに、江戸の人たちにとっての富士山の意味や価値、そういったものを描くために大波を使うなどの極端な設定をした。激しい場面でも人々は割と安心している表情なのは、遠くから富士山が見守ってくれているからだと。そのような姿を描きたかったのではないかと思います」と人々と自然の関係性を描いた作品と伝えた。

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