SNSユーザーも古き良き“薫り”に反応… “昭和あるある”が詰まったジオラマ駅舎で繋がる「思い出と共感」

SNSユーザーも古き良き“薫り”に反応… “昭和あるある”が詰まったジオラマ駅舎で繋がる「思い出と共感」

「昭和の駅舎と汽車を待つ人々」 制作・画像提供/鉄道模型に重量感を求めて氏

モデラーの鉄道模型に重量感を求めて(@tetsuju)さんは、鉄道を使った趣あるノスタルジックなジオラマを数々制作。なかでも近作として注目を集めているのは、昭和の古き良き駅舎の“薫り”を、精巧な造りのジオラマで表現しているシリーズだ。パソコンも、自動改札もない駅舎には、現代の日本ではなかなかお目にかかれないものばかり。なぜこのような“風景”を制作しているのか、話を聞いた。

■古き良き時代をいつでも見れるという喜び

――ジオラマ作りを始めたきっかけを教えていただけますか?

【鉄道模型に重量感を求めて】40歳前後まで仕事人間で趣味に割く時間が全くありませんでしたが、15年程前、当時流行していたブログを始めてみようと思い、子供の頃好きだった鉄道模型を25年ぶりに復活させました。
 鉄道模型工作の経験がほとんどなかったため、最初は、鉄道模型の完成品にウェザリングをかけるなど、制作過程をブログにアップしていたところ、それをご覧になった読者から、たくさんのアドバイスを頂くようになりました。工作技術に係る人や、実際に線路の保守点検をお仕事にされている方などから、“そもそも線路とはどんなものなのか”という細かい助言や資料が届き、そのお陰でかなり実際の鉄道風景に近いものを作れるようになりました。

――それはすごい反響ですね。

【鉄道模型に重量感を求めて】キットについては、市販のものを2〜3組み立てると、作り方のコツがわかるので、それを応用し自作をし始めました。市販キットは、高価であることと、自分が作りたいもの…例えば“建物の内装”までカバーしているものがなかったので、自作せざるを得ないという事情もありました。

――作品は古き良き日本の「鉄道」をテーマにした作品が多いようですが、なぜこのような作品を作ることにしたのでしょうか?

【鉄道模型に重量感を求めて】どうせ作るのなら、自身の体験をベースに作ろうということで、故郷・福島で見た昭和40年代から50年代頃をイメージしたジオラマにしました。首都圏と比べ、国鉄の地方路線は、当時かなりボロボロでしたから、余計古く見えるのかもしれません。ただ、今では消えつつある風景とも言えるので、それを再現することにより、古き良き時代をいつでも見られるという喜びも得ることができます。

■置き場所に困らない鉄道模型の内装処理に力を入れた結果、200以上の小物を自作

――近作としては、ジオラマ駅舎の「昭和のあるある」をシリーズで展開されています。なぜこのシリーズを展開しようと思われたのですか?

【鉄道模型に重量感を求めて】このジオラマ駅舎の正式名称は「昭和の駅舎と汽車を待つ人々」。1/80(HOゲージ)の鉄道模型を飾るジオラマが欲しいと思い作ったものです。拙宅が狭く置き場所がないため、置き場所に困らない鉄道模型の内装処理に力を入れたり、小さい駅舎内に当時の思い出を出来るだけたくさん詰め込んだ結果、このようなものになりました。灰皿・網棚・扇風機・昭和の乗客など実に200以上の懐かしい小物が詰めこんで、懐かしい昭和の車内風景をジオラマ風に再現し楽しんでいます。(笑)。
 「昭和のあるある」というテーマ自体は、最近始めたツイッターで一連の投稿に“共通性を持たせるため”に設けました。

――“共通性を持たせるため”のテーマである「昭和のあるある」シリーズは、どのようなストーリーが背景にあるのでしょうか?

【鉄道模型に重量感を求めて】「昭和の駅舎と汽車を待つ人々」というお題が示す通り、夏の午後、汽車を待つ部活帰りの女学生や行商人、汽車が大好きな少年と付き添いのおじいさんが、ある田舎駅でのんびり汽車を待つというストーリーになっています。人々を取り巻く風景も昭和らしくしたいということで、今では見られない沢山の昭和の小物を配置した結果、どのアングルで写真を撮っても、「昭和のあるある」が写り込む仕掛けになっています。

――本シリーズで一番苦労したのはどの部分ですか?

【鉄道模型に重量感を求めて】自分が考えているものを全て表現しようとすると、市販パーツでは到底カバーしきれないため、このジオラマ駅舎は、建物や小物も含め、ほとんど自作しなければいけませんでした。最初は大変でしたが、作っているうちにどんな素材をどう利用すれば上手くいくという、法則のようなものが自分の中でだんだん出来てきて、結局200以上の小物を自作することができました。
 また、“汽車を待つ人”をテーマとしているため、人形作成にも苦労しました。いくらよいジオラマを作っても人形を置くと直ぐに模型と分かってしまう市販品しかなかったため、自分で作るしかなく…。でも、これもいい機会だと思って、前々から挑戦していた1/80サイズの人形作りに一層磨きをかけ、デジカメの接写にも耐えられるレベルの人形を作れるようになりました。

■「作れないものはない」と思うマインドが大切

――制作後の反響はいかがでしたか?

【鉄道模型に重量感を求めて】ブログで毎日制作過程をアップしていたため、ジオラマが完成した時は、沢山のブログ読者からリアルタイムで祝福のコメントを頂きました。たまたま見つけた「鉄道模型趣味」のレイアウトコンペの応募があったので、応募したところ、賞も頂きました。
ただ、家族には邪魔物のようで、ツイッターで投稿を始めるまでの4年間程は、捨てられないよう片隅にしまっていました(笑)。

――そういうご苦労もあるんですね(笑)。ジオラマを制作する上での信念はありますか?

【鉄道模型に重量感を求めて】「作れないものはない」ということです。人形の自作はかなり苦労しましたが、ジオラマに置いても違和感がないものができましたし、小物についても、何でも自分で作ってみようと思うようになりました。最初から作れないと思っていたら、このジオラマは出来なかった…なので「作れないものはない」と思うマインドは大切なことだと思います。

――最後に鉄道模型に重量感を求めてさんにとって「ジオラマ」とは何かを教えてください。

【鉄道模型に重量感を求めて】あまり考えたことがありませんが、敢えて言葉にするなら「思い出と共感」でしょうか。自分だけでなく、いろいろな方の思い出が詰まったものがジオラマではないかと思います。ブログと同様、最近始めたツイッターでもジオラマの写真をアップすると、いろいろな方の思い出話が寄せられてきます。自身のジオラマから、全く知らない方々の思い出をお聞きし、共感できるというのは素晴らしいことだと思います。
 新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、“ソーシャルディスタンス”が叫ばれ、人との距離が遠くなる昨今、Web上だけでもジオラマを通して人と共感し合い、繋がることができるということは、誠に幸せなことだと思います。

文/中山洋平

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