“アニキ漫才”で話題のペンギンズ、苦節経てブレイク キャラ芸人の宿命も覚悟

“アニキ漫才”で話題のペンギンズ、苦節経てブレイク キャラ芸人の宿命も覚悟

苦節を経て“アニキ漫才”でブレイクしたペンギンズ(左から)アニキ、ノブオ (C)ORICON NewS inc.

 スーツ姿でオールバックの強面男が「ノブオー」とドスの利いた声で呼びかけると、ややうしろで立っているアロハシャツの男が甲高い声で「アニキ!」と返す。アニキと舎弟のノブオによる漫才で人気を集めている、お笑いコンビ・ペンギンズのスタイルだ。一度見ると頭から離れないほど、強烈なインパクトを放つ“アニキ漫才”が誕生するまでの2人の歩みは、実に紆余曲折だった。

■先輩芸人から学んだ芸人としての心得 運命感じてコンビ結成

 ともに埼玉県出身の2人の足跡には共通点が多い。アニキ役の吉間洋平(40)は東京のNSC(吉本総合芸能学院)で芸人としてのスキルを学び、そのまま「よしもと」で2003年にお笑いコンビ・バロン(のちに「ばろん」に改名)を結成。その後「アミューズ」「松竹芸能」「フリー」として活動を続けてきた。一方、ノブオ役のナオ(32)の芸人人生の始まりは高校3年生。同級生と『M-1グランプリ2001』の予選に出場したところ、アマチュアながら3回戦まで進出。その経歴を引っさげ、大学時代に「よしもと」入り。コンビ解消を受けて「松竹芸能」に移籍し、2005年にお笑いコンビ・だいなおを結成した。

 2人が出会うきっかけとなった松竹芸能では、アメリカザリガニの柳原哲也(45)から芸人としての“心得”を学んだ。吉間が「柳原さんは東京の教育係。『それはアカン』としっかり怒ってくれました」と明かすと、ナオもかみしめるように感謝を口にする。「僕は養成所を経て芸人になった訳じゃなかったので、礼儀を全く知らなかった。柳原さんには、その辺をしっかりと怒られました(笑)。プライベートでもいろいろとお世話になって、いろんなことを勉強させてもらいました」。「ノブオの声」と「柳原のハイトーンボイス」が似ているのではと投げかけると、満面の笑みを浮かべた。

 「奇しくも似ていますよね。この間、舞台の出番が前後だったことがあって、先に僕らの出番が終わった後に、舞台袖にいた柳原さんから『お前、声が高いの続くやんけ!』と愛のあるツッコミをいただきました(笑)。思えば、安田大サーカスのクロちゃんさんも松竹ですから、どこかで声高いのに憧れていて、それを引き継いでいるのかもしれないです」。

 別々に活動していた2人に転機が訪れたのは2014年のこと。吉間が「ばろんを解散すると決めて、どうしようと考えていた時に、ナオに電話したら『きょう、ちょうど“だいなお”を解散する』という言葉が返ってきた」と振り返ると、ナオも身振りを交えて語り出す。「僕もピン芸人としてやっていく選択はなかったので『どうしようかな』と思っていたところに、アニキ(吉間)から電話があった。こんなタイミングはないと感じて『だったら、一緒にやりましょう』と言いました」。運命的なものを感じた2人は、ラストチャンスに賭けることを決めた。

■大先輩の一喝で“アニキ漫才”誕生 キャラ芸人の宿命も覚悟「いけるところまで…」

 2015年5月に、ナオのサンミュージック所属が正式に決まり「ペンギンズ」が誕生。しばらくは正統派漫才をしていたという2人だが、同年に満を持して出場した『M-1グランプリ』予選でまさかの1回戦敗退。「このままではダメだ!」と奮起を誓う2人に、事務所の大先輩・ブッチャーブラザーズのぶっちゃあ(62)の喝が飛んだ。「アニキが漫才中に横を向いちゃうクセがあって、舞台袖にいるぶっちゃあさんと目が合ってしまって『こっち見るな!』って毎回怒られていたんですよ…」とナオが声を潜めながら打ち明ける。

 「時にはライブのVTRを見ながら『今、これこれ! これやっていたらお客さん笑わんぞ』と指摘してくれた。そのクセを改善にはどうしたらいいかなと考えてみると、センターマイクの前にアニキがひとりで立って、僕がうしろにいたらいいなと思った。そういう立ち位置で漫才をやるのに違和感のない設定ってなんだろうと絞っていくうちに、アニキと舎弟になったんです(笑)。おかげでアニキも横を向かなくなったし、ぶっちゃあさんがおっしゃるように笑いの量も増えました」。先輩のゲキが実を結んだ瞬間だった。

 昨年の夏頃から始めた“アニキ漫才”はたちまち人気を集め、若手芸人の登竜門になっている日本テレビ『ぐるぐるナインティナイン』の「おもしろ荘」にも出演。15年以上にわたる長い苦節を経て、ついにブレイクの兆しが見えてきた。2人は「明らかにちょっと人生が変わりましたね。まだ、ちょっとだけですけど…。やっぱり、ずっと売れなかったので、そう簡単には喜べない。ここから下がっていくこともあるので、追い込まれないようにしながら結果を残していきたいです」と声をそろえる。

 仕事量に比例して収入も上がってきているが、1児のパパであるナオはいまだにバイトを続けている。「回数は減りましたけど、今でもテレアポのバイトに行ける時は行っています。バイト先の反響ですか? 全く声が違うので、本当に仲の良い人とかは『あーあれね』っていう感じなんですけど…」。レジェンドたちとの共演では、ついついキャラを忘れてしまうこともあると反省する。「やっぱりとんねるずさんとダウンタウンさんの2組は憧れが強すぎるから(キャラ通りに)振る舞えない。存在がデカすぎて、緊張しちゃいます」。

 ダンディ坂野、髭男爵、ゴー☆ジャスなどを擁するサンミュージック所属だけに、キャラ芸人の“宿命”ともいえる「いつまで続けるか問題」への対策もバッチリだ。「お手本がいっぱいいらっしゃるので、まだ直接お話は聞いていないのですが、マネージャーさんには『こういう時はどうしていましたか?』と伺っています」。バラエティー番組のロケ企画やラジオ番組などでは、2人の新たな魅力を発見できる。「アニキと舎弟がロケに行くっていうのはなかなかないと思うので、その辺りは注目して見てほしいです。求められる限りはこのまま行けるところまで行きたいです」。お笑い界のコウテイ(皇帝)を目指し、ペンギンズはこれからも突っ走る。

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