金爆・樽美酒、金スマ・ロペス…そしてただの週プレ編集者が挑んだ『SASUKE』舞台裏ルポ

金爆・樽美酒、金スマ・ロペス…そしてただの週プレ編集者が挑んだ『SASUKE』舞台裏ルポ

『SASUKE第35回大会で7度目の挑戦となる金爆・樽美酒研二。「SASUKEはおじさんたちの祭典」と語る

『SASUKE』に出ることになりました――。

友人に話をすると、誰もがその番組名を知っている。まずそのことに驚かされる。

誕生から21年。今や国内のみならず世界165の国と地域で放送されているTBSのヒット番組が、3月26日(月)19時より放送される第35回大会から『SASUKE NINJA WARRIOR』と名を変えて再出発!

100人の挑戦者たちがアスレチックのような様々な障害物をアクションゲームのようにクリアしていくあの定番の絵面は、語らずとも多くの人々が思い浮かべられるものだろう。まさかそこに、自分も参戦!?

発端は、『週刊プレイボーイ』の特集だった。

「SASUKEの取材をさせていただくにあたって、あのステージをリハーサルの時などに体験させていただくことは可能ですか?」

しかし、番組側の回答はシンプルだった。

「ステージは選手だけの聖域です。ゆえに、答えは『NO』です。どうしても体験したいならいっそ予選から出て、頑張ってオーディションを突破してください」(宣伝担当者)

かくして、文化系・運動不足・不摂生の代表のような職業である一介の「編集者」の無謀な挑戦が幕を開けた。

【1月21日(日)予選会最終日】

約3千通の応募があったという書類選考。それを突破した全国の筋肉自慢たちが、TBS・緑山スタジオに集う予選会。全4日間の日程の最終日に潜り込んだ週刊プレイボーイグラビア編集・Iを待っていたのは、SASUKEおなじみの「五段跳び」と「腕立て伏せ100回」であった。

特に「腕立て伏せ100回」の会場は、それはもう阿鼻叫喚の地獄絵図――「何回できたか、は重要ではありません。最後まで諦めない姿勢、皆さんのスピリットを我々に見せてください」

SASUKEの第1回大会から制作に携わり、今大会も総合演出を務める乾雅人氏がそう参加者に説いた後、実技試験スタート。スタッフが叩く太鼓の音に合わせ、数十人の大人たちが一斉に腕立て伏せをする光景は若干の狂気を孕(はら)んでいる。

そして50回を超えたあたりから充満する苦しげな唸(うな)り声。「90」の声を聞く頃にはすでに大多数が「あああああああああ!!!」「ぬおおおおおおお!!!」しか口にできなくなっている。







実技が終わると、その場で面接への通過者を発表。次に進んだ者、進めなかった者、そのコントラストは残酷だが、そこにまたドラマが生まれる。肩で息をする見ず知らずの参加者同士が固い握手を交わす光景には、努力をし、そして結果をつかみ取るというスポーツの醍醐味(だいごみ)が詰まっている。

自分もなんとか次のステージに進むことができたが、疲労のあまりしばらくはその場から動くこともできない。

実技試験通過者はその後、面接を受ける。ずらりと並んだ番組制作陣を前にそれぞれが個性をPRできる服装で臨むグループ面接。乾氏はこう語る。

「元々、SASUKEは“100人100業種”を合言葉に始めたという土台があります。プロのアスリートではないけれど、こんな職業の人の中にも実はすごい人がいるんじゃないか――そういう面白さを伝えたい。だから、挑戦者がジムのトレーナーばかりじゃ面白くないわけです。今、出てほしいのは農家の方ですかね」

【2月某日 金爆・樽美酒に弟子入り】

後日、面接でのTシャツ押しが功を奏したか、無事、本戦出場内定のメールをいただいた。しかし、本誌編集・Iは考えた。予選会ですら腕立て伏せ100回を軽々とこなすような猛者たちがいたのだ。

「このままじゃ、全然通用しない――」

ということで、蛇の道は蛇…芸能界随一の『SASUKE』フリーク、ゴールデンボンバーのエアードラム・樽美酒研二(ダルビッシュケンジ/過去6度、SASUKEに挑戦し、1stステージクリアは2度)に弟子入りすることにした。

SASUKEを愛しすぎるあまり、私費で借りた倉庫を専用トレーニングルームに改造してしまったほどの樽美酒。その秘密倉庫でレクチャーを受けながら汗を流し、そこで彼のSASUKE愛まで存分に語ってもらった。

―樽美酒さんは元々、SASUKEのファンだったんですよね?

樽美酒 はい。俺、昔からスポーツ大好きで、運動神経にも自信があったので、出場が決まった時には大喜びして。「俺のすべてを見せてやろう」くらいの気持ちで、もう自信満々で初挑戦したんです(2012年第28回大会)。で、結果は1stステージ序盤の「ローリングエスカルゴ」であえなく失敗。水に落ちた瞬間にSASUKEのすべてを感じました。

―すべて…ですか?

樽美酒 俺はとんでもなく甘い考えで挑んでいたんだなと。で、その時に「もうSASUKEに出るのやめよう、恥をかきたくない」って思って、しばらく離れていたんですけど、その後(NHK)紅白歌合戦の仕事で体を鍛える機会があって。せっかくだからもう一度挑戦してみようと、2014年からまた出るようになりました。

―2015年、自身3度目の挑戦で初めて1stステージをクリアしました!

樽美酒 嬉しかったですね。その前年の2回目の時は、最後の「ランバージャッククライム」の時点で体力が残っていなかったんですよ。で、「なんでかなー」って反省して、呼吸法を変えたんです。競技の最中にも必ず深呼吸を入れるようにしたら乳酸が溜まりにくくなって。

―練習し、反省し、考えて掴んだ1stステージクリア。しかし次の大会では序盤の「タイファイター」でまさかの落下。

樽美酒 あれは原因がはっきりしていて、夜露で足が滑ったんですね。あの時のことはすごくよく覚えています。ブログのコメントやらお手紙やら、道端のおじいちゃんやらにさんざん「しょぼ」とか「もっと頑張れ」とか言われましたからね。

正直、最初は夜露に対してすごく腹を立てていたんです。あれさえなければ…って。でもその大会、長野誠さん(SASUKE界の伝説。過去に完全制覇を成し遂げた“最強の漁師”)が引退した大会で、長野さんの言葉を聞いているうちに自分がいかに小っちぇえかってことに気がついて。「夜露のせいにしている段階で俺ってダメだな」と。そこからですね、トレーニングの量が激しく増えたのは。

―その成果もあってか、その次の大会ではすごいスピードで1stステージラストの「ランバージャッククライム」にたどり着きました。

樽美酒 で、右手で手すりをつかみ損ねて最後の最後に落下するんですね。あれも強烈に覚えています。あそこまで怖いくらい順調で「あれ、SASUKEってこんなに簡単だっけ?」て思いながら競技してましたから。最後の登りの時に、どうやってガッツポーズしようかニヤニヤしてた。もう最悪の油断ですよ。それで理解しましたね。

―また水の中で?

樽美酒 これはSASUKEの神様が怒ったんだと。「こいつはクリアさせちゃいけない」って。

―その時、付けていたゼッケン82は今でもこの倉庫の壁に「戒め」として貼ってあるとか。…では最後に今大会の意気込みを教えてください!

樽美酒 今回は、今まで到達できていない3rdステージのスタートに立つ自分の姿を想像できるくらいのトレーニングはしてきたので、後はやるだけです。

―あの、それで…今日ご覧になって、率直に僕はどこまで行けそうだと思われますか?

樽美酒 正直、今回は厳しいですね(キッパリ)。まだ圧倒的に基礎筋力が足りてない。ちょっと失礼…(週プレ編集・Iの胴体を触りながら)今、体重何キロですか? 75s? この筋肉量なら最低でも60s台にはしないと難しいと思います。でも、1年後にはわからない。チャンスはあります。逆にいえば、それくらいのスパン、気持ちで挑まないと1stステージすらクリアできない、それがSASUKEなんですよ!

―そ、そうですか…。では、樽美酒さんにとってSASUKEとは?

樽美酒 “おじさんの祭典”だと思っています。俺は今年38歳ですけど、「おじさんでもこれだけ成長できるんだ」っていうのを見せられる場なんですよね。俺、以前は「どうやって楽して生きていこう」って考え方だったんです。でもそれを変えられた。SASUKEが変えてくれた。楽してたらその分しか得られない、ちゃんと頑張ることで結果って絶対についてくるんだってSASUKEに教わりました。

だから今、毎日が楽しくて仕方ないですよ。俺はゴールデンボンバーのこともすごく大事にしているんですけど、仕事をしていると腹立つこともたくさん出てくる。でも「俺が悪いな」「俺が頑張ればいいじゃん」って思えるようになった。

俺、バカなんですよね。昔から勉強嫌いで、逃げてて。でもそういうのって、ゴールデンボンバーでもやらなきゃいけない場面が絶対出てくるんです。今は「やりゃいいじゃん、俺ならできる」って、逃げないようになりました。だから、俺は本当にSASUKEに感謝しているんです。人生のすべてにいきていますよ。







【2月某日 金スマ・ロペスの富士遠征に同行】

樽美酒から熱いSASUKEスピリットを注入された本誌編集者・Iは、いよいよトレーニングの仕上げに。

人気番組『金スマ』で芸人・キンタロー。と社交ダンスのペアを組み、世界大会7位に食い込んだロペスこと岸英明がSASUKEの武者修行を行なうという情報をキャッチ。取材の名目で同行させてもらえることになった。

到着したのは静岡県富士市郊外、“怪力商社マン”の通り名でおなじみ“SASUKE新世代”のひとり、岸本真弥(過去には3rdステージにも進出。今大会は仕事のため不出場)のお宅だった。着いてびっくり、庭に立派な「SASUKEセット」が…。

なんといっても目を引くのは疑似「そり立つ壁」。第5回大会からある、まさに代名詞といえるエリアである。岸本のレクチャーを受け、早速、チャレンジするロペス。

しかし、何度やっても登れない…。

「これ、実物より5p高く設計されていて、助走距離も短いので難しいですよ。だからこそ練習になるわけです。今日はこれを成功させるまで帰しませんから覚悟してください」

岸本の発言に悲鳴を上げるロペス。そして疑似「そり立つ壁」に跳ね返され続けること1時間。的確なアドバイスのおかげでロペスが、そして自分もなんとかクリアすることができた。大粒の汗をぬぐいながらロペスがぽつりとつぶやく。

「せっかくできるようになったんだから、ここ(そり立つ壁)まで行きたいな…」

そう。そり立つ壁の登場はおそらく1stステージ終盤。その前で失敗してしまったら、この日の練習の成果は水泡に帰す…。

その後も岸本の指導を仰ぎながら様々なトレーニングをこなし、“兄弟子”ロペスと本戦当日の再会を約束して帰途に着いた。

https://youtu.be/KJt66mM5gYo

岸本の的確なアドバイスでなんとか「そり立つ壁」を登れるようになったが、収録本番ではいかに!?(本サイト内映像は本誌編集者・I)

【2月17日(土)本戦当日】

―ロペスさん! 先日はありがとうございました。いよいよですね。

ロペス 僕、ゼッケン17番でかなり出番早いんですよ。もうちょっといろいろな人の様子を見たかったんですけど…。(Iさんは)何番ですか?

―自分は49番です。ロペスさんの時には並走して応援しますよ。

ロペス よろしくお願いします。それよりあの新エリア、ヤバくないですか?

…そう、前大会まであった「ダブルペンダラム」が一新され、今大会では新たに「ドラゴングライダー」というエリアが追加された。トランポリンを使って頭上のバーに飛び移り、そのままレールをジェットコースターのようにグライド、そして途中の切れ目で次のバーに飛び移るという、もう見ただけでなんとなくヤバそうである。

ロペス あれ、人間にクリアできるんですかね…ああ緊張してきた…。

―でもロペスさんは、番組で社交ダンスの世界大会にも出られているじゃないですか。普段からタレントとして注目を浴びる機会も多いでしょうし…。

ロペス いや、世界大会の時と同じくらいの重圧がありますよ、この会場の空気には…。それにダンスは失敗してもそこで終わりじゃないし、取り返すチャンスもある。でもSASUKEはミスしたら一巻の終わり。これは大きな違いですよ。

***

金爆・樽美酒、金スマ・ロペス、そして本誌編集者…。それぞれの挑戦の先にどんな景色が待っているのか? その結末は3月26日(月)19時放送開始の『SASUKE NINJA WARRIOR』第35回大会で見届けてほしい!

●発売中の『週刊プレイボーイ』14号では、有力選手紹介を含む「SASUKE大特集」を掲載。そちらもご覧ください!

(撮影/本田雄士 動画撮影/石川直美 構成・文/週刊プレイボーイグラビア編集・石橋太朗 取材協力/大野智己 協力/TBS、ユークリッド・マネージメント、カフナロック)

■樽美酒研二 だるびっしゅ・けんじ







人気ヴィジュアル系エアーバンド・ゴールデンボンバーのエアードラムを務める。SASUKEには今回で7度目の挑戦。2ndステージ進出は2回。SASUKEを愛するあまり自費でSASUKEセットを作り、多い時は週5日トレーニングに励んでいる 公式ブログ【https://ameblo.jp/doramu-kenji/】

■岸英明 きし・ひであき







人気番組『金スマ』の社交ダンス部でキンタロー。とペアを組み世界選手権に出場。7位入賞という成績を残す。お笑いコンビ「ぱいんはうす」のメンバーだが、『金スマ』MC中居正広に「ベイスターズの助っ人外国人ロペスに似ている!」といわれ「ロペス」というニックネームが定着 公式Twitter【@hideaki_kishi】

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