岡田監督? 西野監督? 宮澤ミシェルが考える「もし万が一、日本代表が窮地に追い込まれて監督交代になった際の適任者」とは?

日本代表の監督について語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第219回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、日本代表の監督について。W杯アジア最終予選の初戦を落としてしまった日本代表。もし、このまま悪い長れが続き、W杯への出場が危ぶまれ始めた場合、誰が監督を務めるのが適任なのか? 宮澤ミシェルが考える。

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W杯アジア最終予選は、10月7日(木)にアウェーでサウジアラビア戦、10月12日(火)にホームでオーストラリア戦が行われる。ここが日本代表にとってはW杯カタール大会出場をかけた山場と言っていいね。

オーストラリアとサウジアラビアは、初戦と2戦目を連勝してグループ首位に立っている。日本代表はグループ最大のライバルとの直接対決に勝利して、現在のグループ4位から浮上したい。

初戦のオマーン戦ですでに1敗を喫している日本代表が、2連勝するのがベストな結果。でも、逆に2連敗でもしようものならギリギリで踏ん張る状態に追い込まれてしまう。

もちろん、そんな状況にはならないと思っているよ。でも、絶対がないのが勝負の世界。万が一にも10月シリーズで2連敗した場合は、監督交代という劇薬で日本代表を立て直すしかないだろうね。

森保(一)監督は、現役時代に一緒にサッカーをした仲間だし、本音ではそういう事態を考えたくないんだけれど、あらゆる状況を想定しておくことも大事だからね。

3敗したら出場権を獲得するのはキツい。でも、W杯アジア最終予選の残り6試合に全勝できれば逆転での出場権獲得の可能性は残るんだよな。

問題は短期間で日本代表を立て直して、6戦全勝に導ける監督がいるのかってこと。

コロナ禍のなかで新たに外国人監督を招聘するのは難しいからね。仮に招聘できたとしても日本代表を取り巻くダブルスタンダードなどの環境面の問題や、海外組・国内組の選手たちのことを理解する時間はないから、現実的ではないよな。

国内から探すとなると、真っ先に浮かぶのは岡ちゃん(岡田武史)。過去2度の日本代表監督のときも不測の事態から代表チームを引き継いで、結果を残している手腕があるからね。

でも、岡ちゃんは日本代表やJリーグの監督をするために必要なS級ライセンスを返上しているんだよな。非常事態で誰もやれる人がいないとなれば、S級ライセンスを持つ人を監督に立てて実際は岡ちゃんが指導するっていう裏技がないわけではないけど、たぶんないだろうなぁ。

じゃあ、西野(朗)さん? 前回W杯ロシア大会で日本代表監督をやったし、五輪代表の監督経験もあるから、国際大会の厳しさはよく理解されている。それに、ロシア大会では短い期間の中で、チームをまとめ上げて決勝トーナメント進出という結果も残した。だけど、2か月という短い期間とはいえ、準備期間があった前回と比べて、今回はいきなり負けられない戦いが控えている。西野さんは、ちゃんとチームを作り上げるタイプの監督だから、そんな中でも結果を出せるかは未知数だよ。

森保監督が招集した選手たちを理解している点で言えば、技術委員長の反町康治だよな。北京五輪で監督をやった国際大会の経験もある。ただ、湘南や松本を率いたときのサッカーはカウンタースタイルだったから、6連勝が求められるなかでは負けないサッカーをやる指導者は不向きな気がするね。

五輪の監督経験で言えば、(山本)昌邦さんがアテネ五輪、関塚(隆)さんがロンドン五輪、手倉森(誠・現ベガルタ仙台監督)がリオデジャネイロ五輪をやった。6連勝が必要な状況を任せるには、帯に短し襷に長しな印象だよな。

それならJリーグを長く指導している外国籍監督に頼んだほうが、なんとかしてくれそうな気がするよな。

柏のネルシーニョ監督や、札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督なら、日本を含めたアジアのサッカー事情もわかっているし、日本選手のことも理解しているだろうからね。ただ、いま日本代表の主軸になっている選手たちは、Jリーグ時代に両監督のもとでプレーした選手はほとんどいないんだよな。外国籍監督の場合言葉の壁があるだけに、そこが難しいよな。

それよりは川崎の鬼木監督に任せた方がおもしろい気がするよ。風間(八宏)さんという手もあるけれど、風間さんのサッカーこそ浸透するのに時間がかかるし、理想を追い求める監督だからリーグ戦向きであって、一戦必勝ではないんだよな。

鬼木監督の方が理想を追いつつも現実も見て勝負にこだわる面がある。でも、川崎のスタイルはやっぱり時間がかかるよな。あの川崎のスタイルのサッカーが日本代表でも実現できれば、期待感は跳ね上がるんだけど。

そう考えると、窮地に陥ったとしても、そこから這い上がらせることができるのは森保監督自身しかいないね。選手の特性をよく理解しているし、丁寧なチームづくりが今の日本代表のベースになっているのは間違いないから。

ただ、ひとつ注文をつけるなら、少し大胆な選手起用をしてほしいよな。そこさえできれば、日本代表は必ず森保監督のもとで這い上がっていけるし、それをできるだけの実力がある選手たちが揃っているからね。

まあ、それ以前に10月シリーズで2連勝して、代表監督交代論を封じ込めてくれると信じているけどさ。みなさんも日本代表をしっかり応援してくださいね!

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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