松尾「辞めるに辞めれない芸人がいるんじゃないかと」スギちゃん「みんなどうしてるんだろう」 元ザブングル・松尾陽介の 『男40代、このままでいいのか対談』#3 ゲスト/スギちゃん

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加藤歩とのコンビ「ザブングル」で芸人として活動し、2021年に引退した松尾陽介の対談シリーズがスタート。対談のテーマは「40代からのセカンドキャリア」について。40代ならではの仕事や家庭、健康の悩みから、今後の人生の歩み方を考える。1人目のゲストは、ピン芸人のスギちゃん。「ワイルドキャラ」でブレイクしたスギちゃんは、生き方もワイルドなのか? 松尾陽介45歳とスギちゃん48歳、ゴリゴリの中年同士の対談はどうなる? (全3回の3回目/1回目、2回目を見る)

■40代の考える「転機」と、これからの生き方

スギちゃん 今悩んでることはないな。若い頃は先輩と飲んだら悩んでるふりをして、悩み相談してたぐらい。

松尾 僕もそもそも悩むタイプじゃないです。

スギちゃん 同い年ぐらいの40代の年齢の芸人でまだ芽が出てない人たちって、どういう思いで今やってるのかな、悩んでるのかな? まだチャンスあると思ってるのか、惰性でお給料も貰えるし、いいかと思ってるのか。その状態で楽しけりゃいいけど、楽しくないのにやってるのか。

松尾 そこなんですよ。

スギちゃん ぶっちゃけた話、俺が今48歳で世に出てなくて、「これからテレビで頑張るぞ」とは、俺はよう思わん。今から世に出るってまず難しくない? 

松尾 僕も一緒です。40代であんまり芽が出てない人たちが楽屋に増えだしたじゃないですか。昔、40代で売れてない人なんか楽屋にいる訳なかったのに。

スギちゃん いたらみんなでコソコソ言うくらい。

松尾 30代でもおじさんと思ってたじゃないですか。これって、例えば「バイきんぐ」のブレイクが30代後半だったり、いま「錦鯉」さんが50歳でブレイクしてるのとか見ると、辞め時分かんなくなってるんじゃないかと思うんですよ。

スギちゃん 自分たちもまだいけるんじゃないかとかね。

松尾 それはそれで美しいと思うんですが、全員ブレイク出来るわけはない。それでちょっと怖くなってきちゃったんです。自分のことじゃないのに。

スギちゃん そうだね。

松尾 例えばこの人たち明日辞めたらどうするのかなとか。

スギちゃん やれることはないわな。

松尾 もっと言うと、だから辞めないのかなとか。でも楽しいと思ってたら全然いいんです。40代でも「外で寝て、家も4畳半1間でもいい」みたいなのだったら、何も言わないですけど。言うに言えない、辞めるに辞めれないみたいな人がいる可能性が、昔よりあると思うんですよね。

スギちゃん 確かにな。どうしてるんだろうね。

松尾 僕自身は芸人を続けていた理由として「相方の面白さを何とか伝えたい」だけでずっとやってたんで。意外と芸人さんって、このタイプいないんですけど。

スギちゃん 加藤がすごすぎるから。だけど松尾は面白い人間やし、やれるやつだしさ。これから松尾は絶対成功する。俺は大好きな人間やしさ。だから、今までは加藤を補佐してきた人生も......。

松尾 本当にそれを嫌じゃなくやってたんです。それが僕の役割だと思ってやってて。

スギちゃん それが今までの人生。そして、セカンドライフが始まったから。自分のために。そして、誰かを助けるために。

松尾 ......何か、そろそろ良いこと言って終わらせようとしてません? 家帰ってお風呂入りたいなと思ってません?(笑)

スギちゃん 松尾のセカンドライフが始まったと思うと、俺は楽しみだ。俺のセカンドライフはピン芸人になったことだったから。

松尾 そうですね。みんな40代くらいが「体は元気だし、今までの経験を冷静に振り返れるし、今後の40年どうしようかな?」ってなるのかなって思って。皆さんの、その転機を聞いてみたいなっていうのがこの企画の一番の目的ですね。

スギちゃん なるほどね。

松尾 今ずっと話を聞いてて思ったのは、杉山さんはピン芸人になるっていうところが一番の転機。あと家族とね。

スギちゃん そう。でも正直な話、俺は今後どうなるかって想像つかないし、イメージも沸いてない。

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松尾 でも、腹はくくれてますよね。

スギちゃん くくれてる。でも、何かあったらあたふたするとは思う(笑)

松尾 そのあたふたが面白く映ればいいと思ってるでしょう。それは腹くくれてるっていうことですよ。

スギちゃん テレビというものにずっと出させてもらえればいいけど、そうじゃなくなった時には......。でもネットとかそういうのがあるなら、俺は全然怖くはないという感じよね。

松尾 何とでもなると思えたら強いですよ。

スギちゃん そうなんだよな。YouTubeとかに行きながら。

松尾 「YouTube始める芸人って何なん?」って、5年ぐらい前はみんな言ってたけど、今、みんな始めるじゃないですか。僕も全然いいと思うし。

スギちゃん 今後絶対必要だよ。だけど、それをうまくちゃんとやれる人は本当にマメ。俺だってYouTubeやりたいけどちゃんとできなくて。

松尾 芸人さんでも何人かやられてるけど、すごいですよね。

スギちゃん 本当に切羽詰まった時に動き出すのかなって、自分が思うわけ。今ってまだテレビでやりたい思いが強いから。本当に干されて何の仕事もないってなったら、自分のチャンネルで頑張るしかないわけじゃん。

松尾 杉山さんは本当に芸人というかタレントというか、テレビの人だと思う。

スギちゃん 頑張りたいんだけど、世の中は変わっていくから。

松尾 ずっと忘れられたくないですよね?

スギちゃん いや、別に忘れられてもいいのよ、俺は。忘れられて「チクショウ」とは思わない。何でかといったら、過去の映像を見ればいいから。それで俺は満足。飛び跳ねてる自分を見れる。

松尾 全力で毎回やってるからっていうことですよね。

スギちゃん よくいるじゃん。「俺のこと知ってる?」「知らない」って言ったらぶん殴るみたいな。

松尾 よくはいないですけど(笑)。

スギちゃん 俺、そういうのにはならない。不思議と自分の中で、死ぬまでやっていけるんじゃねえかなっていう、変な何かがあるのよ。

松尾 その道筋ができた人はうらやましいです。

スギちゃん なんか不思議だよね。

松尾 人生ってそういうことだと思うんですよ。20代の時に思ってた道筋も、もちろんあるじゃないですか。いつかそれが変わってもおかしくないじゃないですか。

スギちゃん 変わっていいし、変えていかないと駄目だし、いろんなものが変わっていくんだから、自分にビシッと来るものがあればそれでいいわけだから。

松尾 なるほど。

スギちゃん 意固地になっても意味ない。

松尾 そうですね。僕がもし芸人を続けてた場合、それは意固地になってた可能性があるんですよね。

スギちゃん 変わっていかないといけないんだよ。でも俺の前の相方が、俺に「解散してくれ」って言われた時に「ふざけんな」と思ったのは分かる。でも、俺は本当に最後の勝負をしたかったからお願いした。本当にコンビってそこが難しいよね。1人だけ辞めたいと言ったって成立しない。

松尾 確かに。

スギちゃん 年食ったら余計に。


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松尾 そうなんですよね。だから、例えば今も続けてる人たち、さっきも言ったとおり楽しく続けてたらいいんですけど、どっちか1人だけ楽しんでるという可能性もあるじゃないですか。僕の場合は、加藤君は一人で十分やっていけるなと思ったのがきっかけではあります。「ピン芸人加藤」面白いじゃん、と。名古屋から東京に出てきて、「この人を世に伝えたい」は、もう作業が終わったんじゃないかなと思ったんです。

スギちゃん 世間に加藤を面白いと思わせたのは、松尾ですよ。

松尾 ちょっと待って下さい。こういう「芸人の熱い話」みたいの、やめません? なんか苦手なんですよ。

スギちゃん じゃあ俺の話聞いてくれる? 俺が売れた時の。

松尾 いやちょっともう、終わろう終わろう!

★この対談の様子は、前編を週刊プレイボーイの公式YouTubeチャンネル、後編をOMATSURIチャンネルで配信中!


■松尾陽介(まつお・ようすけ)
1977年1月28日生まれ。1999年に加藤歩と「ザブングル」を結成。『アメトーーク!』の「運動神経悪い芸人」では「ガチ王」「水神さま」の異名を持つ。2021年に芸人を引退。現在は(株)OMATSURIの代表取締役社長

■スギちゃん
1973年8月24日生まれ。1995年に芸人としてデビュー。その後、「メカドック」というコンビを経て、2008年よりピン芸人として活動。2010年に「ワイルドだろ〜」のフレーズで「だれもが認める大ブレイク」を果たす

撮影/関根弘康

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