間宮祥太朗(俳優)×角田陽一郎「せっかく1900円というお金を払って見るのなら、向き合う覚悟を持ってもらえるとうれしいです」

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『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies〜その映画が人生を動かす〜』。

公開中の映画『破戒』で主演を務める俳優の間宮祥太朗さんが影響を受けた作品について熱く語ります!

■『手紙』の玉山鉄二の演技に感銘を受ける

――子供の頃に見て印象に残っている作品は?

間宮 小さいときに両親と映画館に見に行って、今でも覚えているのが『バーティカル・リミット』(2000年)。真っ白な雪に血がバーって広がるシーンは今でも覚えています。

――それだけ衝撃的だったんですね。では、今のお仕事につながるような作品は? 俳優になってもいいなあと思った作品とか。

間宮 俳優になってもいいなあとまで思ったわけではないですけど、日本の作品で印象的だったのは東野圭吾さん原作の『手紙』(2006年)。玉山鉄二さんを見て、「演技ってすごいんだな」って思って、この作品がきっかけでいろいろ見るようになりました。

――この連載でゲストの方にいつも聞いている質問なんですが、そういう映画に触れたときに「作りたい」と思うのか、「出てみたい」と思うのか。間宮さんは「出てみたい」になった?

間宮 なりませんでした。

――ならなかったんですね! 純粋に興味を持っただけ?

間宮 『手紙』を見る前はまだ、お芝居の微妙な違いってあんまりわからなかったんです。海外の作品だといまだにそうですけど、(名優といわれる)ジャック・ニコルソンを見ても、どれくらい演技がうまいのかわからないじゃないですか。

――言語も違いますもんね。

間宮 だから、ストーリーが面白いとか、好き嫌いとかはあったけど、俳優個人に対してすごさを感じたことはなかったんです。でも、中1の頃に『手紙』の玉山さんを見て。

――すてきな話です。邦画はけっこう見ていたんですね?

間宮 そうですね。浅野(忠信)さんが若い頃の作品、例えば『アカルイミライ』(2003年)とか、あとは李相日(リ・サンイル)監督の『スクラップ・ヘブン 』(2005年)とか。

――では、洋画は?

間宮 洋画だと、レオス・カラックスの作品が好きですね。

――『ホーリー・モーターズ』(2013年)とかの監督ですね。どういうところがお好きですか?

間宮 作品性ですね。「こういうふうに見てほしい」とか「こういうことを伝えたい」みたいなところを超越してて、彼は作りたいものを作ってるじゃないですか。

例えば、シェフが料理を出すときに「これはどこ産の食材で、こういう良さがあるから、こう味わってほしい」と説明してくれることもありますけど、映画とかドラマにもそういうことってよくありますよね。

でも、彼の作品にはそれがまったくない。何かもわからないものをバーンと出されて、何も説明されない。でも、そのほうが自由だし、観客も楽しいと僕は思うんですよね。

――では、最近見て面白かった作品は?

間宮 『ソウルフル・ワールド』(2020年)ですね。自分は子供の頃、ピクサー(・アニメーション・スタジオ)映画はまったく通ってきていないんです。『トイ・ストーリー』(1996年)だけは小さい頃に見たことが1回あったかなってぐらいで。

でも、ピクサー作品に対してすごく思い入れの強い人って多いじゃないですか。ということは、それだけ人を惹(ひ)きつける理由が何かあるんだろうな、一度きちんと見たほうがいいのかなって興味を持って。『トイ・ストーリー』シリーズを3まで一気に見たり、ディズニーの古いアニメを見たりしたんです。

その流れで『ソウルフル・ワールド』も見たんですけど、このアニメがものすごく面白くて。この作品に関してはもう完全に子供を視野に入れていない感じがしたんですよね。子供向けだと思っていたからこそ、「そうなんだ......」って驚いたし、めちゃくちゃ面白かったんです。

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■主演作『破戒』は覚悟を持って見てほしい

――7月8日公開予定の映画『破戒』では主演を務める間宮さん。この作品はいかがでしたか? 前田和男監督とは初めてのタッグですよね。

間宮 前田監督は、的確かつ、わかりやすい演出なので言葉数自体はすごく少なかったですね。伝えるときは的確に全部教えてくれるけど、でもそういうタイミング以外ではほとんど何も言わない。こっちからすると「本当に?」って拍子抜けしてしまうというか、「本当に今ので良かったのかな?」って不安になることもありましたね。

――この作品の主人公は難しい役どころですもんね。

間宮 でも、ほかの作品と比べても、すごく丁寧に演じられたかなって思います。

――すごく静かな作品なのに、いろんな怒りや悲しみがにじみ出ていて。ちなみに、過去の市川崑監督のバージョン(1962年)などもご覧になりました?

間宮 一応、見ましたけど、この作品の撮影中には見てないんです。

――本作は8月の撮影だったそうですが、どんな思い出がありますか?

間宮 夏の京都ってめちゃくちゃ暑いんだろうなって思っていたんですけど、撮影した時期はけっこう雨が降っていて、おかげで暑くはなかったんです。でも、雨で撮影が飛ぶことはありました。朝に「今日撮影なくなりました」と言われたりして。

――そうなると、集中力を維持するのも大変そうですね。

間宮 いや、でも、休みになるのはうれしいものですよ(笑)。こういうときは「大変ですよ」って言ったほうがカッコいいのかもしれないけど、この作品に限らず、雨が降って撮休になるのはそのときはうれしいんです。あとあと大変になるのはわかっていますけど(笑)。

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――最後に、この作品をどんな思いで見てほしいですか?

間宮 昨日もツイッターで、映画館でスマホを触る人の話が話題になっていて。「2時間携帯を見ないのはつらい」とか「画面を暗くしてるから上映中に携帯を触っても迷惑はかけていない」って。

でも自分は、映画館で映画を見るって、家でテレビ番組がついているのとはやっぱり違うと思うんですよ。もちろん、結果的に心に響く、響かないは人それぞれです。僕も今までいろんな映画を見てきて、「マジでわかんないな」とか「すごい評価高いけど、俺にはつまらないとしか思えなかったな」って作品もありますから。

でも、最初から流し見のスタンスとかで向き合うのってどうなのかなって。せっかく1900円というお金を払って見るのなら、向き合う覚悟を持ってもらえるとうれしいです。

●間宮祥太朗(まみや・しょうたろう)
1993年生まれ、神奈川県出身。2008年、ドラマ『スクラップ・ティーチャー〜教師再生』で俳優デビュー。2016年、ドラマ『ニーチェ先生』で初主演。主な出演作は映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』『殺さない彼と死なない彼女』『Red』『東京リベンジャーズ』、ドラマ『半分、青い。』『ファイトソング』『ナンバMG5』など多数

■映画『破戒』丸の内TOEIほか全国ロードショー公開中
配給/東映ビデオ
?全国平社創100周年記念映画製作委員会
衣装協力/O.K. Christian Louboutin COGNOMEN

構成/テクモトテク 撮影/苅部太郎 ヘア&メイク/三宅 茜 スタイリング/津野真吾(impiger)

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