朝ドラ『なつぞら』出演の福地桃子。家族の中でおとなしかった自分に「夕見子を見ていると、昔の自分に『もっと主張したほうがいいよ』って思います」

朝ドラ『なつぞら』出演の福地桃子。家族の中でおとなしかった自分に「夕見子を見ていると、昔の自分に『もっと主張したほうがいいよ』って思います」

朝ドラ『なつぞら』で柴田夕見子を演じる福地桃子

連日、高視聴率をキープしているNHK連続テレビ小説『なつぞら』。終戦後、戦災孤児として北海道・十勝の柴田家に引き取られた奥原なつ(広瀬すず)が、家族の絆を深めながらアニメーターを目指す成長の物語だ。

草刈正雄や松嶋菜々子、藤木直人など数々の名優が登場するなか、子供時代からの自然な成長ぶりで話題になっているのが、第3週から登場した福地桃子(ふくち・ももこ)。2016年に女優デビューし、現在21歳。連続ドラマや映画で活躍する若手女優だ。

彼女が演じるのは、なつが暮らす柴田家の長女・夕見子(ゆみこ)。なつに対して複雑な思いを抱え壁を作っていたが、本当の姉妹のように仲良くなっていく役どころ。

三度目の正直で、朝ドラ出演を射止めたという福地に、現在の思いを聞いた。

――子役の荒川梨杏さんから引き継ぎ、ついに登場されました。出演が決まったときの心境を教えてください。

福地 朝ドラのオーディションは今回を含めて3回受けていました。1回目はまだ経験もなく、正直「受かるはずがない」と思って、臨んでいました。ただ、実際にオーディションが進んでいくと、そこで感じられる緊張感がとても刺激的に思えたんです。その経験があったからこそ、落ちたことがすごく悔しくて。ここまで自分が燃えた経験が今まであんまりなくて、そう思えたことがうれしくて、その時に初めて朝ドラ出演が目標になったんです。

――では、2度目に落選したときの悔しさは相当だったんじゃないですか?

福地 そうですね。ただ、それが次につながる活力になっていたんだと思います。『なつぞら』のオーディションでは、お芝居の面だけではなく、背伸びをせずに自分らしくいられたので楽しめました。この空間にもっと居たいなって思ったんです。母が作品の舞台と同じ北海道出身だったこともあり、作品に関わりたい気持ちも強くて。受かって本当にうれしかったです。

――作品と縁があったんでしょうね。

福地 かもしれないです。最初は大きな出来事すぎて実感がなく、記者会見の15分くらい前に他のキャストの方々に、初めてお会いして、ようやく実感が湧いてきたのを覚えています。

――朝ドラというと、撮影の緊張感もすごいですか?

福地 リハーサルはあるんですけど、皆さんそこでガチガチに決めず、セットに行って雰囲気を見て演じられているんです。なので本番は、また新しいことを感じるし、本番で出し切らなきゃいけない。しかも一発で撮り終わることも多いんです。家族のシーンは特に、その時に生まれる空気感をすごく感じるので独特だなって思っていますね。

――新たな経験を通じて、成長している実感はありますか?

福地 確実に、そんな気がしてます。のびのびお芝居を楽しんでやられている方に囲まれていると、どんどん欲が出てきて、「私もあんなふうに楽しみたい」とうらやましくなったりします。もちろんキャリアを積んでいる大先輩の方ばかりだからできるのも分かってるんですけど、自分ができない悔しさもありますね。

――ご自身の役、夕見子についてはどう感じました?

福地 まずは何でもズバっと言って周囲を引っ掻き回すという役が初めてで、自分との共通点もなかったので葛藤がありました。自分とは性格が違う役をいただいた経験、"選ばれた意味"を大事にしながらやりたいと思ったのが第一印象です。

――大きなプレッシャーですね。

福地 そうですね。それに私がちょっと解釈を間違えてしまうと、夕見子というキャラクターの良いところが画面を通して伝わらないかなっていうのがすごく大きくて。

――改めて伺いますが、福地さんの感じる夕見子の良さとは?

福地 家族に対して興味のないように見えるけど、不器用なだけで実は家族をすごく大切に思っているところです。芯があるコじゃなくて、根っこの部分から熱い。芯が熱い一面に人として憧れる部分がたくさんあります。

夕見子はデリカシーのないようなことを言うようにも捉えられるけれど、意外と芯をついていて。しかも、相手に何かを伝えるというのは、実はすごくエネルギーが必要で、相手を大切に思っているからこそできることだと思うんです。本当は思いやりを持っている彼女の優しさに気づいたとき、夕見子の言動を理解できました。そんな夕見子がいるから、意外と柴田家がまとまっている瞬間があるのかなって。

――先ほど自分と夕見子は違うとおっしゃっていましたけど、ご自身は家族の中でどんな役割なんですか?

福地 5人兄弟の末っ子だからか、要領よく怒られないようにしようとかはあったと思います(笑)。夕見子みたいに、あんなに主張することはなかったです。学校ではおしゃべりするのも好きだったんですけど、うちでは5人もいて賑やかだったので家族の中ではおとなしい方。母親にはドライなコだと思われていたけど、心地悪くもなく、自分で自然に落ち着いちゃっていました。

思ってることを言わないって寂しいなって思った瞬間もあったけど、照れくさかったのかな。お仕事を始めてからはそんなことないんですけど、夕見子を見ているとこっちも気持ちがよくて、昔の自分には「もっと主張したほうがいいよ」って思います(笑)。

――ちなみに、広瀬すずさん演じるなつと夕見子はドラマの中で仲良くなりますが、広瀬さんとの撮影で印象に残っていることはありましたか?

福地 1日かけて、長丁場の撮影でテンションがおかしくなってふたりで顔を動かして、顔の体操みたいなことをしていたんですよ。それをお互い見合っていたら笑いが止まらなくなってました。変な顔にひたすら笑っていました(笑)。

――その変顔、見たいですね(笑)。最後に『なつぞら』の見どころをお願いします。

福地 なつの成長とともに広がる『なつぞら』のスケールの大きさを楽しんでもらいたいです。夕見子も相変わらずみんなが驚くような行動を今後もしていくと思うので、もし共感してもらえる方がいたら、「よく言った!」と思ってもらえるような代弁をする役割もできると思うので、夕見子の台詞を聞いてすっきりしてもらえたらうれしいです。

取材・文/鯨井隆正 撮影/山下隼

関連記事(外部サイト)