「お笑い第7世代」の異端児・EXITが語る"令和の芸人観"「いい人キャラでイジられたとき、俺らの芸人人生終わったって(笑)」

「お笑い第7世代」の異端児・EXITが語る"令和の芸人観"「いい人キャラでイジられたとき、俺らの芸人人生終わったって(笑)」

チャラ漫才で最速ブレイクしたEXITの兼近大樹(右)とりんたろー。(左)

ただのチャラ男なのか? 実はいい人なのか? ただのおバカなのか? それとも天才なのか?

令和のお笑い業界を牽引していく「お笑い第7世代」のなかでも異色なコンビ・EXIT(いぐじぃっと)の兼近大樹(かねちか・だいき)とりんたろー。が、"お笑い"についてけっこうマジメに語る!

* * *

■いい人キャラは実は最近やってない

――チャラ漫才を引っ提げ、結成約2年という超スピードで、瞬く間に各メディアから引っ張りだことなったEXIT。「バイブスいとあがりけりー」「間違いナイトプール」「的な的なテキーラ」などのチャラいフレーズがすごくキャッチーですよね。

兼近(以下、かねちぃ) やってることはただのおやじギャグなんですけどね(笑)。時代は繰り返すってことっすね。

――ところで、チャラ男を押し出していた割に、"実はいい人""実はまじめ"という一面を出したのがかなり早い時期だった印象です。

りんたろー。 最初は『ゴッドタン』(テレビ東京系)に初出演したとき(2018年7月放送)ですね。MCの3人(おぎはやぎ、劇団ひとり)にイジられちゃって。

かねちぃ チャラ男キャラがまだ世間的に全然知られてない時期だったから、世の中のだいたいの人にとっては、むしろスタートから"実はいい人キャラ"になっちゃってるんですよね(笑)。

――チャラ男とのギャップを出すっていう計算?

りんたろー。 いやいやいや! 計算なんてまったくしてなかったんですよ。あのくだりは台本にも一切なかったし。むしろ、これは絶対早すぎてヤバいだろっていうか。

かねちぃ 消費されるのが早くなるだけだって。これからチャラ男キャラで闘ってこうってときに、いい人って言われちゃって(笑)。

りんたろー。 もう「終了のお知らせ」って感じでしたよ(笑)。その収録の最中は、俺らの芸人人生終わったわって思ってました。

かねちぃ でも、その本気でヤバいって思ってたガチ感がよかったんじゃないかなと。それで、最初にいい人イジられでバーッと出ちゃって、順番逆で、途中からあらためてチャラ男でちゃんと闘い始めました(笑)。まぁ、俺たちのいい人キャラ、もう世の中も飽きちゃってるでしょ(笑)。

りんたろー。 最近はもういい人でイジられない(笑)。

――EXITの漫才は、一応、ポジション的にはりんたろー。さんがツッコミですが、あんまりバシバシとツッコミは入れてないイメージですよね。

かねちぃ そもそも俺らの漫才って、ボケとツッコミじゃないんですよ。

りんたろー。 俺がバシッとツッコミ入れようとすると、かねちぃがそれはやめてくれって言ってきます(笑)。

かねちぃ ボケとツッコミっていうお決まりは、もういいと。俺は漫才も楽しくやろうよってスタンスなんですよ。

――型にはまらないんですね。

かねちぃ みんな「お笑い」に縛られすぎてるんですよね。要するにボケの人って「ボケキャラ」で、ツッコミの人って「ツッコミキャラ」じゃないですか。そうやって考えるとお笑い業界にボケキャラ、ツッコミキャラがあふれてて、カブりすぎてるわけですよ。

だから俺らはカブらないチャラ男キャラで闘うほうがいけるっしょって。そういうシンプルな考えなんです。

――なんか......天才肌っぽい観点ですね!

かねちぃ 天才なんですかねー、ラッキーだなー(笑)。

■お笑い第7世代の新感覚芸人論

――最近は霜降り明星、ハナコ、宮下草薙(くさなぎ)、四千頭身らと一緒に、「お笑い第7世代」とくくられることも多いですが、率直なご感想は?

かねちぃ これもラッキーって思いますよ。気づいたらその枠に入れてもらえてて仕事来るし。ましてや、りんたろー。さんなんてホントは世代違うのに(笑)。「お笑い第7世代」のWikiには、明確な定義はないけど主に平成生まれが該当するみたいに書かれてるんですけど、りんたろー。さんは昭和だから(笑)。

りんたろー。 潜り込み世代なんで。うまく潜入したなと(笑)。でも、なんかやっと変わる感じは、俺らもしてますよ。それまで上(の世代の芸人)が本当に詰まってましたけど、こうやって若い世代の芸人がガッツリまとまって出てきたから、お笑い業界が変わっていきそうだなって。

――以前の芸人さんたちは、テレビ番組のひな壇に呼ばれて、大御所の方とかMCの方に"どうハマるか?"が売れるための大きな要素だったと思うんです。けれど「お笑い第7世代」の皆さんは、ひな壇でハマることにあまり固執してないように見えます。

りんたろー。 確かにそうですね。ここでウケてやろうとか、絶対に爪痕残さなきゃとか、そういうのはあんまりない。俺は昭和生まれだから(笑)、上の世代のガツガツしてる芸人も見てるので、客観的に宮下草薙とか四千頭身とかを見ると、めちゃくちゃ新感覚に見えますよ。

かねちぃ ひな壇ですべっちゃっても、「すべっちゃいましたー」って笑ってるような感じ。楽しんでるんですよ。絶対に芸人でメシ食ってく! っていう感じはない(笑)。

りんたろー。 ひな壇の話でいうと、逆に宮下草薙の草薙(航基)を、どううまく扱うかっていうので、MCとかほかの芸人さんの腕が試されちゃってる空気もありますよね。草薙を誰が一番うまく料理できるのか、みたいな。流れが変わってきてますよね。

――平成のお笑い界は、テレビのレギュラーをたくさん抱えて、ゴールデンで冠番組を持つというのが"成功"という価値観でしたが、おふたりにとってテレビ出演はどういう意義がありますか?

かねちぃ テレビに出られるのはうれしいし楽しいですけど、絶対的なものではなくなってますね。今は芸人の仕事の多様化がハンパなくて、例えばテレビに出てなくてもAbemaTVにめちゃくちゃ出てる芸人もいるし、YouTubeで成功してる芸人もいる。そういう場所が増えてるんで、テレビはそのなかのひとつでしかないんですよ。

だから、例えば「もう君たちはテレビで一切使わないよ」って言われても、俺らは「はーい、じゃあほかでがんばりまーす」って時代なんですよね。

■令和の今、芸人がテレビに出る価値

りんたろー。 でも、いろいろ経験して思うのは、テレビに出させてもらったことで、喜ばせられる世代がめちゃくちゃ広がったのも事実で。

かねちぃ あー、それは確かに。間違いない。

りんたろー。 YouTubeやってると、若い人は見てくれて知ってくれるし、カネも稼げる。でも、おじさん、おばさん、おじいちゃん、おばあちゃんは俺たちを知らない。子供たちにも多少しか知ってもらえない。俺らを見て子供からお年寄りまで喜んでもらえるようになったのが、テレビに出始めてからなんですよ。

やっぱりテレビは強いですよね。だからテレビにしがみつくつもりはないんですけど、でも"笑顔にできる人数"の多さでいったら、まだまだテレビだなって思います。

かねちぃ "笑顔にできる人数"(笑)。いや、確かにそうだけど......りんたろー。さん、また"いい人ズ・ハイ"に入ってるっしょ(笑)。

――"いい人ズ・ハイ"?

りんたろー。 ランナーズハイのいい人版みたいな感じです(苦笑)。最近、本当の自分がなんなのか、わからなくなってるんすよ。チャラいのにまじめってイジられてたときに、無意識にいい人に寄せてってるって言われて(笑)。

かねちぃ こないだも、僕らが立ってる劇場(東京・渋谷の「ヨシモト∞ホール」)の若手芸人に向けて、りんたろー。さんがツイッターでアンケート取ったんすよ。劇場を盛り上げるために、「会社が変わろうとしてるときに、劇場がこのままじゃまずい」とか熱いの書いて。

りんたろー。 「ヨシモト∞ホール」って、僕が前のコンビで出たての頃は連日連夜、パンパンにお客さんが入ってたんですよ。だから今の若手でもう一度盛り上げていきたいなって。......っていう気持ちをツイッターでつぶやいたんですけど、もともとこういう熱い人間だったのか、それとも"いい人ズ・ハイ"のパニックで起こしたアクションだったのか......(笑)。

――最後の質問ですが、今年中にやっておきたいことは?

かねちぃ 今年のラストは全員集合ライブ(12月29日にパシフィコ横浜で行なう単独ライブ)ですね。

りんたろー。 ありがたいことに今、僕らのライブのチケットが全然手に入らないらしくて、恐ろしい額で転売されてるんですけど、EXITの漫才をナマで見たい人全員が、正規の料金でちゃんと見られるようにしたい。だから、席がありすぎてチケットがもう余っちゃって、転売が通用しないぐらいのでっかい箱で単独ライブをやるんです。

かねちぃ 芸人の枠に収まってないキャパだから、俺ら見たい人はみんな集合で!

――時代が変わる予感です!

■EXIT 
約2年前に結成するやいなや、パリピ口調のチャラ男キャラを押し出した"ネオ渋谷系漫才"で超速ブレイク。デビュー以来、次々と単独ライブ完売の結成最速記録を樹立し、12月29日には神奈川・パシフィコ横浜での単独ライブが開催決定。12月25日に初の全国ツアーDVDも発売予定

●兼近大樹(かねちか・だいき) 
あだ名はかねちぃ。1991年生まれ。ぷりずん。というコンビ解散後に、ピンでチャラ漫談をしていたりんたろー。に、コンビ結成を持ちかける。ベビーシッターのアルバイト経験がある

●りんたろー。 
本名は中島臨太朗。1986年生まれ。ベイビーギャングというコンビを解散後、ピン芸人期間を経て、かねちぃとEXITを結成。老人ホームでの介護のアルバイト経験がある

取材・文/昌谷大介(A4studio) 撮影/関口友義

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