角田陽一郎×浅井隆(アップリンク代表)「若者には『映画館を捨てよ町へ出よう』って言いたい」

「アップリンク」代表、浅井隆氏(左)に角田陽一郎氏が聞く!

『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies〜その映画が人生を動かす〜』。

前回に引き続き、映画の企画・製作・配給に加えて、映画館を運営する「アップリンク」の代表、浅井隆さんが登場!

* * *

――アップリンクは昔から多くの海外作品を上映していますよね。

浅井 自分にとって海外はそんなに遠い存在じゃなかったからね。成田空港もなかった1970年代から「天井桟敷」(編集部注:浅井さんも所属した寺山修司主宰の劇団)で何度も行っていたから。そういう経験は今も鮮明に覚えていますね。当時見た映画の内容は忘れてるけど(笑)。

――自ら体験したことは忘れないと。

浅井 スクリーンの中の映画は忘れても、20歳前後の体験は忘れない。だから、寺山修司の「書を捨てよ町へ出よう」は1万パーセント正しいんです。若者には「映画館を捨てよ町へ出よう」って言いたいよね。

――それを浅井さんが言っちゃうんですか!?(笑)

浅井 例えば、最近は黒人差別問題が話題ですよね。今はコロナの影響で海外になかなか行けないけど、アメリカに留学すれば自分が差別の対象になるかもしれない。そうすれば映画から学ぶより多くのものを感じ取ることができるでしょ。安全地帯から映画のうんちくを語ってても仕方ないんですよ。

――6月11日には渋谷、吉祥寺に続き、アップリンク京都がオープン。今後の展望が知りたいです。

浅井 アップリンクとして、もっと大きな力を持ちたいんだよね。具体的に言うと、9大都市プラス都内何ヵ所かに映画館を造りたい。若い監督たちのホームグラウンドができれば、作品を安定して上映できて製作費も回収できるようになる。

映画の世界は今も、インディーズで成功し、メジャー作品の監督をしてシネコンで上映され......というのがサクセスストーリーだけど、そういう既存のシステムが崩れつつあるなかでコロナが追い打ちをかけた。別にシネコンを否定しているわけではなく、僕らみたいなミニシアターが共存できるようになればいいなって。

――さて、この連載は人生を動かした映画を紹介してもらう企画ですが、浅井さんは覚えていらっしゃらないと。

浅井 はい。だから、アップリンクを好きと言ってくれている角田さんが「アップリンクといえばこの作品」と思うものを選んでくださいよ。

――えっ!? 僕がですか!? 

浅井 そうです。それでいいと思う。会社を続けているとね、「アップリンクさんに向いてる作品だと思うんですけど、どうです?」って話が世界中から来るんです。僕は期待や要望にはできるだけ応えたい人間だから、そういう作品は自然と上映しちゃう。だから、アップリンクとはアップリンクファンの集合体なんですよ。

――なるほど!

浅井 昔は情報のヒエラルキーがあったから、ミニシアターは映画館や配給会社が売りたい作品を上映していたけど、今はカンヌの記者会見がネット中継され、英語力さえあればへたな映画評論家よりマニアのほうが詳しい時代になっている。そんな時代に上から目線で「紹介する」のはおこがましいし、失礼なんです。

――これからのアップリンクを示す言葉だなと思いました。ということで、今回は「角田が選ぶアップリンクで配給された映画ランキング」をご紹介します!

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●浅井隆(あさい・たかし)
1955年生まれ、大阪府出身。アップリンク代表、未来の映画館プロデューサー。1987年にアップリンクを設立。最新配給作品は『ホドロフスキーのサイコマジック』

■映画館「アップリンク京都」2020年6月11日よりオープン!
住所:京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町586−2 新風館 地下1階

構成/テクモトテク

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