世界が注目する“日本の異色バンド”! 幾何学模様が海外を舞台に選んで成功した理由

世界が注目する“日本の異色バンド”! 幾何学模様が海外を舞台に選んで成功した理由

海外で熱い注目を浴びる日本のバンド・幾何学模様

国内ではなく海外を主戦場として活躍し、注目されるバンド「幾何学模様」をご存知だろうか?

Go Kurosawa(Dr/Vo)、Tomo Katsurada(Gt/Vo)、Daoud Akira(Gt)、Ryu Kurosawa(Sitar)、Kotsu Guy(Ba)の5人からなる彼らは、2012年にGoとTomoを中心に結成。

60年代、70年代のハードロックのような骨太の音楽を軸にサイケなサウンド、ジャズ、フォーク…そして現代的な音楽の要素が縦横無尽に入り乱れるサウンドで日本よりも海外のファンを多く虜(とりこ)にしている。

そんな幾何学模様が11月に日本ツアーを開催することを発表。5月末から3ヵ月に及ぶアメリカ・ヨーロッパツアーでは、各地でソールドアウトを連発した彼らの最新ツアーとあって期待が高まっている。

そこで今回、Go KurosawaDaoud Akiraにインタビューを敢行。前編では彼らの「楽曲について」を中心に話を聞いたが、後編では「メッセージ性について」「海外で活動すること」などに迫った。

―まず前回の延長線上ですが、幾何学模様の曲にはメッセージ的な要素ってあるんですか?

Go 自分たちの思いを聴いてくれ!みたいな感情はありません。メッセージと言えるかわかりませんが、僕が大切にしているのは既存の方法や枠組みに一度疑問を投げかけるということ。海外で活動するなら英詩をつけなくてはいけない、ライブしたいならノルマを払わなくてはいけないなど当たり前とされていることがいろいろありますが、「別にそうじゃなくてもよくない?」というところから始まっています。

Daoud 僕は生き様すべてがメッセージというつもりでステージに立っています(笑)。

Go (笑)あと、「DIY」の精神を信じてます。DIYって日本語でいうと日曜大工みたいな印象になりますが、お金でサービスやモノを買う代わりに自分や周りの人が持っている力を集めて自分たちでできることは自分たちでやるということです。

バンドを継続するためには「いい曲を作って、いい演奏をする」っていうこと以外のこともいろいろ考えてやっていかなきゃならない。演奏や作曲以外の部分は人に頼んじゃえば楽かもしれないけど、そうすると例えばそんなに音楽を好きでもないような人達が、バンドのこともお客さんも二の次みたいな運営を行なったりする上に、こちらのコントロールがきかなくなってしまう。

Tomoと始めた「Guruguru Brain」というレーベルも自分たちでできることは自分たちで行なうことで、お金では買えない自由を保ちたかったという面があります。

ツアーを組む時もプロモーションから機材の手配まで考えなくてはいけないことがあって、そのひとつひとつに定石というか当たり前とされているやり方があるんですけど、本当にこの方法がベストなのかということは常に疑いながら、よりよい方法を模索しています。

Daoud インディー業界で普通とされているシステムに対して、別の方法を提示しているって意味ではメッセージ性があるといえると思います。























―ではなぜ海外を舞台に選んだのですか?

Go 日本ではバンド活動を続けていく道筋が見えなかったからです。結成当時は日本で活動する気でしたが、日本のインディーシーンにあるノルマっていうシステムがイヤだったんですよね。

ライブ終わって気持ちよくなった後に、え、バンド側が金払うの? むしろ、くれよ!って。機材と練習にお金かけて全身全霊こめてライブして、さらに演奏する側がお金を払うということに納得できませんでした。

Daoud ノルマ制って多くのバンドが不満を持つ点ですけど、じゃあどうすればいいのかっていうのはなかなか見えなくて。

Go アメリカで、無名なバンドでも演奏の対価としてギャラをもらい、それでシーンが成り立っているのを見てたので「なんか変だけど、みんなそうやってるからしょうがない」というふうには考えられませんでした。

―なるほど、それで海外の活動を視野に入れて活動をしたわけですね。

Go そう、でも海外に出始めた時は、飛行機代とかコストをいろいろ考えると当然のように赤字なので大変でしたね。

Daoud 最初の頃は海外行きたいし経験にもなるしってことで、みんなでお金貯めて赤字を承知で行きましたが、活動を重ねるうちに持続可能な形にする道筋が見えてきたんですよ。逆に日本だと無理なく活動を持続できる状態にあるバンドが周りになかなか見当たらなくて。気合いで活動を続けたところで辛いし、どこかで誰かが音を上げてしまいます。

―そうやって安定してきて、今年からメンバーのうちふたりがアムステルダムに移住されてるんですよね。でも、Daoudさん、Ryuさん、Guyさんは日本に残るわけで、言われた側としてはどうでした?

Daoud とりあえず、どうなるか見てみようって感じです。幾何学模様としての活動を長く続けたいと思っていますが、メンバーが自分を犠牲にしてまで貢献すべきだとは思いません。自分を犠牲にしたって、やはり長い目でみたら続きませんから。それぞれが自分の夢を追った上で、うまく成り立つものじゃなきゃ意味がないと感じています。

Go 行く側としては、今後の練習や曲作りの環境などをしっかり整え、またメンバーふたりがヨーロッパに住むことでのメリットもちゃんと話して、みんなには納得してもらいました。日本とヨーロッパに拠点があるバンドって他にはなかなかいないので、それが強みにもなると思います。































―本格的に海外に拠点を移すわけですけど、それは「音楽で食べて行く」ことを決めたといってもいい?

Go 別に音楽で食べていくことは目指していません。これは個人の意見ですが、別にミュージシャンという職業にそんなにこだわっていないんです。音楽以外、何もやりたくないみたいな気持ちはありませんし。それに商業として音楽で食うのってやっぱり大変ですよ。このアルバムが売れなかったらどうしよう…みたいな恐怖が常につきまといますよね。

Daoud 音楽で食べるとなったら「曲作らないと! ツアー行かないと!」みたいな焦りが生まれそうで、それは避けたいですね、僕も。

―では今後、同じく海外で活躍したいと思うバンドが増えてくるとして、必要なことをアドバイスすると?

Go どこに行っても「日本のバンド」というレッテルを貼られます。語弊があるかもしれませんがロックは欧米の文化であり、その中では日本は辺境地。なので欧米のロックにないものをどうやって提示するかということを意識する必要があると思います。

もちろん海外で売れてる日本のバンドみんなが同じ特徴を持っているわけではありませんし、答えはバンドの数だけあると思いますが、それでも海外で活動しているどのバンドも自分たちが日本のバンドだっていうことを意識してるように思います。

―「クール・ジャパン」じゃないですけど、日本の有名なバンドとかアーティストが海外のどこかのアリーナで1発やりました!っていうのはよく聞きますけど、幾何学模様はそれとは性質が違いますよね。なぜ、欧米各地を周るツアーを成立させられるようになったのですか?

Go 英語に抵抗がないというのが大きいですね。僕だけでなく他のメンバーも喋れるので。初めのヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアツアーは日本のエージェントを使わずに自分たちで直接各地のプロモーターやエージェントに連絡して企画しました。とても大変でしたが、その時の経験が今も活きています。

Daoud でも、言語より何より一番大切なのはやはりライブを楽しんでもらうことだと思います。英語が全然喋れなくても海外ツアーを何度も成功させているバンドもいますし。また観たいと思わせる力が必要ですね。

(取材・文/小渕 翔 撮影/信岡麻美)

■幾何学模様(Kikagaku Moyo)







2012年の夏、GoとTomoのふたりを中心に結成。その後、Kotsu Guy、Daoudが加入。さらにGoの弟で、インドでシタールを学んでいたRyuが帰国後に加入し現在の形となった。活動のメインとしている海外から注目度を高めており、今年のツアーは世界各地でソールドアウトを記録。○現在までに3枚のフル・アルバム『Kikagaku Moyo』(2013)『Forest of Lost Children』(2014)『House in the Tall Grass』(2016)をリリース。今年5月には最新EP『Stone Garden』を発売。待望の日本ツアーは11月7日の大阪を皮切りに宮城・愛知・東京で公演予定。詳細情報は特設ページにて。最新情報はオフィシャルツイッター【@kikagaku_moyo】、オフィシャルホームページ、Facebookまで。

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