報ステの視聴者を奪え! テレ東・WBS22時台移動の勝算

大江アナはこの4月でWBSメインキャスター8年目に。テレ東の「夜の顔」として一世一代の大勝負だ

テレビ東京系の経済ニュース番組『ワールドビジネスサテライト(WBS)』(月曜〜金曜、23時〜)が、4月の改編で放送時間を1時間繰り上げ、22時スタートになるという。

NHKと民放キー局では現在、22時台のニュース番組はテレビ朝日系の『報道ステーション』(月曜〜金曜、21時54分〜)一強。WBSはそこに殴り込みをかける形だ。

テレ東の狙いはどこにあるのか? テレビ解説者の木村隆志氏に聞いた。

「テレ東は『モヤモヤさまぁ〜ず2』など脱力独自路線の番組が話題になっていますが、一方では日本経済新聞の系列で、経済に特化したテレビ局という面もあります。そのため、平日の22時台は『ガイアの夜明け』(火曜)や『カンブリア宮殿』(木曜)などの経済番組を放送し、その後のWBSにつなげる流れをつくっています。

また、昨年までは月曜の22時台に『ドラマBiz』という連続経済ドラマも放送していました。テレ東は22時から経済番組を見てもらうという土壌をジワジワとつくっていたんです」

今回の時間移動は唐突なものではなかったというのだ。

「改編で時間が重なる『報道ステーション』は王道のニュース番組で、その日にあったニュースを優先順位の高い順に伝えていくスタイルです。そのため、どうしてもNHKの『NHKニュース7』(毎日19時〜)や『ニュースウオッチ9』(月曜〜金曜、21時〜)と、内容が似てしまう。

そこで、経済に特化したニュース番組が同じ時間帯にあったら、そちらを見る視聴者もいるのではないかとテレ東は判断したわけです。狙いは、ズバリ『報道ステーション』から視聴者を奪うことです」

"隙間産業"ではなく、正面から勝負をかけた!

「現在、『報道ステーション』の視聴率は2桁で、昨年は新型コロナの影響で20%を超えることもありました。一方のWBSは3%程度。22時台に移れば、5%くらいになる可能性は十分にあります」

5%では「勝った」とは言えないのでは?

「最近、ニュース番組は広告がなかなか取れず苦戦しています。視聴率10%のニュース番組よりも、5%のバラエティ番組に広告を出したい広告主が多い。なぜかというと、ニュース番組の視聴者の多くがなかなか商品を買ってくれない高齢者だからです。

でも、WBSの視聴者には経営者や高収入のビジネスマンなどお金を使ってくれる人が多くいます。視聴率は5%でも、WBSに広告を出したいという企業はたくさんあると思います」

そして、テレ東にはもうひとつ隠れた狙いがあるという。

「WBSのメインキャスターの大江麻理子さんはすごく人気があります。『報ステ・徳永有美vsWBS・大江麻理子』という構図で見れば、WBSの優位は堅い。また、WBSに出演している若手の女子アナも田中瞳さんなど、評判がいい人ばかりです。

22時台になんとなく報ステを見ていた視聴者のなかには、大江さんや若手アナの存在でWBSに流れる人も多いんじゃないでしょうか」

単純な視聴率勝負ではなく、広告と話題づくりを見据えた戦略。やっぱりテレ東は経済・ビジネスに強い!?

取材・文/村上隆保 写真/時事通信社

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