福田彩乃、最悪の印象だったマネージャーの貴重な言葉

福田彩乃、最悪の印象だったマネージャーの貴重な言葉

[写真]綾瀬はるかさん、長澤まさみさんらのモノマネなどで一躍ブレイクした福田彩乃さん

 綾瀬はるかさん、長澤まさみさんらのモノマネなどで一躍ブレイクした福田彩乃さん(27)。昨年に続き、2回目の単独ライブ「まねざんまい」を名古屋(東建ホール9月17、18日)と東京(CBGKシブゲキ!!、同23、24日)を開催します。改めて足元を見つめ直すような“モノマネ尽くし”の内容ですが、常に、自らの核となっているのは、初代マネージャーの言葉だと言います。

 たくさんの方に助けていただいているので、どなたが恩人か、本当に難しいんですけど、自分の最初の最初と言いますか、礎(いしずえ)みたいな部分を作ってくださったのが、(所属事務所の)アミューズに入った時のマネージャーさん。佐藤宏さんという方です。

 もちろん、一般の人ですし、皆さんご存知ないと思うんですけど(笑)、正直な話、最初にお会いした時の印象は、そりゃ、もう、最悪でした。

 もともと、私はアミューズの全国オーディションで事務所に入ることになったんです。書類審査を通過して、地元・名古屋で実際にスタッフさんと会う面接試験があった時に初めて佐藤さんと会いました。

 黒縁メガネに長髪。普段は髪をオールバックにして後ろでくくっていて、コワモテで全然笑わないし、話し方もぶっきらぼうだし。そのうえ、最初にかけられた言葉が当時の私にしたら信じられない言葉だったんです。

 面接があったその日に、次のステップに進めるかどうかの合否発表があるんですけど、ありがたいことに受かりましたと。合格者は「次の面接に向けての説明があるので残っておいてください」と言われたので、そこで待っていたら、佐藤さんが「ちょっと、福田さん、いい?」と話しかけてきて。何だろうと思ったら、次出てきた言葉に驚きました。「君さ、痩せてくれる?」と。初対面の人に急に「痩せろ」と言われて、性格的にカッチーンときて。こういうのが芸能界なのかと。まず第一声で、それを相手に言うなんて、この人、どういう感覚なの?と。

 面接会場から出ても、全く怒りが収まらずで。次の面接まで1〜2ヵ月あったので、家の近くのジムにそのまま飛び込んで、すぐに入会しました。そして、次の面接まで、毎日ジムに通いました。毎日その人の顔を思い浮かべて「絶対に、ギャフンと言わせてやる!!」と(笑)。

 その怒りのパワーが功を奏したのか、結果、私はバラエティー部門賞をもらうことができたんです。ただ、グランプリの人しかアミューズとの契約権はなかったので、ま、部門賞をもらったし、いい思い出になったなというくらいで帰ったんです。その1、2週間後に電話がありまして、それが、また佐藤さんだったんです。「もしよかったらうちと契約しませんか?」と。

 で、なんと、事務所に入ったら、佐藤さんがマネージャーだと。ただ、当時は自分が女優として仕事をしていくのか、タレントなのか、何なのか、そういう部分から分かっていなくて。で、佐藤さんから「とにかくネタの数を増やそう。来週までに3分以内のネタをいくつか考えてきて」と言われて、そこで「あ、自分はネタを作ったりする仕事をするんだ」と思ったくらいでした(笑)。

 ただ、ネタを作ると言っても、確かにオーディションでは長澤まさみさんや愛犬のモノマネをしてはいましたけど、それは単なる特技披露というもので、本格的にプロとしてネタを作るということはしたこともないし、やり方も分からないし、アミューズには芸人さんもいないし、相談する先輩や同期みたいな人もいないし、どうしたらいいんだろうと。だから、本当に手探りで、家で考えて、それを佐藤さんに見せて、また考えてきて佐藤さんに見せて、という日々を過ごしました。

 でも、全然笑ってくれないし、ダメ出しの仕方も「それじゃ分かんないよね」と切り捨てるように言うんです。それが当時の私からしたら、一つ一つがダメージというか「もうちょっと言い方ってもんがあるでしょ」というストレスにもつながって。当時はいろいろな“免疫力”がなくて、いちいち落ち込んでましたね。

 そんな中、私の初めての仕事というのが、事務所の先輩の岸谷五朗さんが初監督された「キラー・ヴァージンロード」(2009年)という映画のキャンペーンだったんです。佐藤さんが企画してくれたお仕事だったんですけど、映画をPRするため、1ヵ月で47都道府県を行脚するという内容だったんですけど、ヒット祈願で滝に打たれたり、ヒッチハイクで移動したり、お化けが出るようなところに泊まったり。

 この行脚さえ終わったら辞めよう。そもそも、どうして、モノマネをこんなにしなきゃいけないんだ。痩せろ、痩せろと言われるけど、佐藤さんの顔を思い出すたびにイライラして食べちゃうし痩せられないんだ。オーディションを受けて部門賞をもらっただけでいい経験だったし、もう十分…。そんな思いが頭をグルグル回ってました。

 ただ、私が相談するような先輩が誰も事務所にいないということは、佐藤さんも、アミューズとして“新しい商品”を作るということ。だから、迷いや葛藤もあったと思うんです。そんなことは絶対に口にはしませんけど、そんなところにも思いを至らせることができないくらい、私もいっぱいいっぱいになってました。

 でも、それでも私の頭にしっかり残るくらい、佐藤さんがずっと、ずっと、ずっと言ってくださっている言葉が一つありまして。それが「芸は武器になる」ということでした。仕事を始めて7〜8年目になるんですけど、本当に、本当に、そのとおりだなと。

 バラエティー番組に出た時なんかはもちろんですけど、バラエティーじゃないところ、例えば、映画やドラマのお仕事をさせてもらう時にも、控室的なところで共演者の方やスタッフさんから「ローラちゃんやって」と言われたりもする。そこで距離が近くなって、お芝居の仕事にもスムーズに入っていける。いろいろな角度から「芸は武器」という言葉の重みと深さを今、痛感しています。

 結局、佐藤さんは1年で私の担当から離れたんです。その頃にはやっと佐藤さんのことも分かって、この仕事のことも分かってきたのに、このタイミングで佐藤さんがはずれるのかと。最初は嫌で仕方なかった人でしたけど、1年で感情が全く逆転してました。

 担当じゃなくなってから6年くらい経ちましたけど、今でも、私がモノマネ番組で優勝したり、何かあったら連絡をくださいますし、いろいろとお話もしています。

 ただ、結局、恩返しができないままに、佐藤さんと離れてしまったのが、ずっと気にかかっていて。もし、これから私にできる恩返しがあるとしたら「福田彩乃を担当していてよかった」といつか思ってもらえるような存在になることだろうなと思っています。

 今度、単独ライブをするんですけど、モノマネネタだけで今回はやろうと決めました。去年初めて単独ライブをやったんですけど、その時はコントとかいろいろな要素も入れていた。でも、今回は完全にモノマネだけに絞ったんです。やっぱり私の根っこにあるのはモノマネですし、そこを武器としてもっと強くしていかないといけないと思いまして。そういうことが恩返しに少しでもつながるのかなと。

 アレ、よく考えたら、私、すごくまじめに話しちゃってますね…。なんでしょう、なんだか、スミマセン(笑)。

■福田彩乃(ふくだ・あやの)
1988年9月18日生まれ。愛知県出身。高校卒業後、派遣社員として自動車メーカーに勤務していたが、2009年にリーマン・ショックの影響で失職。そのタイミングで「アミューズ全国オーディション」を見つけて応募。3万人以上の中からバラエティー部門賞に選出されデビューする。綾瀬はるか、長澤まさみ、ローラなど数多くのモノマネレパートリーを持つ。また、単独ライブ「まねざんまい」を名古屋(東建ホール9月17、18日)と東京(CBGKシブゲキ!!、同23、24日)で開催する。

■中西正男(なかにし・まさお)
1974年大阪府枚方市生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。大阪報道部で芸能担当記者となり、演芸、宝塚歌劇団などを取材。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、芸能ジャーナリストに転身。現在、関西の人気番組「おはよう朝日です」に出演中。