マット・デイモン「プライベートでもボーンと同じ苦労」でリアリティ追求

マット・デイモン「プライベートでもボーンと同じ苦労」でリアリティ追求

9年ぶりの来日を果たしたマット・デイモン

 最新映画『ジェイソン・ボーン』PRのため、このほど9年ぶりの来日を果たしたマット・デイモン。『オーシャンズ』シリーズや『ボーン』シリーズなど、世界的な人気を誇る作品に出演するなど、ハリウッドを代表するスターだが、作品へストイックに向き合う姿勢を見せる一方、家族を大切にするという「良き夫であり、良き父親」という一面ものぞかせる。そんなスターの素顔に迫る。

ジェイソン・ボーンになるために「かなりの犠牲を強いられた」

 マットにとって9年ぶりとなる『ボーン』シリーズ最新作。45歳(撮影時)という年齢を感じさせないアクションシーンと肉体美には、作品にかける並々ならぬ意欲と、プロ意識が感じられる。

 「『ボーン・アイデンティティー』のころは29歳でフィジカル的にもハードな撮影はそれほど苦にはならなかったんだけれど、今回の作品は一生懸命トレーニングをしたんだ。3作目の終わりが、なんとなくハッピーエンディングだったんだけれど、ポール(・グリーングラス監督)と話をしたときに、続編を作る場合、ボーンはいい生活をしていては映画にならないということで『君も苦労をしろ』って言われたんだ。だからかなりの犠牲を強いられたよ(笑)。特に食べ物はすごくコントロールされたんだ。子供たちと一緒にいても僕だけ食べられないなんてこともざらだったよ」

ハリウッドスターにとっての『ボーン』シリーズの意味とは

 ハードなトレーニングと食事制限によって作り出されたキレと肉体は、物語にスピード感とスリリングさを与え、説得力を持たせる。ここまで彼をストイックにさせる『ボーン』シリーズというのは、いったいどんな存在なのだろうか。

 「『ボーン』シリーズは、僕のキャリアを完全に変えてくれた作品なんだ。もちろん『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』はベン(・アフレック)と僕をこの業界に知らしめた作品ではあるけれど、『ボーン・アイデンティティー』があったからこそ、僕のキャリアは大きくなり、続編ができるということにより、ファンが待っていてくれるんだということも実感できた。『ボーン』シリーズのおかげで、僕はほかの映画に出るチャンスも増え、やりたい監督と仕事をすることもできたんだ」

 もちろん、本作でタッグを組んだポール・グリーングラス監督の存在も大きい。マットは以前から「ポールが監督する場合に限り自分も出演する」という発言を繰り返していた。

 「彼は本当に優秀なフィルムメーカーなんだ。もともとはジャーナリストでドキュメンタリーを得意としている監督。ものすごく人間の行動を直視していて、リアリティのないものにはアレルギー反応を起こす人なんだ。そういった意味でも、演技を引き出す力もあるし、僕がアイデアを出すとより良いものにしてくれる。彼なしではこのシリーズはやらないと言っていたけれど、それは彼が最高だからなんだ」

休業宣言の真意とは!?

 来日前、マットが1年間の休業宣言をしたと日本でも大きく報じられた。その真意はどこにあったのだろうか。

 「以前も1年半ぐらい休養をとったことがあったんだ。その後、リドリー・スコット監督と『オデッセイ』を撮って、ポールと『ジェイソン・ボーン』、そしてチャン・イーモウ監督と『The Great Wall(原題)』の撮影を終えた。さらにアレクサンダー・ペイン監督(『Downsizing(原題)』)、ジョージー・クルーニー監督(『Suburbicon(原題)』)との仕事があるので、それが終わったら、休養しようと思っているんだ。これまで映画のたびに家族を世界中に連れまわしてきたので、今度は、僕が彼女たちの行くところについていこうとう思っているんだ。仕事から離れて休業することによって自分の人生を見つめ直すこともできるしね」

 仕事へ取り組む真摯な姿勢と、家族との時間……。彼のパワーの源は、このバランスにあるのかもしれない。

(取材・文:磯部正和)

『ジェイソン・ボーン』10月7日(金)よりTOHOシネマズ スカラ座ほか全国公開、配給:東宝東和 
動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=w8jWV-HMpfU